長引く新型コロナの影響で飲みに出掛ける機会も減り、悩みを言える相手に会えなくなったという人もいるだろう。

そんな人々のために、紳士服大手「洋服の青山」を展開する青山商事が、最新テクノロジーを駆使した意外なサービスを7月7日に公開した。

出典:青山商事
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その名は、お悩み相談チャットボット「よしこ」。聞き上手で、時に的確なアドバイスもしてくれるスナックママの“話術”を日本で初めてAI化したという。

同社は内閣府が6月4日に公開した調査を元に、いわゆる「コロナ疲れ」を「感じる」「やや感じる」と答えた人のうち20代が最も多いことから、若い世代ほどコロナ禍のストレスを感じていると判断。

出典:内閣府 第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査
出典:内閣府 第3回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査

さらに外出の機会が制限される中でリアルなコミュニケーションが希薄になり、ストレスや悩みを抱えても打ち明ける「場」が失われていることにも着目した。

そこで、ネットやテレビ・新聞などの一部でブーム再燃と言われている「スナック」に着目し、いつでもどこでも相談できるAIの「よしこママ」を開発したのことだ。

「よしこ」は、人口10万人当たりのスナック軒数が日本一多いとされる宮崎県の中でも、特に多くの店が軒を連ねる繁華街「ニシタチ」のスナックママたちに合計50時間に及ぶインタビューを行い、悩みに対するアドバイスをビックデータ化しているという。

「よしこ」のモデルになっているのは、ニシタチに実在するスナック「華酔亭」で本当にママをしている茶圓イツ子さんで、洋服の青山公式サイト上にオープンした「スナック よしこ」の店内イメージも同店が使われているそうだ。

スマホでの表示
スマホでの表示

相談は無料で、利用するにはスマホやPCから「スナック よしこ」にアクセスし、画面右下の「よしこに相談」を押して自由に入力するか、または「人間関係」や「職場環境」「将来」などの項目から選ぶこともできる。

例えば、人間関係の中から「上司に責任感がない」を選ぶと「よしこ」ママはこのように答えてくれた。
 

でも、その上司はなんで会社の中でその立場にいられるのかしら?上司になれる人は会社からは評価されているから上司になっていると思うの。上司なりのスタイルでやっているから責任がないように見えるかもしれないけど、実はそこにはその人があなたに伝えたいことがあるのかもしれないかもね・・・

「よしこ」ママの回答はさらに続き、上司のいいところを探してみると違った一面が見えてくるかもしれないというアドバイスも。最後は「ママはあなたのことを応援しているから、辛くなったらまたいつでもここにおいで。」と優しい言葉を頂いた。

いろいろ試してみた個人的な感想としては、回答は思いのほかかなり的確で、画面の印象とは裏腹に心に刺さる答えが返ってくるように感じた。

スマホでの表示
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それにしてもなぜ「洋服の青山」が、紳士服とまったく関係なさそうなAIチャットボットを始めたのか? また、サイトには「よしこ(第一形態)」と書いてあるのだが、これはどういう意味なのか?

気になる点を担当者に聞いてみた。

若いビジネスパーソンの悩みを捉えたい

――なぜ洋服の青山がAIを開発した?

もともとファーストスーツ以降の若い顧客の層が洋服の青山に少なく、最もビジネスパーソンとしてボリュームのある年代でもあるため、洋服の青山に来られない理由を社内で考えており、購買時以外の接点として、その世代の「お悩み、課題」を捉えることで「どのような商品・サービスが必要か」ということがわかるのではないか、というところから生まれた企画です。


――AIが使われている部分は?

スナックママたちの答えを分析したものをベースに、チャット上で受け答えをするシステムに使用されています。


――サイトには「よしこ 第一形態」と書かれているが、ゴジラみたいに進化するということ?

設定している相談ごとの利用頻度がわかったり、フリーワードの新規相談が蓄積したら、新たに回答が用意されたり、反応精度が上がるなど進化していく予定です。


――今悩んでいる若いビジネスマンへのアドバイスは?

ぜひ、「よしこ」に相談してみてください。


――「よしこ」のモデルとなった茶圓イツ子さんは何歳なの?

ご年齢については、非公表とのことですのでご了承ください。ちなみにチャットボットAI「よしこ」は0歳2か月です。
 

出典:青山商事
出典:青山商事

「よしこ」のデータを集めるため、「ニシタチ」では10人ほどのママをインタビューしたそうだ。そんなママの一人からは「スナックに着目してもらえることと、お悩み相談をされることも多いので、このような形で協力できるのはうれしい」という感想をもらったという。

外出先での飲酒を控えている方や悩みのある方は、自宅でグラス片手に「よしこ」ママに思いの丈を打ち明けてみてはいかがだろう?

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プライムオンライン編集部
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