古い家具などを買取り、修理して蘇らせる出雲市の古道具店。SDGsの取り組みとして、注目されている。その買取の現場から見えてきた、使い続けるためのヒントとは。

明治、大正…古い家具や小物を出張買取

島根県出雲市塩冶町にある古道具店「チクタ」。
店内には、味のあるガラス棚や昔懐かしい赤電話など、レトロな家具や雑貨100点以上が並んでいる。

古道具店「チクタ」店内の様子
古道具店「チクタ」店内の様子
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チクタ 高田浩一さん:
もう全部、明治、大正、昭和初期のものになります

店長の高田浩一さん(41)が徳島からUターンし、8年前にこのお店を起業。中国地方をエリアに出張買取をしたものを修理・リメイクして販売している。

チクタ 高田浩一さん:
古い物が今、空き家も多くて捨てられているのが現状ですので、家具とか小物とかを救出できたらいいなと思います

SDGsの目標のうち、12番めのゴール「つくる責任つかう責任」。廃棄物の再生、再利用に該当する取り組みだ。

閉業した薬局のレジや薬棚はいくらになる?

捨てられてしまう家具を救出する出張買取りの現場に同行した。

――どこに行かれるんですか?

チクタ 高田浩一さん:
今日は米子の古い薬局屋さんでの買取です。行ってみないと何が出てくるかはわからないです

向かったのは島根県のお隣、鳥取県米子市の元町通り商店街で数十年前に閉業した薬局。依頼者は、この商店街でWEBデザインの会社を営む亀井智子さん。

亀井智子さん:
ここはカフェとお土産屋さんと、コワーキングの複合施設に大改造する計画があります

これからの改装資金を捻出するために出張買取を依頼したという。

亀井智子さん:
改装だったり、そういった工事の充てに少しでもなれば

元々、薬局だった店内。高田さんの眼力により数十年の時を経て、眠っていた設備などが目を覚ます。

店内の査定をする高田さん
店内の査定をする高田さん

チクタ 高田浩一さん:
ワクワクしますね。古い物がそのまま残っている感じが。これは昔のレジですね。戦前なので「毎度ありがたう」。「とう」じゃなくて「たう」なんですよ。これは薬棚ですね。引き出しがいっぱいあるのは。これいけそうだな

戦前のレジスター
戦前のレジスター

依頼者の亀井さんたちも査定の様子を見守る。

チクタ 高田浩一さん:
薬棚(中)が1万5000円ですね。レジスターが5000円、薬棚(大)が2万円ですね

さらに、無造作に置かれ動かなくなった古い時計に目を止めた。

チクタ 高田浩一さん:
壊れててもいけますよ。中を電池に変えたら外側だけ活かせるので

壊れた時計は1500円で買い取り。本当に使い続けられるのか?

店の隅々まで見て回り、約4時間にわたる査定が終了。気になる買い取り金額の合計は…

チクタ 高田浩一さん:
合計金額は14万2000円です

亀井智子さん:
予想以上です

壊れた薬棚がおしゃれな食器棚に変身

この日、高田さんが値付けした品は全部で100点以上。ここに使い続けるための魔法をかけていく作業を施すこと半月。

高田さんのお店には、元薬局で値付けした家具が並び、すでに数点が売れていた。

生まれ変わった薬棚
生まれ変わった薬棚

建てつけが悪く腐敗も進んでいた薬棚は、レトロな雰囲気を残したまま丁寧に補修され、おしゃれな食器棚に(売値 4万2000円)。

チクタ 高田浩一さん:
ここにロウを塗って滑りを良くしたら、大体は直る

そして、無造作に置かれていたあの動かない時計は…

チクタ 高田浩一さん:
色味を合わせると、まとまったいい空間になると思います

まず行ったのが、研磨機で木枠の塗料を削り落とす作業。

ゼンマイ式の動力は時計の針とともに電池式に交換。売り値は、買い取り金額の10倍の1万5000円とし、再び時を刻み出した。

生まれ変わった1500円で買い取った時計
生まれ変わった1500円で買い取った時計

チクタ 高田浩一さん:
古い経年の傷みとか、人の手に伝わってきたからこそ出る奥深さ。その魅力を最大限生かせるように仕上げたい

高田さんの眼力と確かな技術は、使われなくなった物たちに、使い続けるための新たな価値を与えている。

チクタ 高田浩一さん:
基本的に捨てられていく運命の家具は本当に多いので、助ける意味と引き継ぐ意味を込めて、ずっと続けていきたいと思っています

(TSKさんいん中央テレビ)