オンライン授業の導入…教育現場では混乱も

コロナ禍をきっかけに、学校ではオンライン授業の導入が進められている。
しかし、教育現場では様々な混乱も発生している。
学ぶ機会の確保のために、いま必要なことは何だろうか?

生徒:
みんな、開始時刻知りません

この記事の画像(23枚)

教師:
ホント? 10時15分から! 始まるよ、ログインして

北海道小樽市の小樽潮陵高校での初めてのオンライン授業は、開始早々トラブルに見舞われた。
開始時刻を過ぎているのに、家で授業を受ける生徒と回線がつながらないのだ。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
誰もログインしていないので、教室にいる生徒から、自宅で待機している生徒にログインするよう連絡してもらっている状態

導入が進むオンライン授業。
しかし、教育現場には混乱も。

初めてのオンライン授業は、うまくいくのだろうか?

「試行錯誤」の教育現場

小樽潮陵高校では緊急事態宣言の間、生徒を半分ずつ「登校組」と「自宅学習組」に分け、1日ごとに交代させて授業を行っていた。

6月2週目からは自宅で学習する生徒に、インターネットを使ったオンライン授業を始めた。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
出席をとるね、ルカいるね? レンいるね? アヤ? 挙手ボタンを押して。アヤ? アヤがいない。一番いそうなメンバーがいない

回線がつながらない。
初回からトラブルに見舞われたオンライン授業。
40分間の授業で、生徒が全員そろうまで約8分かかった。

しかし、それからすぐに授業には入れない。
先生が黒板に、何やら書き始めた。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
こちら側のこの線は見える? ここは? 見えない? OK! じゃあここまで

黒板に書いた文字が見える範囲を確認している。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
こんなに小さい黒板は初めてだなあ

黒板の「使える範囲」も限定的に…

教室に配備されたパソコンの小さなカメラで映るのは、黒板の3分の1。

範囲が限られるため、先生も書きにくそうだ。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
もう下には書けないので、横の黒板に移動します

書ける範囲がいっぱいになったら、次の余白に移動する。

そのたびに、パソコンを移動させなければならない。

しかし、まだ生徒が板書をノートに書き写していないうちに、移動させてしまった。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
あ、ごめん、ごめん!

生徒:
書き写しました    

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
では、次の黒板に行きます

気を使わなければならないのは、映る範囲だけではない。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
オレンジ色で文字を書いても見えるのかな? 見えなかったら挙手ボタンを押して

生徒が使う端末は、画面の大きなパソコンからスマートフォンまで様々。画質もバラバラだ。

生徒も先生にも戸惑い…

今回初めてオンライン授業を受けた生徒の感想は…

オンライン授業を受けた生徒:
画質が悪いので厳しいと思った。また、質問する時にみんなに見られるので、質問がしにくい

教える側にも戸惑いがある。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
目を配るべき場所が増えた。画面の向こうの生徒にどう見えているか意識をしながら、教室の生徒にも説明をする。どこに焦点を当てるのか途中から悩んだ

コロナ禍でオンライン授業の導入が進められているが、現場はまだまだ手探り状態のようだ。

小樽潮陵高校・加澤雅裕 校長:
校内にWi-Fiの設備はなかった。Wi-Fiアンテナ設置の工事は3月に終わっていたが、授業に使うマイクやカメラは欠品状態で、購入できなかった

ある教材会社の調査によると、北海道内の公立高校で校内に高速で安定したWi-Fi環境があるのは3分の1にとどまっている。

校内の設備の問題だけではない。
高校生の場合、端末や通信費は家庭が負担しなければならない。

小樽潮陵高校・加澤雅裕 校長:
各学年で10人ほどの生徒が、オンライン授業への参加が困難な状況

小中学校では文部科学省の指導により、全ての児童・生徒への端末の準備が進んでいる。
札幌市では児童・生徒全員と教師用の端末約14万台が、2020年11月までにそろったが…

札幌市教委教育課程担当課・伊達峰史 課長:
年度初めの4月は忙しいということもあり、大型連休を過ぎたころから取り組んで行こうと。2学期以降は、かなりスムーズに進むのではないか  

小樽潮陵高校では最初のオンライン授業の翌日、反省を踏まえ授業の方法が改善された。

小樽潮陵高校・道見ますみ 教諭:
画面の向こうの生徒は、黒板をノートに写してください。では、次の黒板に行きます

生徒が挙手ボタンを押して、発言を求めていないかや、黒板の文字が画面からはみ出していないかを確認する、サポートの教師が付くようになった。

しかし、課題は山積だ。

小樽潮陵高校・加澤雅裕 校長:
生徒の反応をフィードバックした授業をできるようにするとか、生徒がまるで教室で授業を受けているようなオンライン授業に、どうしたらできるのかが課題

教育現場へのオンライン授業の導入は、今後順調に広がっていくのだろうか?

(北海道文化放送)

北海道文化放送
北海道文化放送

北海道の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。