発疹や関節痛、高熱をともなう「成人スチル病」という病気をご存じだろうか?

発病する割合は、10万人に2人から3人と低く、国の難病に指定されている。患者の数は国内では4,000人余り、福井県内では30人余りと推計されている。

今回、福井テレビでは、この「成人スチル病」を患った女性を取材した。

女性は、「同じような難病と闘っている人たちの励みになりたい」と取材に応じてくれた。シングルマザーとして5人の子どもを育てながら、病気と闘う日々。

彼女を支えるのは、家族の絆だ。

1週間もしないうちに自力で動けず…「成人スチル病」と診断

福井・越前市に住む水野里菜さん(37)は、5人の子どもを育てるシングルマザー。今は、母親と同居している。

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子どもたちの世話や家事にと、慌ただしく日々を過ごす水野さんだが、実は難病と闘っている。2020年6月、発疹が全身に広がった。

痛みはなく、1週間ほどでおさまったが、4カ月後に高熱が出て、再び全身に発疹が広がった。さらに関節痛が全身に生じ、1週間もしないうちに自力で動けなくなった。

病院での検査の末、「成人スチル病」と診断された。

難病に指定されている「成人スチル病」は16歳以上に生じ、発疹や関節痛、高熱などを症状とする全身性の炎症疾患。人口10万人に2人の割合で発病し、原因はわかっていない。

水野さんは、すぐさま入院となった。

水野さん:
動けなくなって、このまま寝たきりに状態になるのかという不安が1番だった。子どもが5人いて、下の子がまだ小さいので心配でしたね

突然の難病宣告…家族も不安の毎日に

これまで大きな病気をしたことがなかったが、3カ月の入院を余儀なくされた。家に残した5人の子どもたちは、母親と姉妹に見てもらうことになった。

水野さんの症状は重く、治療には多くのステロイドを投与するため、強い副作用に悩まされた。血圧や血糖値が上昇し、顔や体がむくんだ。

さらに、水ぼうそうウイルスが原因の帯状疱疹も併発し、すさまじい痛みに襲われた。治療に専念するため、仕事も辞めざるを得なかった。

主治医は、当時の水野さんについてこう振り返る。

主治医:
お子さまを1人で育てながら、かなり重症の病気と立ち向かっていて、入院中も治療に積極的に取り組んでいた姿が印象的でした

水野さん:
先がないのかな、子どもたちを置いていってしまうんだな…。長男から1人ひとりに携帯で動画を撮り、“今までありがとう”と、最後のビデオメッセージを最後に子どもにみせてほしいと、妹に送った

双子の妹:谷樹里さん:
わたし、双子なんですけど、お姉ちゃんのことが大好きで、まさか自分の姉がそうなるとは思いもしなかったし、ショックでした

幼いころから何をするのも一緒。

そんな姉が突然難病を宣告され、理解が追い付かなかったという。

妹の谷樹里さん:
本当に一生分泣いたんじゃないかというくらい、毎日不安で泣いていました。本当につらかったです。でも、わたしがお姉ちゃんの代わりに母親代わりでサポートしないといけないから、なるべく笑って過ごすようにしていました

ーーーお母さんが入院中は大変だった?

長女の愛乃さん:
そうですね、まあいろいろ…

ーーーお母さんが入院したときどう思った?

次男の煌星さん:
会いたいと思った

孤独感を感じていたが…「本当は愛されているんだな」

水野さん:
つらかった時に病室から外を見たら、畑や田んぼ、電信柱があって、それら1つ1つが人のためにあるなと。今までは、シングルマザーだから1人で頑張らなきゃいけないって突っ走ってきたんです。誰も助けてくれないという孤独感を感じていたんですけど、本当は愛されているんだなと感じました

水野さんは、シングルマザーであるがゆえに、人一倍責任を感じ、家族に迷惑をかけまいと必死だった。

水野さん:
みんな家庭もあるし、ダメなわたしがシングルになったんだから頼ってはいけないと思っていたんだけど、頼っていいんだと

妹の谷樹里さん:
やっと頼るようになってくれたというか、少しでも「これやってくれる?」と言われるとわたしもすごくうれしいです。

母の尋子さん:
(娘が)病気になって、余計に明るくなった。子どもとしつこく関わっている。毎日、感謝して子どもと接している

家族に頼ることで、一丸となって病に立ち向かえるようになった水野さん。2週間に1度通院し、ステロイドを投与しながら闘病生活をしている。

今も再発のリスクは消えない。

水野さん:
不安は常にあります。でも、それをかき消すように前向きでいようとわたしは決めたので。もし明日倒れても、今倒れても悔いがないように精いっぱい生きていこうと思っています

子どもと過ごす、かけがえのない時間をいとおしむように…水野さんはきょうを精いっぱい、生き抜いている。

(福井テレビ)