「ユーチューバー」ならぬ「ライバー」という職業をご存じだろうか。
「ライバー」とは、ライブ配信をなりわいにする人たちのこと。
コロナ禍でエンターテインメント産業が低迷する中、金沢市内の飲食店が「ライバー」のための事務所を立ち上げた。
「17ライブ」で活動する事務所を立ち上げ
ーーー感染対策は慣れましたか?
カラオケパブ・ベスパのオーナー 雑談ひとりさん:
もう1年以上なんでね、さすがに
そう話すのは、金沢市片町にあるカラオケパブ・ベスパのオーナー、雑談ひとりさん。
カラオケパブ・ベスパのオーナー 雑談ひとりさん:
ライブもできるカラオケパブ。以前は毎週のように地元のバンドやパフォーマーがライブやパフォーマンスを展開していた

2015年の開業以降、店の経営は順調だったが、新型コロナが風向きを変えた。
カラオケパブ・ベスパのオーナー 雑談ひとりさん:
落ちてしまうのはみんな一緒だが、次にあがるタイミングがなかなか…本当に大変です。

そう話すひとりさんだが、気にかけたのは店のステージにあがっていたパフォーマーたちのこと。
そこで、2020年に新たな事業に乗り出した。
カラオケパブ・ベスパのオーナー 雑談ひとりさん:
配信の事務所を去年から段取りし、うちのパフォーマーが動き出している
LIVE配信アプリ「17ライブ」で活動するパフォーマーが所属する事務所を立ち上げた。

「17ライブ」は、2017年に国内でリリースされたライブ配信アプリ。
youtubeと異なり、ライバーと呼ばれる配信者が視聴者と生中継でやりとりできるサービスが人気で、全世界で4,500万ユーザーが登録している。

ひとりさんが運営する事務所には、現在40人ほどのライバーが所属している。
登録料などの会費はない。
歌や踊りを披露するパフォーマーもいれば、視聴者からのコメントを読み上げながらおしゃべりを繰り広げる「雑談」といったジャンルのライバーも。
「ギフト」の報酬がバイト代よりもプラスに
県内の大学に通う「チョフティー」さん。

彼女が配信を始めた理由を聞くと…
チョフティーさん:
学生だが、コロナの影響でシフトに入れなくなった。金銭的に困り、誘われたので始めた
17ライブで活動するライバーは、パフォーマンスの対価として報酬を受けとることができる。
その金額は、視聴者がライバーの配信中に贈る「ギフト」の量で決まる。

「ギフト」は、視聴者がライバーを応援するためのアイテムで、アプリ上の仮想通貨で購入する仕組み。
事務所に所属する「ライバー」は、贈られたギフト分の報酬を「アプリの運営会社」と所属する「事務所」で分け合う。
コロナ前はアルバイトで月8万円稼いでいたというチョフティーさんに、どのくらい収入があるのか聞いてみると。
チョフティーさん:
正直言って前のバイト代(月8万円)よりあるので、プラスになっている

事務所ではライバーに配信についてのアドバイスを送り、視聴者が増えるよう協力している。
アプリを運営する17ライブ側も、事務所と提携することでメリットがあるという。
17LIVE・大淵公晴CBO:
地方によっては(17LIVEの)認知が低かったり、地方から配信しているライバーが少ない。「便利なものがある」というのを知ってもらうには、われわれ単体でやるには限界がある。ライバー事務所と手を組んで、利用してもらうのを拡大している状況

視聴者とのコミュニケーションは心のよりどころ
こうした中、配信を通じて自分の居場所を見つけたというライバーもいる。
女子高生ライバーのゆずきさん。
ダンサーとして活動していたが、コロナ禍でステージにあがる機会が減り、ライブ配信を始めた。

未成年の彼女の場合、母親が配信をチェックし、視聴者の言動や行動を確認するようにしている。
ゆずきさんの母親:
元々は人見知りだったので、上手に人としゃべれるようになったと思っている
ゆずきさんは、配信に集う視聴者とのコミュニケーションは心のよりどころだという。
ゆずきさん:
本当にすごく楽しい、配信を続けていきたい。みんなから言われるようにポンコツ配信だけど、たくさんの人に楽しんでもらえるよう配信をがんばりたい

コロナによって変わりつつあるエンターテインメントの世界。
スマホ1つで可能性が広がる。
(石川テレビ)