鳥取県で7カ所開設されている「森のようちえん」。自然の中でのびのびと子ども達を育む取り組みとして、注目されている。

緑に囲まれた環境で遊び学ぶ

ここは鳥取市にある「森のようちえん」。

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園内の看板には「ホースクロッシング」と書かれている。

園児:
馬に乗りたい人、馬場に集まれ~!

走る園児の先にいたのは、ポニーだ。

「空山ぼくじょうようちえん ぱっか」。

自然を生かした環境で子どもを育てる森のようちえんでは、遊ぶだけでなくお世話もする。

亡き夫と作った牧場で…

ここ「ぱっか」のコンセプトは、ポニーを通じた学び。園長の石井優子さん(61)は5年前、特別な思いで「ぱっか」を開園した。

亡き夫、博史さん(享年59)。

博史さんは、若いころから東京でポニーを通した青少年の育成に取り組んでいて、1997年に鳥取にUターンし、夫婦でポニー牧場を開設。

乗馬体験など、子ども達が馬と触れ合える場を作るとともに、不登校の子どもや覚醒剤に手を出した高校生も受け入れた。

ぱっか・石井優子園長:
誰とでも丁寧に向かい合って、優しく穏やかに付き合う人だった。

しかし、博史さんは10年前、病気で亡くなった。

「子ども達にいろいろな教育の場を設けたい」という夫の思いを受け継ぎ、石井さんが牧場内に開いたのが、「森のようちえん ぱっか」だった。

ぱっか・石井優子園長:
私たちの力ではどうにもならない、尊い対象の馬がいることで、いろいろな子がいい感じになるのを体験してきたので、これじゃないかなと思っています。

園児不足で運営に不安も「ようちえん留学」を計画

ぱっかが今直面している課題のひとつが、園児の確保。鳥取県内に森のようちえんは7カ所あるが、希望者が少なく休園しているところもある。

森のようちえん全国ネットワーク・藁谷久雄事務局長:
認可幼稚園や保育園は無償化で、認可外保育園や無認可の森のようちえんは月謝を払わないといけないので、そこに差ができたことで、森のようちえんに行かせたい親が減ったと考えられる。

ぱっかの現在の園児は21人。25人の定員を下回っていて、ようちえんの運営に不安を抱えている。

こうした中、石井さんは隣町に古民家を借り、県外から家族ごと園児を受け入れる「ようちえん留学」の計画を進めている。

ぱっか・石井優子園長:
ここに滞在してもらって「ぱっか」に通うのを県外とか都会の方が来てくれるような、泊まるような場所が欲しくてここを借りた。森の中で毎日とか、馬の側で毎日というのは、なかなか理解されにくかったり、毎日じゃなくてもいいわと思われたりするんでしょうけど、もっと広い意味で子どもを育てられることをわかってもらう努力をしないといけない。

夢半ばで亡くなった夫の思いも受け継いだ、森のようちえん ぱっか。

「ぱっかぱっか」という馬の足音とともに、ようちえんを子どもの笑顔でいっぱいにしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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