空腹時に起きるお腹の「ぐるぐる音」から、助けてくれる文房具が販売され、注目を集めている。
それが印刷企業のアインズ株式会社が4月1日に発売した、食べられるメモ帳の「kamihime(カミヒメ)」だ。

「静かな空間に響く“グー”というお腹の音をなんとかしたい!」というTwitterのつぶやきをきっかけに、開発チームにも同じ悩みを抱えていた人がいたことから、開発が始まったというこの商品。
授業中や会議中などの静かな場所で使ってもらうことを想定し、「メモ帳であればいけるのではないか」との仮説から、誕生したのだそう。

一見すると普通のメモ用紙にしか見えないが、「可食紙」というでんぷんでできた食べられる紙で、さらに同封のフードペン(無味の可食インクを使用したペン)を使えば、絵や文字を書いた後からでも食べることができるのだ。
なお、フードペン以外のペンで文字を書くことも可能だが、その場合は「kamihime」を食べることができない。

また、パッケージの箱は食べ物の香り付きで、箱の内側に描かれた食べ物の絵柄部分を擦るとその香りが広がるということだ。
香りはオレンジ、いちご、カレー、バニラの4種類で、メモ用紙20枚と黒色のフードペン1本付きで、ひと箱2000円(税込み)。同社のオンラインショップ「Eins Eco&ユニバーサルshop」で購入することができる。

実は「kamihime」は、開発の段階で編集部でも一度紹介していた商品。改良を重ね、記事公開から半年以上を経て、ついに4月1日に発売となったのだという。
(参考記事:空腹時に“食べられる”メモ帳が誕生...お腹の「ぐるぐる音」をかき消す工夫もいろいろすごかった)
どういった部分が改良され発売に至ったのか? 以前はなかったパッケージの香りをつけることにした理由とは?
アインズ株式会社のfrau・商品開発担当の寳田萌花さんに話を聞いてみた。
おいしくお召し上がりいただくために…
ーー改良された部分を教えて。
大きく分けて、「商品性」と「安全性」を改良しました。
前回の開発途中段階では、メモ帳のフタを開ける際にお腹の音をかき消す機能を付けておりましたが、「開ける時に音が鳴ることで注目をあびると逆に恥ずかしい」との声がありました。
商品性の改良として、弊社の「香料印刷」という技術を使用し、パッケージに食べ物の香りを付けました。安全性の改良としては、衛生面に配慮して、パッケージの中面に「抗菌インキ」を使用しました。
ーー改良で苦労した点は?
「食べられるメモ帳kamihime」はメモ帳でありながら食べることが出来る商品ですので、お客様に安心して食べていただけるよう、パッケージの中面に抗菌インキを使用するなど、衛生面に配慮した点です。

ーーこだわった点は?
味のない食べられる紙とフードペンをおいしくお召し上がりいただくために「香料印刷」を使用してパッケージに食べ物の香りを付けた点です。
お昼ごはんとお菓子をイメージしてデザインをした、パッケージ中面のイラスト(オレンジ、いちご、カレー、バニラ)に応じた香りを付けました。
例えると少し甘さ控えめの“最中の皮”
ーーこだわりの4種類の香りはどのようにして決まった?
kamihime開発チームの意見や、社内の声を取り入れた結果、今回の4種類の香りが選ばれました。
ーーオススメの香りはどれ?
「カレー」です!ガツンとくるスパイシーな香りは、4種類の中でも唯一「主食」分類の香りなので、より空腹を満たしてくれるはずです!!

ーー味や食感、メモとしての使い心地は?
明確な「味」としてはありませんが、人によっては甘みを感じる方もいらっしゃいます。例えると、甘みも食感も「最中の皮」が一番近いです。少し甘さ控えめの最中の皮に近いので、あんこをはさんで食べられる方も増えるのではないかと思います…!
フードペンは、一般的なペンと比べても大きな差は見られない為、メモ帳としての機能はパーフェクトです!
ーー何枚くらい食べると、空腹感がおさまる?
個人差はありますが、目安として3枚ほどをおすすめします。
ーー賞味期限はあるの?
食べられる紙、フードペン、どちらも賞味期限があり、食べられる紙は約2年、フードペンは約3年ほどの賞味期限となります。成分表示とともに日付を記載しております。
4月1日発売で「嘘じゃなかったの?」という反響
ーー発売にはどういった反響があった?
発売日が4月1日「エイプリルフール」の日だったので、まず多かったのが「どうせ嘘だろう」という声でした。しかし4月2日以降からは、「嘘じゃなかったの?」「上司の前で食べてみたい」「スパイごっこしてみたい」など、たくさんの方から驚きの声をいただきました。

ーー反響に対してはどう感じている?
元々想定していた食べ方としては、どうしても避けられない会議中や授業中での空腹時や、友達、家族の前での突然紙を食べだすドッキリでしたが、Twitter上の反響では、先ほどの質問でお答えしたような面白い食べ方を“逆に”提案いただきました。今回のkamihimeの開発を通して、お客様の声をダイレクトにいただくことができたので、次の商品開発にも活かせそうです。
ーー第2弾はすでに考えているの?
「紙でちょっと自慢したくなる商品を作り出す」をコンセプトとした「紙姫」シリーズ第2弾の商品として、「便せん」を考えておりますが、こちらも「ただの便せん」ではございません…。ひと工夫加えております。(※食べられる予定はございません。)お楽しみに!

開発途中の段階で記事となり、そこから改良を重ね、半年以上を経ての発売となったことに対し、「本当に市場に評価いただけるのか?発売するまではドキドキでした。4月1日からの皆さまの反応は、大変うれしく思います」と話している。
なお、新商品の情報はアインズの企画チーム「frau」のInstagramやTwitter、YouTubeなどで発信していくとのことで、気になる人はチェックするといいだろう。
ふとした瞬間の空腹時に、安全でおいしくを追求した「kamihime」を食べて、小腹を満たすだけでなく、周囲を驚かせるのも面白そうだ。
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