“生理”の課題 解決に向け勉強会がスタート

今、政治が“生理”に目を向けている。3月29日、公明党の呼びかけで、自民党、国民民主党の議員らが参加した「生理の問題について話を聞く会」が国会内で開催された。

会の冒頭、公明党の古屋範子副代表は「(公明党は)地方議員のネットワークがあるので、それぞれの自治体でこの問題に取り組ませて頂きたい」と強調。また、自民党の森雅子議員は「自民党でも生理の貧困、女性の問題について皆さんと力を合わせて解決していこうと思っている」と述べた。国民民主党の伊藤孝恵議員も「ピルやアフターピルへのアクセス、生理教育、強固なスティグマ、こういった課題に超党派で取り組んでいけることを嬉しく思う」と述べるなど、各党が生理をめぐる課題解決に積極的に取り組む姿勢を示した。

これまで声を上げにくかった生理に関わる問題をタブー視せず、女性が健康に過ごすためには何が必要なのか。“生理政策”を進めるための取り組みが始まっている。

“生理の貧困” 国会で議題に

3月4日の参議院予算委員会では、以下のような議論が交わされた。

「いま世界各国で女性の月経に関する“生理の貧困”という問題について動きがあります。実態を把握し必要な対策を検討していただきたい」(公明・佐々木さやか議員)

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「経済的な理由で生理用品を購入できない女性や子どもがいるという“生理の貧困”の問題に対応するため海外では生理用品の無料配布などが行われていると伺っている。今後何ができるか検討してまいりたい」(丸川珠代女性活躍相)

経済的な理由で生理用品を買うことができない“生理の貧困”。コロナ禍で顕在化したこの問題の背景には、若者のアルバイト収入の減少などがあると見られている。この問題に取り組んでいる民間団体の調査結果では、アンケートに回答した若者のうち5人に1人が金銭的理由から生理用品を買うことに苦労したことがあると答えていて、深刻な問題の一つとなっている。

この4日の予算委員会で公明党の佐々木議員は丸川大臣に対し、“生理の貧困”について国としての実態把握や学校での生理用品の無料配布を訴えた。

“生理の貧困”対策が加速

その後15日には、公明党の竹内政調会長が菅首相に手渡した生活困窮者対策の提言の中で、経済的理由で生理用品を買えない女性や子どもがいることを指摘し、「実態把握と必要な対策の検討」を要請した。

公明党チャンネルより
公明党チャンネルより

さらに20日の参議院予算委員会では「数百円が出せない現状が広がっている」(立憲民主・蓮舫代表代行)と野党からも菅総理に対策を求める声が上がった。

政府は坂本一億総活躍相がとりまとめる形で、生理用品の無料配布も含め、孤独や生活に苦しむ女性を支援するため、予備費から13億円余りを計上しての対策を発表した。

自治体も続々無料配布

東京・豊島区の備蓄品を活用した無料配布
東京・豊島区の備蓄品を活用した無料配布

政府の動きとは別に、地方の自治体でも取り組みが広がっている。東京・豊島区では15日から、備蓄品を活用した生理用ナプキンの無料配布を開始。生理用ナプキンを保存食などと合わせて袋詰めにしたもの700セット超を、区役所の女性相談窓口や社会福祉協議会などを通じて提供した。22日からは東京・足立区も生理用品500パック分の無料配布を行った。また兵庫・明石市でも生理用ナプキンの無料配布が行われることになった。

東京・足立区の生理用品500パック分の無料配布
東京・足立区の生理用品500パック分の無料配布

スピード感をもって対策実施の背景は

このようにスピード感を持って対策が実現した“生理の貧困”だが、その背景の一つとして、現場から上がった声が政党を通じて政府や自治体に伝えられたという面もある。明石市の例では、市議会の公明党会派からの申し入れがあった。公明党は昨年10月の時点で既に、民間団体の「♯みんなの生理」から、生理用品の負担軽減の要望を受けていたほか、若者らと意見交換を行うなどし、地方で対策に動くと共に、総理官邸への働きかけも行ってきた。

公明党議員が「いち早くこの問題を国会で取り上げた」と強調するように、公明党にとって“生理の貧困”は、「福祉の党」という看板にかけて取り組むべき政策課題の1つだった。

自民党や野党においても問題意識は強く、同時に政府としてもコロナ禍で問題が切実なものとなり、対策を急がなければならなかった背景もあると言える。

コロナ禍が長期化する中、これまで見落とされがちだった様々な問題について、政府与野党の立場を問わず、政治がどのように現場からすくい上げ、向き合い、解決策を実行していくのか、今後も注目される。

(フジテレビ政治部)

政治部
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