感染・医療提供体制とも“最も深刻”
「今後、変異株等により急激に感染の再拡大が起こる可能性がある」
東京都で3月25日に開かれた新型コロナウイルスのモニタリング会議。感染状況・医療提供体制ともに警戒レベルを最も深刻なレベルに据え置いた。

感染状況については、新規感染者数の7日間平均が前回の293人から300人に増えていた。
第2波の時は7日間平均がピークの346人から十分に減少せず、150人から200人の間で増減を繰り返した後、急激に感染が拡大して第3波を迎えたとした上で、250人を下回らず推移していることから、「第3波を超えるような経過をたどることが危惧される」との分析が示された。
歓送迎会や卒業パーティーを警戒
「第3波では、クリスマスや忘年会等の行事から感染拡大する例が見られた。卒業や人事異動の季節を迎え、歓送迎会や卒業パーティー等を通じての感染拡大に対する十分な警戒が必要である」
国立国際医療研究センター大曲貴夫国際感染症センター長は、イベントによる感染拡大への警戒を強く呼びかけた。

「かつて来た道」会食感染増で家庭内感染も増へ
感染経路については、家庭内感染が最も多く46.2%で、次いで施設内感染が30%となった。ここまではこれまでの傾向と変わらないが、職場内感染が8%から9%へ、会食による感染も3.7%から5.1%に増えていることは、不安が残るものだった。
「会食での感染が増えると、家庭内が増える」
これまでの3回の大きな感染拡大の時と同じ“兆し”に、都庁内では「かつて来た道」と既視感をもって受け止める向きもある。
「せいぜい7000床~8000床」長引く通常医療への影響
また、医療提供体制は、入院患者数が前回の1270人から1371人に増えており、「入院患者数は増加傾向にあり、通常医療への影響が長期間続いている」との見方が示された。
「7000床とか8000床くらいがせいぜいだろうと思う」
東京都医師会の猪口正孝副会長は、厚労省が第3波の2倍を想定して病床などを確保するよう通知したことについて、「東京は5000床確保しているが、1万床用意するということになると、とてもそういうことは出来ない」と指摘。

増やせてもせいぜい7000床、8000床くらいとの見方を示した。
その上で、病院間での連携強化、入院調整の強化や宿泊療養を増やすなど効率性を上げなければ通常医療がもたない、とも述べた。
感染者増でワクチン接種に支障の恐れ
「今はぎりぎり通常医療とコロナ対応の両立ができているけれど、これ以上感染者が増えると両立できなくなる」
都の幹部は、このまま感染者が増加すれば、コロナ対応に医療従事者がとられ、高齢者のワクチン接種に当たる医療従事者も確保できなくなる、という危機感も募らせている。

花見宴会は避けて
「今日も桜満開。週末が迫っているが、花見宴会は避けて頂くことによってリバウンド防止にご協力いただきたい」
小池知事は、リバウンド対策への協力を呼びかけるとともに、変異ウイルス検査の拡充や病床の確保など、対策を進める考えを示した。
ワクチンが行き渡るまでの間、今のギリギリの状態を保つことができるのか、多くは個人個人の対策の徹底に委ねられている。

(執筆:フジテレビ都庁担当 小川美那記者)