ルーキーのオープン戦では、ドラフト制以降最多となる6本目のホームランを打ち、話題をさらった佐藤輝明選手。

ホームランを打った翌日には各スポーツ紙が一面で取り上げ、3月26日に開幕する日本プロ野球でも、そのルーキーらしからぬ打力に期待が集まっている。

その佐藤選手の打撃シーンを見て「メジャーリーグでもパワーは通用する」と絶賛したのは、昨年のサイヤング賞投手のトレバー・バウアー選手だ。

バウアー選手が見た佐藤選手の実力と、高校時代のエピソードを追った。
 

「野球がうまいからって偉いわけじゃない」

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現在22歳、今年ルーキーイヤーの佐藤選手は、仁川学院高等学校を卒業し、近畿大学で一年生の頃から主軸を担うと、2018年には日米大学野球選手権とハーレムベースボールウィークの日本代表に選出。

関西学生野球リーグのリーグ戦通算本塁打記録を更新し、今年阪神にドラフト1位で入団した。

身長187cm・体重94kgという恵まれた体格から繰り出す底知れぬパワーで、オープン戦で大活躍。

ルーキーとしてはドラフト制以降最多のホームラン6本を打ち、話題をさらい続けた。

仁川学院野球部・中尾和光部長は、高校時代の佐藤選手の驚きのエピソードを語る。

「職員室に佐藤が入ってきて、『失礼します。窓ガラス割りました…』というので、『何やってんねん。何しとったんや』と聞くと、『ティーしていました』というんです」

「『どこから打ったんや』と聞いたら『ホームベースからです』と。
ホームベースからロングティーで120m近く飛ばしていたということで、『ナイスバッティング』って言って、もう怒れないというか…」

逸話もさることながら実力だけではないのが、大物ルーキーの証だ。

「彼がドラフト指名を受けた後、話をした時に『野球がうまいからって別に偉いわけではない』と。それをサラっと言っている姿にちょっと感心しました」
 

「大谷翔平の能力と似たようなものを感じた」

無限の可能性を秘めたルーキーの実力を分析したのが、超大物メジャーリーガーだ。

2020年サイヤング賞トレバー・バウアー選手(30)

去年、サンディエゴ・パドレス所属ダルビッシュ選手と争い、ピッチャー最高峰の栄誉・サイヤング賞に輝いたトレバー・バウアー選手。

2015年から5年連続で2桁勝利を挙げているメジャーを代表するピッチャーの1人だ。

佐藤選手がルーキーという事を伝えずに映像を見てもらうと、その完成した姿に驚きを見せた。

「彼は何歳?22歳!?27歳か28歳くらいかと思ったよ、クレイジーだね」

さらに「パワーは間違いないね。メジャーでもパワーは通用するだろう」と続ける。

驚きのバッティングを見たバウアー選手が例えたのが、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手だ。

「彼は間違いなく注目に値するね。大谷翔平の能力と似たようなものを感じた。実際には翔平との違いはあるけど、パワーで反対方向へ放ったり引っ張ったり、パワーと運動能力という面で似ているね」

大谷選手はメジャーリーグのオープン戦でも広角に打ち分け、10戦連続安打、打率6割、4本塁打と驚異的な数字を残している。

バウアー選手は、大谷選手と佐藤選手との共通点は、逆方向へのホームランだと分析し、投手としては厄介だと話す。

「左バッターで反対方向にも打てるパワーがあるのは感心する。ストレートを呼び込んで反対方向へ打てるバッターは、変化球でも入ってくるのを待って引っ張ってホームランに出来るから、対戦するピッチャーとしてはとても厄介だよ」

ホームランを逆方向へ打てるということは、インパクトのポイントが後ろにあるということだ。

実際に引っ張っている時と比較してみると、ポイントが後ろにあるのが一目瞭然。

ボールをしっかり引きつけけられている為、変化球にも対応することができるのだ。

サイヤング賞投手も認めたその実力。

野球解説者の野村弘樹さんも「本当に凄いルーキーが登場しました」と太鼓判を押す。

「彼の引っ張った打球というのは、少しラインドライブ(直線的な軌道で飛ぶ打球)がかった打球が非常に多いんです。この打球がしっかり上がってくるようになると、相当な数のホームランを打つようになると思いますよ」

ルーキーのシーズン本塁打記録は、清原和博(1986年)、桑田武(1959年)が打った31本だ。

3月26日に開幕を迎える日本プロ野球で、佐藤選手が今年何本の本塁打を打つか、注目が集まっている。