なぜ王室離脱の1年後に…

3月7日(日)午後8時から2時間ほど、アメリカのCBSテレビ特別番組でヘンリー王子とメーガンさんがインタビューに答えた。オプラ・ウィンフリーさんが司会を務め、はじめはメーガンさんが話し、その後、ヘンリー王子が合流した。

メーガンさんの発言には、衝撃を受ける部分が多かった。まずは、王室内で人種差別をほのめかす言葉をヘンリー王子を通じて聞いたという。「赤ちゃんの肌の色はどのくらい濃いか」との会話が交わされたそうだ。しかし、口にした個人名は明かさなかった。

メーガンさんは子どもの肌の色について王室関係者から人種差別的な発言を受けたと主張した(HARPO/CBS)
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すぐに、いくつかの疑問点が提出された。王室内で人種差別があったのであれば、そもそもメーガンさんを結婚させなかったはずだ。母親がメーガンさんなら、赤ちゃんの肌の色は濃くなることも考えられる。今さら話題にするだろうか。また、メーガンさんは人種差別を受けたと捉えたのであれば、すぐに女王に訴えるべきだった。王室離脱して1年経ってから言い出すのは、おかしな話だ。

ロイヤルの自覚のなさが国民の心を遠ざけた?

次に、メーガンさんが自死を考えるくらい辛かった、と訴えたことだ。それなのに王室は助けてくれなかったと言う。確かに、メディアがメーガンさんをバッシングした時期はあった。豪華な結婚式を挙げるなど歓迎したはずのメーガンさんだったが、国民の気持ちはすぐに離れた。

それはメーガンさんにも非がなかったか。高価なブランド品を次から次へと身にまとったが、最高額はモロッコ外遊時の1着1000万円のドレスだった。貧困女性を援助する慈善団体訪問に数十万円のワンピースを着用して反感を買い、「イギリスのマリーアントワネット」と揶揄された。

義務と責任を負うロイヤルをセレブと間違えているのでは、と批判された。しかも公務の際にシャツの前ボタンを2つ開け、国民と触れ合う際は控えめにして、ボタンは大きく開けないようにと注意された。しかし、その次はボタンを3つ開けて下着が見えてしまい、王室マナーを尊重しないのかとの声が上がった。

王室では服装のマナーにも厳しい目が向けられる

メディアに叩かれて辛かったとメーガンさんは訴えるが、なぜそうなったかを自省する気持ちがあれば、と言われている。

キャサリン妃も結婚当時は、ドレスのすそが風でめくれ上がり太ももを見せてしまう失敗があった。キャサリン妃は、その後はスカート丈に注意を払い、薄くて軽い素材を避けるなど気を使った。叱られるたびに学んでいき、王室に馴染む努力を国民は好ましく受け取った。

キャサリン妃とメーガンさん 泣かされたのはどちらか

3番目のショックは、「キャサリン妃がメーガンさんから泣かされた」としていたこれまでの話を、メーガンさんがきっぱり否定したことだった。事実は、「その反対です」と断定したのだ。

ヘンリー王子とメーガンさんの結婚式の数日前に、衣装合わせが行われた。幼い少女たち数人がフラワーガールとして花嫁に付き添う。シャーロット王女もその中の1人だった。キャサリン妃は、ロイヤルウエディングではフラワーガールは白いタイツを履くことになっていると話した。

ヘンリー王子とメーガンさんの結婚式は華やかに執り行われた

ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式では、フラワーガールはそろって白いタイツ姿である。これにメーガンさんは頷かない。5月の暑い時期に子どもがタイツを履くのはおかしい、と言い返す。なんとかわかってもらおうとキャサリン妃が説得にかかっても、メーガンさんは鋭く切り返すだけ。ついにキャサリン妃は泣いてしまったというものだった。

しかし、この度のインタビューの中でメーガンさんは「泣いたのは私」ときっぱり。キャサリン妃が花を持って謝りに来たのがその証拠と言う。しかし、キャサリン妃が花を贈ったのは結婚のお祝いであって、特に謝罪のためではないのではないか。タイムズ紙は、花を抱えたキャサリン妃の顔の正面でメーガンさんがドアを勢いよく閉めたと書いた。

英国内での夫妻への怒りは小さくない

インタビュー後に、女王はチャールズ皇太子とウィリアム王子と会談を開き、翌日に声明を発表した。つらい思いをしたという2人に気持ちを寄せながらも、人種差別の件では、「記憶が異なる点があるかもしれないが」との言葉を入れて、認識の違いがあることをにおわせた。

最後には、「3人は愛しい家族の一員であることは変わりありません」と結んだ。この温情あふれる言葉を女王が彼らに使用するのは3回目である。非難も謝罪もないが温かく、完璧な声明と言われた。

夫妻の主張を受け、エリザベス女王は「真剣に受け止め対処する」と表明(画像は2020年のクリスマスメッセージ)

テレビ視聴後、アメリカでは総じて2人に同情する人が増え、イギリスでは、10代から40代までの若い層は夫妻に、50歳以上の中高齢層は王室に気持ちを寄せている。ただ、イギリスでは家庭内の問題として対応されるべき事柄を世界70カ国にテレビを通じて触れ回ったサセックス公爵夫妻への怒りは小さくない。

デイリーメール紙は、インタビュー内容の精査をさっそく開始。矛盾、ウソ、間違いなどを17項目にわたって発表している。ボディ・ランゲージの専門家は、瞬きの増え方、額の小さなしわ寄せ、口角の上がる角度などから、2人の深層心理を明かしている。嘘をついた後のかすかな笑みも見逃さない。メーガンさんの形勢は不利になっている。

さらに王室内スタッフへのメーガンさんによるいじめについても、メーガンさんは当時のEメールやテキストメッセージを提出するよう王室側に求めた。人種差別やメンタルヘルスなど抗いにくい項目を前面に押し立てて、王室に戦いを挑んだのだ。

決着がつくまで、まだしばらく時間がかかりそうである。

【執筆:英国王室ジャーナリスト 多賀幹子】