現役高校生の米須玲音ホームデビュー

その時は99-57と川崎ブレイブサンダースが大量リードで迎えた最終クォーターのオフィシャルタイム明け、残り4分54秒に訪れた。

「ヘッドコーチから『いつ出てもいいように準備をするように』と言われ、ベンチでマッチアップする選手を見たり、色々と考えながら試合を見ていた」という東山高3年で特別指定選手の米須玲音(18)が初めてホームコートに立つ。

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「残り5分弱で試合に出て、先輩から『思いきりやれ』と言われた。自分でボールを持ってシュートを決めてアシストをすることもできたのは良かった」という米須。

残り2分を切ったところで、得意のパスからキャプテン篠山竜青(32)の得点を生み出すアシストをマークすると、残り44秒にホーム初得点となるジャンプショットを沈める。

さらに、終了間際の残り7秒には自ら切り込んでレイアップシュートを決め、4得点1アシストをマークした。

「最後のホーム戦、出たかった」

京都・東山高校でキャプテン・司令塔として活躍し、1月に川崎へ加入。2月のレバンガ北海道戦でデビューを飾り、アウェーで3試合に出場。13日の天皇杯終了をもって特別指定選手としての活動を終える前にホームでファンに雄姿を見せられた。

デビュー戦で初得点&アシストをあげたレバンガ北海道戦・2月13日
デビュー戦で初得点&アシストをあげたレバンガ北海道戦・2月13日

「デビュー戦がアウェーで試合に出ることは達成できて良かった。最後のホーム戦で出たいという思いはあったが、チームが勝つことが一番だったので、自分が出ることがあったら、自分のやるべきことをやって、チームの雰囲気を良くしたいと思った。アウェー戦とは違ってホームはファンの声援の中でプレーすることができたのは嬉しい」と米須。

「全試合アシストを決めることができた」

4試合に出場し8得点4アシストをマークしたBリーグ1年目については「自分が得意とするのはパスで、全試合アシストを決めることができて、そこは評価したい。自分が苦手としているディフェンスが最初は苦戦する部分もあったが、練習していく中で慣れて、自分のディフェンスをしっかり試合の中でできたんじゃないかと思う」とプロでの収穫を口にした。

コーチ&チームメートから見た才能

米須を見続けてきた佐藤賢次ヘッドコーチ(41)も「今まで出た試合、自分の持ち味を全て発揮してくれた。自分が持っている強みだとか特徴を周りに伝えてその通りにプレーをクリエイトする。出た時間で必ず発揮するのは本当にすごいなと思う」と高く評価した。

さらに、「連戦が続いていたので、チームで練習する機会がない中、個人でしっかり練習して、映像で振り返ったり研究する日常を繰り返して、こうやって試合に出て実際にやれるようになっていく。本当に成長したなと思う。今後に関しては、しっかり体を作らないといけない。プレーに関してはまだまだ成長すると思うし、今の感覚を信じてやっていってもらえたらと思う」とエールを贈った。

居残りシュート練習・2月27日
居残りシュート練習・2月27日

また、この試合で24得点をあげたジョーダン・ヒース(29)も「すごく才能を持った選手だと思っている。篠山竜青選手や藤井祐眞選手もパスが上手いが、彼は18歳という若さでそのレベルのパスができるのはすごいと思う。ここから先、どういう選手になっていくのか成長を楽しみにしている」とパスの才能を認めた。

4月から大学に進学「課題は体作り」

4月からは日本大学に進学し、新たな生活が始まる。「プロでやっていく中で一つの課題として、線が細いので大学1年目は体作りをテーマにガード以外の選手とマッチアップしても戦えるようなプレーヤーになっていきたい」と目標をくっきり視界に捉えている米須。

プロでの経験を糧に、大学ではどんな輝くプレーを見せてくれるのだろうか。

2月28日
2月28日

川崎ブレイブサンダース 112-75 新潟アルビレックスBB
(3月7日・川崎市とどろきアリーナ)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。