深谷ねぎが“スティックシュガー”に

「近代日本経済の父」渋沢栄一の出身地である埼玉県深谷市は、渋沢が主人公の大河ドラマ「青天を衝け」の放送もあり、注目を集めている。

そんな深谷市の有名なものと言えば「深谷ねぎ」だ。今、この深谷ねぎが“砂糖”に姿を変え、話題になっている。

親父が地元でもの作って売ってるんだけどこの不況で売れないからって捻り出した答えがこのスティックシュガー。親父・・・

写真と共にこのように投稿したENEMYS Sou(@enemys_sou)さん。写真には、一見“深谷ねぎ”に見えるものが写っているが、その正体は、深谷ねぎに見たてたスティックシュガーの「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」(1箱:3g×20本入り、税込432円)だ。

「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」
「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」
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スティックシュガーは、白と緑が配色された紙袋に入っており、たしかに深谷ねぎのような見た目をしている。さらに箱には「深谷ねぎ」と書かれ、本当のねぎが入っているような段ボールで細部までこだわりがあることがうかがえる。

「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」は、 ENEMYS Souさんの親戚でもある、深谷市の旅館「きん藤(とう)」の女将が発案 、ENEMYS Souさんの父親が経営する砂糖類の製造、販売などを行う会社「はやし物産」が製造をしている。

販売場所は「きん藤」や「渋沢栄一翁ふるさと館OAK」「深谷大河ドラマ館」「とんとん市場深谷店」の深谷市内4カ所で販売しているという。また2月24日からは、はやし物産のサイトでネット販売も始まった。

創業190年以上の旅館「きん藤」
創業190年以上の旅館「きん藤」

この投稿には「イカしてますねぇ。深谷」や「これは欲しい」、「売れますよ」などのコメントが寄せられ、1万8000超のいいねが付いている。(2月24日現在)

ありそうでなかった「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」のアイデアは、どこから生まれたのだろうか? 深谷市出身の筆者が、開発の経緯について発案者のきん藤の女将さんにお話を伺った。

何度も断られるも諦めきれず…

ーー構想1年とのことだが、「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」の開発の経緯は?

深谷は今まで観光地では無かったので、お土産の種類があまりありませんでした。大河ドラマ館が深谷にできることとなり、昨年2月に商工会議所がお土産開発についての勉強会を開いてくださり、それに参加しました。

お土産つくりのポイントをいくつか教わり、帰りの30分の車の中で、ねぎシュガーを思いつきました。家に帰って広告の裏紙に色や箱や文字のデザインを書き留め、大まかな販売計画を立て、早速翌日に(きん藤の)社長に交渉しましたが、「売れないね」と撃沈。次に製造会社の担当者に掛け合ってみましたが、こちらもよい返事はいただけず、やはり素人の考えでは商品開発など無理なのだなと一旦はあきらめました。

ーーでは、最終的にはどのようにして商品化が決まったの?

その後、親族の集まりなどで掛け合ってみましたが、同じ反応。でも諦めきれず原案の裏紙はずっと目に見える所に張っておきました。秋頃、商店街の若女将の会議でお土産開発の話が持ち上がり、その場で没になった案をもう一度女性に聞いてみたところ、男性にはない「かわいい」「絶対売れる」との反応がありました。

その言葉をもって社長を説得し、はやし物産の担当に全額自分で払ってもいいから作ってみたいと懇願し、最小ロットで商品化していただきました。ですので構想1年というのは30分で考えた案を説得し、商品化するまでに1年ということでした。

ーー開発でこだわった部分は?

深谷に住んでいればよく目にする箱入のねぎそのままで形にすることです。実際ねぎ直売所に行って箱を見てきました。袋の文字も筆文字みたいなのが希望と伝えました。


ーー親戚のTwitterで話題になっているが、反響はあった?

はい。若い方や学生さんが「ツイッターを見て買いに来ました」と当店まで足を運んでくださいます。また、ツイッターで反響があってから売れ行きがよくなりました。
 

深谷に興味を持ってもらえる商品をもう一品

ーー大河ドラマ「青天を衝け」で注目を集める深谷市だが、旅館業やスティックシュガーの売れ行きに、大河ドラマの影響はあった?

旅館業は渋沢栄一効果は多少ありました。コロナ禍ですので宿泊者が激減していますが、元々ビジネスが中心のお客様が、ドラマ化が決まってから観光を目的としたお客様の割合が増えました。

ただ今は緊急事態宣言中ですので、開店休業状態です。ねぎシュガーに関しては、販売が4カ所しかないので、大河ドラマ館がオープンしてからは、そちらが一番売れています。

ーー旅館「きん藤」のおすすめのポイントは?

中山道で旅籠として創業190年以上、施設は古いですが、“誠実呼客”をモットーに励んでおります。

ーー深谷市を盛り上げるために今後挑戦してみたいことは?

ねぎシュガー以外にも、もらった方が少しでも深谷に興味を持っていただき、その方が深谷にお越しいただけるきっかけとなるようなお土産をもう一品くらい開発してみたいです。


はじめは何度も商品化を断られたという「深谷ねぎみたいなスティックシュガー」。女将の諦めない姿勢があったからこそ、商品化が実現し、話題になったのだろう。

きん藤で購入する場合は、女将からのサービスで400円で販売しているということで、「ぜひ購入してみたい」と思った人は、一度深谷市に足を運んで購入することもおすすめしたい。
 

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プライムオンライン編集部
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