自民党重鎮のセクハラ擁護発言が炎上
2月18日就任した東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の橋本聖子会長。男性フィギュアスケート選手に対する“セクハラ”報道が再び取り上げられ、会見の場で改めて謝罪した。
大会組織委・橋本聖子会長:
深く反省しております
ところが、この問題をめぐる“ある発言”が波紋を広げている。
その発言の主は第74代内閣総理大臣の故竹下登氏の弟で、自民党の重鎮、竹下亘元総務会長(74)。
自民党・竹下亘元総務会長:
橋本(聖子)さんはああいう性格です。しかもスケート界では男みたいな性格で、ハグなんてのは当たり前の世界です。それをセクハラだと言われたら、これはかわいそうだなと…
この橋本氏の行動を擁護したはずの発言にネット上では「日本の男社会にハグ当たり前なんてない」「森さんからまるで学習していない」などと批判する声が広がった。
「男みたいな性格」を「男勝り」と訂正したが…
さらに「男みたいな性格」としていた部分について、竹下氏の事務所は発言直後「正確には『男勝り』と言いたかった」と訂正。ところが…
これにも「『男勝り』自体が女性を下に見ている」などのツッコミが入る結果となった。
野党からも批判の声が上がっている。
立憲民主党・蓮舫参院議員のツイッター:
この局面でこの発言。昭和から令和に時代は移っています
国民民主党・山尾志桜里衆院議員:
日本の政治家が変わらなきゃいけない。そういう意味で問題意識がちょっと薄い残念な発言だなと思います
街の人にも聞いてみると…
60代女性:
私は別に何とも思わなかったんですけど…
20代女性:
男だからとか女だからという発言は良くないのかな…訂正したところで根本は何も変わらないのかなって思います
言われた橋本聖子会長の受け止めは…
擁護された側の橋本聖子会長自身の受け止めは…
大会組織委・橋本聖子会長:
アスリート時代から活動的というんでしょうか、そういうイメージが強かったのかなというふうに思っております
ーー会長自身は、その発言について不快感を覚えたりはしなかった?
大会組織委・橋本聖子会長:
いいえ。ありません…はい
一方、自民党の片山さつき元地方創生担当相は基本的にはノーコメントとした上で…
自民党・片山さつき元地方創生担当相:
竹下先生ってとってもジェントルマンで良い方だからね。その場にいなかったんで、ちょっと派閥も違うからわからない。これって全部(橋本氏)本人の感じ方だから、ご本人がいいんだったらあんまり周りが言ってもね
「男勝り」の意味を広辞苑で調べてみると…
広辞苑「男勝り:女でありながら、気性が男にもまさるほどに勝気であること。また、そのような女」と説明している。
では、英語で「男勝り」は何という?
では、英語の場合「男勝り」はどう表現するのだろうか?アメリカ出身のタレント、パトリック・ハーランさんに聞いたところ…
パトリック・ハーランさん:
僕はそこそこ英語うまい方ですよ。でも僕の知っている限り、英語に「男勝り」という言い方はないと思います。「男らしい=manly」「男っぽい=mannish」はあるけど、「男勝り」は思い浮かびません。「男勝り」のようなジェンダーを使った評価はやっぱりないです。何で男性が(評価の)尺度になっているのか?この疑問がやっぱりすぐ思い浮かびますね…
「声に出して読みたい日本語」の齋藤孝氏は
イット!のスタジオではコメンテーターで「声に出して読みたい日本語」の著者で明治大学教授の齋藤孝さんに話を聞いた。
加藤綾子キャスター:
(竹下氏発言は)訂正が訂正ではなくなっていますけれども、今の時代、誰かを評価する時に性別が出てくる言葉というのは適切ではないと思うんですよね。もちろん竹下さんは橋本さんをフォローしようと思っての言葉だったと思うんですけれども、齋藤さん、これはどう言えば良かったですかね?
コメンテーター・齋藤孝さん:
うん。例えばですけれど「アクティブな方」とか「エネルギッシュな方」とか、あるいは「非常に活力にあふれた方」とかですね。「人との隔たりを嫌う方」とか…
加藤綾子キャスター:
だから、こうハグするみたいな…
コメンテーター・齋藤孝さん:
そうですね。まあ性別でくくらない他の言い方に換えていく「言い換え力」、そういう言葉教室なんかも必要かもしれませんね
加藤綾子キャスター:
齋藤さんが「言ってはいけない用語辞典」みたいなのを出されたら、ものすごく反響あるかもしれませんね?
コメンテーター・齋藤孝さん:
そうですね(笑)
加藤綾子キャスター:
橋本さんご自身は不快感を覚えていないということだったんですけれども、これはもう皆で気をつけていかなくてはいけないことだと思います
(イット! 2月19日放送より)