国の定額給付金の対象とならなかった赤ちゃんの子育て支援のため、岡山県内の自治体が独自の支援金制度を設けている。

その制度がありながら、支給を受けられなかったという視聴者の方から岡山放送に疑問の声が寄せられた。
一体なぜなのか、取材した。

出産などの苦労をねぎらい 市が独自の支援金制度創設

岡山市に住む20代の女性。2020年5月19日、待望の長男を出産した。
出産日は、岡山県が対象になっていた緊急事態宣言が解除された5日後だった。

岡山市在住の20代女性
岡山市在住の20代女性
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岡山市在住の女性(20代):
散歩もしっかり歩きたいけど、マスクが必要だし、その中で出産して、産んでからも不安なので、極力出かけないようにしている

厳しい環境での出産や子育て。そんな中、届いたのがこんな知らせだった。

岡山市・大森雅夫市長:
コロナ禍の厳しい環境下では、妊婦健診、立ち合い出産や里帰り出産などが難しい。妊娠や出産までの苦労をねぎらい、子育てを応援することを目的に、市独自の臨時的な制度として、新生児子育て応援金を創設する

岡山市・大森雅夫市長
岡山市・大森雅夫市長

岡山市が1月受け付けを始めた独自の支援金。
国の定額給付金の対象にならなかった2020年4月28日以降に生まれた赤ちゃんの子育てを支援するため、3万円を支給する制度。

“転入した人は対象外”支援金受け取れず

女性は、すぐに申し込もうと市に問い合わせたが、返ってきたのは思わぬ答えだった。

岡山市在住の女性(20代):
途中で引っ越しをしている子は対象外と言われた

女性は、2020年5月に出産した時点では津山市に住んでいたが、6月に岡山市に転居。
岡山市の支給対象者は、「出生時に岡山市内に住民登録があり、支援金の申請日まで引き続き住民登録がある者」となっていて、転入した人は支給の対象外だった。

岡山市こども企画総務課・藤井勝課長:
生まれて、子育てをする方という趣旨でやっている

ーー子育ては岡山市でしていくという思いもあるのでは?

岡山市こども企画総務課・藤井勝課長:

制度の趣旨として、出生からということがある

出産した津山市の制度は岡山市と同じく、出生日から申請日まで継続して住民登録がある人が対象で、こちらも支給を受けることはできなかった。

岡山市こども企画総務課・藤井勝課長:
漏れた方には申し訳ないが、制度はどこかで線を引かなければならない。そこは理解してほしい

転出は任意の都合…こぼれ落ちた人にも思いを

転居がきっかけで対象外となる人がいることについて、岡山県子ども・子育て会議の会長を務める佛教大学の佐藤和順教授は、こう指摘する。

佛教大学・佐藤和順教授(岡山県子ども・子育て会議 会長):
財政基盤が必要なことなので、市町村が言うことも分かるが、いつ転出するかという任意の都合でもらえる、もらえないというのは不平等。制度設計をしっかりする必要がある

コロナ禍の中で出産、子育てしているのは同じ。
女性は行政に対し、制度からこぼれ落ちる人にも思いをめぐらせてほしいと考えている。

岡山市在住の女性(20代):
本当は無いものなので感謝しているが、こういうことがあったので、いろんなことを視野に入れて、取り組みを進めてもらえると助かる

(岡山放送)

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