全長1m超!新種の深海魚を発見

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、静岡県沖の駿河湾でセキトリイワシ科の新種となる大型の深海魚「ヨコヅナイワシ」を発見したと発表した。
 

ヨコヅナイワシ 提供:JAMSTEC
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ヨコヅナイワシは2016年2月と11月に、駿河湾の水深2171m以深の調査で4匹見つかっていたが、一般的なセキトリイワシ科魚類が平均35cmほどであるのに比べ、ヨコヅナイワシは全長約140cm、体重25kgに達し、セキトリイワシ科魚類の中で最大種。
これまでに知られるどのセキトリイワシ科魚類とも異なる特徴も示したことから、新種として「ヨコヅナイワシ」と名付けられた。

ヨコヅナイワシは、濃紫色の体に顔部分は青色で、特徴としては、上下の顎に発達した歯列、比較的小さな頭部と目、大きな口、近縁種より鱗列数が多いことなどが挙げられる。

提供:JAMSTEC

なおセキトリイワシ類は、一般的に深海性でゼラチン質プランクトンを主な餌としているが、ヨコヅナイワシの胃の中から魚類の痕跡を検出したことや、魚類を餌として釣獲されたことから、餌として魚を食べることが分かっている。

また2016年11月26日には、水深2572mに設置した特殊なカメラでヨコヅナイワシの生きた姿を撮影することにも成功している。

ヨコヅナイワシの生きた姿 提供:JAMSTEC

「トップ・プレデター」であることも判明

そして分析の結果、駿河湾に生息する生物の中で最も高い栄養段階(生態ピラミッドの最上位)を示していることから、自分自身を捕食するもののいない、生態系の頂点に立つ動物「トップ・プレデター」であることも判明した。

海洋研究開発機構によると、トップ・プレデターは一般的に個体数が少ないと言われていて、ヨコヅナイワシも非常に高い栄養段階を示すことから、その個体数はそれほど多くないものと考えられている。

個体数の少ないトップ・プレデターは乱獲に対して非常に脆弱で、近年、漁業は大深度化する傾向にあり、遠からずヨコヅナイワシの生息環境にも及ぶ可能性があるということだ。

提供:JAMSTEC

我々がイメージするイワシの姿とは全く違う新種「ヨコヅナイワシ」が発見されたわけだが、その生態、またこれにより深海の生態系など、どのようなことが分かるのだろうか。海洋研究開発機構にお話を伺った。

南海トラフの方まで分布している可能性も

ーーヨコヅナイワシを発見した時はどのような状態だった?

延縄に釣られて表面を漂っている姿を見たのが最初でした。生きてはいませんでした。


ーーこの発見で、生態系について分かったことを教えて。

駿河湾深部の生態系は栄養段階約5段(生態ピラミッドが5段積まれているということ)であり、その頂点にヨコヅナイワシが位置するということでしょうか。

提供:JAMSTEC

ーー深海魚の中では大きい方?

この深さではかなり大きい方だと思います。特にこの深さでは「オタマジャクシ型(頭でっかち尻すぼみ)」の魚が増える中で、これだけしっかりとした尾びれと尾柄を持つ大型種は非常に少ないです。


ーー生息地は駿河湾の深部だけ?

それ以上の情報を持ち合わせておりません。南海トラフの方まで分布している可能性はあると思いますが未調査です。

提供:JAMSTEC. CT撮影協力:GEヘルスケア・ジャパン

ーー個体数や寿命、発見された4匹の性別などは?

個体数(生息数)や寿命はわかりません。今回は全てメスです。


ーーヨコヅナイワシの発見で今後どのような調査ができる?またはする予定?

この調査を受けての調査の予定は今の所ございません。同様な調査手法によって、世界各地の深海域のトップ・プレデターの多様性を明らかにする調査は実施すべきと考えています。

提供:JAMSTEC

ヨコヅナイワシの生息数や寿命などまだわからないことも多いが、南海トラフの方まで分布している可能性はあるという。

また今のところ、新たな調査の予定はないとのことだ。しかし海洋研究開発機構は、世界各地の深海域のトップ・プレデターの多様性を明らかにする調査は実施すべきと考えており、今回のヨコヅナイワシの発見をきっかけに、いろいろな深海生物の生態が解明されていってほしい。

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