新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
シリーズで連載する「名医のいる相談室」では、各分野の専門医に病気の予防法や対処法をわかりやすく解説してもらう。
今回は、「唾液の役割と唾液分泌に効果的なマッサージ法」について、口腔外科の名医・柴原孝彦先生に話を聞いた。
唾液が少ないとウイルスと戦えない
東京歯科大学・柴原孝彦名誉教授:
唾液にはいろいろな役割があります。
汚れを流し去ったり、食べる時に食べ物を唾液と混ぜてどろどろとしたゲル状にして飲み込みやすくしたり、口の中にできた傷が治りやすい状況を作ったりします。
あと、コロナなどのウイルスに対しては、「IgA」という免疫作用がウイルスと戦います。
唾液が少ないとそういうこともできなくて、病気になりやすい状況にもなります。
「糖尿病」「脱水症」は要注意
柴原孝彦名誉教授:
全身状態に病気を持っていると、唾液が出ない人がいます。
例えば「糖尿病」。糖尿病がある人は唾液が少ない。
そして、水を飲むことが少ない「脱水症」。そういう人は口の中が乾いています。
また、そういう病気がなくても、冬場マスクをしていると口が乾燥する。
そのときは唾液が出やすいように補充することが大事です。
口を開けている習慣がある人は、口呼吸をしないようにすることが大事。鼻呼吸です。
しかしマスクをずーっと着けていると苦しいので、鼻呼吸だけでは難しくなり、どうしても口が開いてしまう。
では、どうやって唾液を出すのかというと、水分補給することが大事。そして唾液を分泌させるようにすること。
唾液を出す3カ所のマッサージ法
柴原孝彦名誉教授:
模型を使って説明すると、耳の穴の前の下に「耳下腺」があります。
ここを刺激すると唾液が出る。
どういう刺激かというと、この部分をマッサージします。
そうすると唾液がじわじわと出てきます。これを左右やります。
もう一つは、「顎下腺」。
顎の骨の下にちょうど指の頭ぐらいの大きさの「顎下腺」があります。
この場所も刺激すると唾液が出てきます。
顎の裏側に指を入れて、後ろから手前に指でなでる。そうすると唾液が出やすい環境になります。
3つ目が、「舌下腺」。
今回は人間の5倍のベロを持ってきました。
舌下腺は、ベロのちょっと下に離れてあります。
だからベロを押しても舌下腺は刺激されません。
舌下腺の位置を頭蓋骨で説明すると、頤(おとがい)の筋肉の裏辺りです。ここを刺激します。
そうすると唾液が出てくる。
唾液腺の刺激にはさらに・・・
それから美味しいものが目に入った時に、それを美味しそうだな、食べたいなという気持ちを持つこと。そういった刺激がかかって出てくる唾液があります。
食べるときはよく噛むこと。
よく噛んで動きを作ることで唾液腺が刺激されてより出てきます。
コロナ禍でマスクをしなくちゃいけない状況ですが、時よりマスクは外して、水分補給はもちろん、うがいをして悪い状態になった口の中を清潔に保つことが大事です。
歯磨きは毎食後行い、それ以外にまめにうがいをすると良い環境を作ることができると思います。