特集は、卒業生への贈り物です。新型コロナウイルスの影響で、文化祭名物の「龍のオブジェ」を作れなかった長野県須坂市の須坂高校3年生。その代わりに、1・2年生が龍の映像作品の制作を進めており、高校生活の思い出に加えてもらおうと奮闘しています。

先月21日、須坂高校の体育館の壁に浮かび上がった龍の映像。1・2年生が、3年生のために制作しているプロジェクションマッピングの「幻の龍」です。

須坂高校の文化祭では、50年以上前から、3年生が高さ10メートルを超える「龍のオブジェ」を作ってきました。

近くには「臥竜山」があり、校章には「竜胆の花」があしらわれていて、龍は高校のシンボルです。

しかし、今年度に制作されたオブジェは尻尾だけしかありません。新型コロナウイルスの影響で文化祭の規模が縮小されたほか、臨時休校の影響もあって制作の時間がなく、途中で終わってしまったのです。代わりに3年生は、龍に張り付ける予定だった「鱗」にメッセージを書いて飾りました。

3年生(去年7月):

「今までの龍が作れないので、何か全校で一つになって作れるものができたらいいなと、こういう形になった」

「不完全燃焼」に終わった3年生のために生徒会が動き出しました。名付けて「幻龍プロジェクト」。今年3月の「3年生を送る会」で、幻に終わった「龍のオブジェ」をプロジェクションマッピングで表現する計画です。

須坂高校生徒会・青木稜哉会長(2年):

「新型コロナの中で中断を余儀なくされた先輩方は、本当に悔しかったと思う。映像の中で龍の尻尾が登場するシーンがあり、そこから幻龍が発生するようなイメージ。われわれの気持ちもそこから始まった部分があるので、先輩たちの思いも乗せた映像を作っていきたい」

プロジェクトは去年10月から本格化。1・2年生の有志およそ40人が、映像、ストーリー、総合演出などに分かれて制作しています。龍のイメージ画は美術部が担当しました。

須坂高校生徒会・青木稜哉会長(2年):

「イメージとしては、われわれを象徴するような新しい龍、若い龍、高校生らしい龍をオーダーしました」

プロジェクションマッピングは、企業の協力を得ながら数学研究部が担当。手や足などのパーツごとに細かい動きをつけます。

数学研究部の生徒(1年):

「実際に動いているように見せるために、髭の部分をうねらせたりとか、できるだけぬるぬるした動きで本当に龍が飛んでいるみたいな映像を作りたい」

先月21日、プロジェクトメンバーが体育館に集まりました。ここまでの出来を確認する「中間発表」です。

数学研究部の生徒(1年):

「違う画面の龍同士をつなげる所、そこが一番大変。龍を全部、自然につながっているように見せないといけないので、そこが大変です」

上映が始まりました。暗い体育館の壁に映し出された大きな龍。動きもスムーズです。

須坂高校生徒会・青木稜哉会長(2年):

「今回は無音なんですけど、効果音や演出を伴って出現する形です」

まずまずの出来のようでしたが…。

須坂高校・本多健一校長:

「今、龍の素晴らしい映像を見たんですけど、これはまだ未完成だよね。絶対完成じゃない。それぞれの部門がプロ意識を持っているんだったら、もっと意見を戦わせるべきだと思います」

演出などでもっと意見を出し合うべきと厳しい指摘がありました。

プロジェクトのメンバー:

「映像とかの課題が改めて見えたので、明日以降検討してきたい」

高校生活最後の年に、新型コロナウイルスで大会や発表の機会を失った3年生。「幻の龍」は後輩たちからの感謝と激励です。

須坂高校生徒会・青木稜哉会長(2年):

「自分たちが卒業する須坂高校を誇りに思っていただきたい。われわれの感謝の気持ちが伝わってほしいという思いがあります」

3年生が卒業を迎える日まで、プロジェクトのメンバーたちの奮闘は続きます。

(画像:「幻の龍プロジェクト」の中間発表 先月21日)