5年に一度、政府がまとめる「男女共同参画基本計画」。この中で、選択的夫婦別姓制度に関する記述をめぐり、自民党内から反発の声があがっている。自民党の作業部会は8日、この計画案について4日に続き議論したが、2時間半の論議の末、結論は先送りとなった。

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議論の対象となった政府案は、まず「選択的夫婦別姓制度の導入を求める意見が寄せられた」と指摘。その理由として「女性活躍の妨げ」「渡航や外国生活における支障等に関する意見が寄せられている」との見解を明記した。

また2015年最高裁判決での“夫婦の同じ姓は憲法に反しない”とした結論を提示しつつも3人の女性裁判官による「婚姻により氏を改める者の96%が女性であり、そこには社会的経済的な立場の弱さなど様々な要因が影響していると考えられ、その意思決定の過程に現実の不平等と力関係が作用している」との意見などが記載されている。その上で「政府においても国会での議論の動向を踏まえ、必要な対応を行う」と明記している。

会議の冒頭、女性活躍推進特別委員会の委員長を務める森雅子前法相は、「共通認識として導き出されたのは家族の絆を大切にするということが自民議員全員の願い。そして女性活躍を推進していくということも共通認識」と述べた。そして議論に入ったのだが、推進派・反対派双方の意見が多く出たため、政府案は了承されず、結論は持ち越された。

会議後、反対派の高市早苗前総務相は不快感を露わにした。高市氏は「最高裁判決で現行の民法での“夫婦同姓制度は合憲だ”と認められている。合理性も多数指摘されそれが多数意見だ。本来、政府も国会も最高裁で判決が出たら従う、最高裁判決をしっかりと尊重すべきだ」と主張。反対する理由については「子供の氏の安定性が損なわれることは間違いない」としたうえで、「計画案には国際社会がどうのこのとあるが、海外に言われてすることじゃない」と吐き捨てた。

また、山谷えり子元拉致相が会長を務める保守系の議員連盟「絆を紡ぐ会」は、9日午後、首相官邸の岡田官房副長官を訪ね、「夫婦別姓導入は慎重に。まずは旧姓の通称使用の拡充、周知徹底を求める」とする提言書を提出した。

終了後に記者団の取材に応じた山谷氏は、「選択的といってもファミリーネームがなくなる。戸籍制度と関係してくる。社会の安定性や家族の安定性があってこそだ」と述べて、旧姓の通称使用拡充による解決を主張した。

選択的夫婦別姓の記述を含む政府の「男女共同参画基本計画」の取りまとめに残された時間は短い。果たして推進派・反対派双方が着地点を見出すことができるのか、調整は難航が予想される。

(フジテレビ政治部・門脇 功樹)

門脇 功樹
門脇 功樹

フジテレビ 報道局 政治部