新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。
シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法をわかりやすく解説。今回は眼科の名医、荒井宏幸先生に「目とコロナの関係」について聞いた。
荒井宏幸先生は、医療法人社団ライト Queen’s Eye Clinicの院長。
近視、乱視、老眼を治してなるべく眼鏡を使わない生活をしたい、という人に対する屈折矯正手術が専門。
新型コロナ重症者の約3割が結膜炎の症状
荒井宏幸先生:
コロナの重症者で、集中治療室に入っている人達の大体30%くらいには結膜炎の症状が出ます。呼吸器から感染して全身に広がる中で、結膜という臓器に炎症を起こしているという構図です。
文献から言うと、1~3%が目からコロナウイルスに感染する可能性があると言われています。
目は露出していて、表面は粘膜です。
ウイルスが付いた指で擦るという行為は、その指をしゃぶるのと同じです。
粘膜は水を含んでいて、色々なものを吸収しますから、コロナが始まってから特に注意喚起しているのはコンタクトレンズの装用者。
コンタクトを扱うときは、手指の消毒が命なので、費用的に問題がなければ、コロナの時期はワンデイタイプ(1日使い捨て)がリスクが低いです。
コロナ禍で増加する眼精疲労の改善法
荒井宏幸先生:
コロナによってテレワークが多くなったせいか、眼精疲労の患者がやや増えています。
もちろん同じ仕事を会社でやっていたのでしょうから、PCを見ている時間は一緒かもしれませんが、周りの環境が変化しています。オフィスの蛍光灯の照明とかオフィスと家の湿度の違いなど、環境の変化で疲れを感じたり、ドライアイが強くなったなどの症状があります。
例えば、スポーツ選手が試合中に筋肉が痛んだり、痙攣した時、クールスプレーでクールダウンします。熱くなった筋肉を冷やすためです。
目も筋肉でピントを合わせているので、昼間疲れたと思ったら、冷やしたタオルで目を冷やしてください。そうすると、目の中のピントを合わせる筋肉やまぶたの筋肉がクールダウンします。そしてまた仕事に戻る。
お風呂で「マイボーム腺」のケア
荒井宏幸先生:
1日の仕事が終わって、目をほぐしたい時は、温めてください。
お風呂に入って少しふくらはぎを揉むと血流がさかんになって筋肉がほぐれます。
目も同じです。ホットタオルで目を温めてあげてください。目の周りの筋肉がほぐれます。
また、目の縁にマイボーム腺という腺がたくさん出ていますが、あれは目の中に油を出している腺です。
水は涙腺から出ていて、水と油のミックスで涙は出ています。
水7:油3とか、水8:油2といった良い割合でないと、良い涙とは言わない。
マイボーム腺の油が乾燥して固まっている人がいます。
油の融点は大体40度、お風呂の温度なので、湯船に入ったらタオルを浸けて固く絞って、目に1分くらいタオルをのせて40度にしてあげると、詰まっていた油が溶けて出始めます。
眼精疲労で眼科の外来に来る人の半分はドライアイです。
目の使い方に気をつけて、同時にドライアイのケアをすると目の調子が良くなると思います。