新型コロナウイルスの感染拡大はいまだに終息の兆しが見えない。シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法をわかりやすく解説。今回は眼科の名医、荒井宏幸先生に「近視の予防策とスマホ老眼」について話を聞いた。
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荒井宏幸先生は、医療法人社団ライト Queen’s Eye Clinicの院長。
近視、乱視、老眼を治してなるべく眼鏡を使わない生活をしたい、という人に対する屈折矯正手術が専門。
近視の増加はスマホの普及期と重なる
荒井宏幸先生:
ある一定以上の近視、-6.0ジオプター以上の-8とか-10などの強度近視は、緑内障とか網膜剥離に将来なる確率が3倍以上高い。
いかに近視を進ませないかという議論が、世界の眼科医の中で一大ブームになっています。
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近視の人口が増え始めたきっかけは、まさにスマホの普及期と重なっています。
PC、タブレット、一番小さいのはやはりスマホなので、最近の子供はそれでゲームをします。
ずーっとそこで動きを追うことは、目が完全に近視の方向に動かなければ疲れてしまうので、脳みそは「近視になれなれ」と目にサインを送ります。
なので近い画面を見続けることは、近視への道をひた走っているんです。
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老眼とスマホ
荒井宏幸先生:
老眼は45歳くらいから全員がなりますが、ピントを合わせる力は年々落ちます。
40歳の大人は結構な力を使って見ています。
どんどん目の周りが疲れて、最後は偏頭痛がする。
筋肉が固まってしまって、そういうのを一連の眼精疲労と言いますが、そういう意味でスマホは目にとって非常に厳しいデバイスです。
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私個人の希望としては、将来的にはウェアラブル(装着・着用できるデバイス)、宙空に映っているようなデバイスに早く移行して欲しいと思っています。
将来的にそうなってくれたら、眼科医の仕事としても、眼精疲労の患者が減るのではと思っています。
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近視予防で「遠くの緑を見ろ」は根拠なし
荒井宏幸先生:
最近の爆発的な近視の増加に対しての予防ですが、昔から言われている「遠くの緑を見ろ」というのは根拠がないです!
ただし、遠くのモノを見ることは良い。なぜなら、目の中の筋肉が一番リラックスしている状態は、一番遠くにピントが合っている時だから。
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近くのモノを見るとき、筋肉はギューッと固まっています。だから一日中近くを見ていることは、筋肉を使い続けている状態。
バケツをずーっと持っていると腕の筋肉がプルプルしてきます。それと同じことを目の中の筋肉がやっているわけです。
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「チラ見 エクササイズ」を伝授
遠くのモノを見ると、初めて筋肉はリラックスする。
時々バケツを下ろすのと一緒で、PC画面を見続けたら、1時間に1回、2~3分でいいので、窓から遠くにあるギリギリ文字が見える看板を決めておいてそれを見る。
目の調子が良い時に「あの看板のあの文字までは見える」という目標を決めておいて、目が疲れてきたら画面から目を離して、目標となる文字、マーク、木やビルでも、一生懸命見る。
ぼんやり見るのではなくて、一生懸命遠くを見ます。
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人は一生懸命遠くを見る作業をする癖がない。近くは一生懸命見ます。
脳みそに意識を持たせて「遠くを見ろ」と目に命じるイメージです。
そうすると筋肉がふわーっとリラックスします。一旦リラックスさせてまた戻して仕事を始める。これで目の疲れに大きな違いが出ます。
「チラ見 エクササイズ」と僕は言いますが、時々窓からチラッと遠くを見てください。
眼精疲労は結構おさまる可能性があります。
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