食欲の秋、芸術の秋。
皆さん、もう秋らしいことは体験しただろうか。
大分に、心と体を満たしてくれるとウワサのスポットがある。
それが江戸時代に途絶え「幻」と呼ばれた焼き物を現代に復興した「臼杵焼」。素朴な味わいは生活の様々なシーンにマッチすると人気を集めている。
その焼き物を自分の手で作り、季節や体調に合わせた食材をふんだんに使った薬膳料理で体をいたわる。おいしいものを食べ、創作に没頭する…。
そんな豊かな時間を過ごせるとっておきの場所とは一体どんなところなのか。
その魅力に迫る。
大切な人を想う料理 大分市の薬膳カフェで心も体もいたわる
これから寒くなる季節、食事にも一工夫したいところ。食欲の秋に注目したいのが、おいしく食べて体をいたわる薬膳料理である。

大分県大分市金池町に、季節に合わせた薬膳料理が人気のカフェ「薬膳カフェ Sea boat」がある。

そもそも「薬膳」と聞くと、少し難しいイメージがあるかもしれない。お店の方に伺うと、その原点はとても温かいものであった。
「元々はお母さんとか、お家の方が子どもさんとか、大切な人を思いながら作る料理なんです」

薬膳は、季節やその人の体調に合わせて食材を選ぶのがポイントだという。
この店では、夏の疲れが残り、季節の変わり目で乾燥しがちな秋にぴったりの食材をふんだんに使った料理がいただける。

色とりどりの食材が少しずつ盛り付けられた料理は、見た目も美しい。
オクラと長芋のすりながしを一口いただいた田中リポーターも「お味噌のコク、しっかり感じられますし、このちょっととろっとした食感、おいしい」と思わず笑顔になる。

体の乾きを癒してくれるというトマトと豆腐を使った一品は、「トマトの優しい甘さと、このお出汁、よく合います」とのこと。
柔らかな食感が相まって、体に染みわたるようなおいしさだ。

デザートには、寒天・小豆・ハト麦を使った特製ぜんざいも。
たくさんの味が楽しめて、心も体も満たされる。

「お薬ではないので、体に優しく、おいしく、吸収よく食べていただけたら」という想いで作っているそうだ。
季節の変わり目にはメニューも新しくなるそうで、次の季節の味が待ち遠しい。

幻の焼き物「臼杵焼」を自分の手で 芸術の秋を臼杵で体験
食欲の秋を満たしたあとは、芸術の秋へ。続いて訪れたのは、臼杵市にある陶芸体験ができる「うすき皿山」だ。

ここでは「臼杵焼」という焼き物を作ることができる。
臼杵焼は、お花の形をモチーフにした器が多く、そのルーツは江戸時代に作られていた「末広焼」である。しかし、その焼き物は数十年で途絶えてしまい、「幻の焼き物」と呼ばれていた。それを約10年前に復興させ、現代の暮らしに合わせたのが現在の臼杵焼なのだ。

こちらでは、そんな伝説の焼き物作りを実際に体験できる。
今回は、一番人気の「豆皿作り体験」に挑戦した。

臼杵焼は、石膏でできた型に粘土を乗せて作る「型打ち」という技法で作られる。

まずは10種類以上ある型の中から、自分の好きな形を選ぶ。
選んだ型に粘土を被せ、手のひらで叩いて押し込んでいくのだが、この力加減がポイントとなる。

次に、縁からはみ出した余分な粘土を切り落とし、形を整えていく。花びらの特徴的な形は、親指の腹でぐっと押し込んで作る。
スタッフいわく、「その人それぞれの指の形とかが反映されるので、同じものでも人によって個性が出る作業になりますね」。まさに、自分だけの1枚が出来上がっていく瞬間だ。

仕上げに自分のサインをスタンプし、型から取り外せば…世界に1つだけの臼杵焼が完成する。

作業時間はおよそ1時間ほど。最終的な仕上げはスタッフが対応してくれ、後日自宅に配送してもらえる。自分で作った器が届くのを待つ時間も、また楽しいものである。

自分で作った器の魅力をもっと深く 併設の喫茶室で過ごす豊かな時間
うすき皿山では、自分の手で臼杵焼を作った後、その器の魅力をさらに体験できる場所がある。
併設されたギャラリーでは、オンラインでは販売していないような希少な臼杵焼も取り揃えられている。そして奥へ進むと、「皿山喫茶室」が姿を現す。

ここでは、店主こだわりの中国茶と季節のスイーツが楽しめる。この日いただいたのは「東方美人」という、オリエンタルビューティーの名を持つ有名なお茶だ。

「渋みもなく、すっきりとした味わい」「紅茶に近いようなお茶」で、華やかな香りが広がる。

お茶と一緒に楽しみたいのが、臼杵焼で提供される季節のスイーツ。秋の味覚、かぼちゃのケーキは、思わず「芸術ですね」と声が漏れるほどの美しさである。

一口食べると、その濃厚さにびっくり。「このほっこりとしたかぼちゃの甘さ、もう秋を存分に感じられますね。かぼちゃそのままを食べているみたい」と田中リポーター。

スイーツに合わせる臼杵焼も、もちろん考えられている。「今から秋なので、ちょっとこう、あの、渋い感じのお皿が合うなあと思って」と店主の方。器と季節の味が一体となった、豊かな時間を過ごせる。
お皿を作って、喫茶で旬のスイーツを楽しむ。食欲の秋と芸術の秋を一度に堪能できる、とてもすてきな空間であった。


