パソコンやスマートフォンで、SNSや動画、ゲームを楽しむ時間。気づけば生活の一部になっている人も多いはずだ。その時間の長さが、心の状態と関係しているかもしれない。仕事以外の時間に長時間ネットを使う人ほど、心の不調を抱えやすい傾向があることが、富山大学の調査でわかった。背景には、富山ならではの「孤独」という課題も見えてくる。

「気づいたら時間が過ぎている」街の声
ネットを使っていて、気づいたら時間が過ぎていることはあるのか。街で聞いてみた。

男性は「しょっちゅうある。ゲームしている時」と話す。それを聞いた女性が「日付変わっているんじゃない?」と声をかけると、男性は「変わってる?」と驚いた様子だった。


別の男性は、パソコンを含めたスマホの利用時間を「1日2時間くらい」と話す。だが1日の利用時間を確認できる機能を使うと、1日平均5時間46分という表示が。「自分で気が付いていないけれど、これだけ触っているということなんだ」と実感を語った。
子どもへの影響を心配する声も聞かれた。小学4年生の姪がいるという女性は、「『スマホとお友達』みたいな感じでAIとずっと喋っている。実際の人とのコミュニケーションがちゃんと取れるのか心配になる」と話した。
教育関係の職場で働く男性は、「(SNSを)見ていても、絶対自分の身に起こらないようなことが画面の中に多い。それを見てもどうしようもないのではと思う」と語った。
平日4時間以上で「抑うつ」の割合が高く
パソコンやスマートフォンでのネット利用は、今やどの世代にとっても生活の一部だ。そうした中で明らかになったのが、今回の研究結果である。
調査を行ったのは、富山大学大学院の学生などのグループ。20代から60代の地方公務員3403人を対象に、ネットの利用状況や心の状態を尋ねた。「働く世代」に注目した調査である。

その結果、仕事以外で平日に4時間以上ネットを利用する人は、2時間未満の人と比べて、気分の落ち込みや憂鬱な気持ちが続く「抑うつ」症状の割合が高いことがわかった。
一方で、年代による違いはなく、仕事でのネット利用では関連はみられなかった。

注目したのは「時間」と「使い方」
調査に参加した富山大学疫学・健康政策講座の立瀬剛志助教は、調査の狙いをこう説明する。

「仕事で使うのとは、ネットの利用の仕方が違うと思う。特にSNSは、仕事中あまりやらない。そういう“今どきのネットの使い方”が、どれだけ抑うつ症状と関連するか調べた」
注目したのは、時間の長さに加え、仕事以外での「使い方」だ。立瀬助教は、SNSで目にする内容が影響している可能性があると考えている。

「SNSは非常に他者を気にするような仕組み。自分も承認されたくなったり、承認されない自分はだめだ、となったり、世間はすごい、世間はひどいとか。自分をどんどん追い込んでいく部分はある」
「SNSが生きがい」富山が全国で最も高く

SNSをめぐっては、富山にとって気になる別の調査結果もある。生命保険会社が去年行った全国調査で、「SNSが生きがい」と答えた人の割合が、富山で全国最も高くなったのだ。
SNS上での発信や交流を、心の拠り所としている人が多いと考えられる。
背景に「孤独感」 30代・40代女性は全国平均の3倍
なぜ、富山でSNSが大きな存在になるのか。立瀬助教は、背景のひとつに「孤独感」があるのではと推測している。
「“富山×ネット”の背景には、『孤独』というテーマが入ってくる。30代、40代の女性が、全国と比べて頻繁に孤独を感じる割合が異様に高い。そうなると、身近にSNSがあったり、生成AIがいてくれたりすると、便利というか、依存したくなる気持ちもわかる」

県や内閣府の実態調査でも、富山は頻繁に「孤独」を感じる人の割合が全国を上回り、男女を問わず高い傾向にある。特に高いのが30代・40代の女性で、全国平均の3倍に上る。
大切なのは「分散」
ネットの利用が前向きな情報収集や楽しみではなく、「依存」になっていないか。立瀬助教は次のように呼びかける。
「(SNSなどに)はまるのはいいけれど、その中の同調圧力に合わせていって息苦しくなる。本当にそれは孤独を癒すことになっていますか、と。人と喋るのが面倒くさくなるほどにはやらないほうがいい。どこかで何かとつながっているチャンネルを、(SNS以外に)いくつか持っておく。(ポイントは)“分散”」

立瀬助教は、SNSやネットそのものが悪いわけではなく、使い方によっては「自分を追い込む入り口になり得る」と話す。
ネットだけに依存、集中するのではなく、家族や友人、職場、地域など、ネット以外のつながりをいくつか持っておく。つながりを「分散」させておくことが、心を守るカギになるという。
(富山テレビ放送)

