ごっこ遊びは、現実とは異なる役割やルールを受け入れ、時には現実とは正反対の考えを持つ人物の視点で物事を考える場面もあります。
ここで他の人の考えや気持ちは自分と違うことを理解する力が育まれます。心理学では「心の理論」と呼ばれますが、ごっこ遊びを通じて、現実世界でも相手が何を考えているかを捉える能力が高まっていくのです。
加えて、ごっこ遊びでは「反事実的思考」も育まれると考えられます。これは実際に起こったことについて、「もしもこうだったら?」と別のパターンを想像すること。
ごっこ遊びを通じて、様々な人物の多様な場面を演じることで、現実の自分の行動に関しても「あの時こうしておけば失敗しなかったかもしれない」などと考える力につながり、将来の行動を改善するヒントとなり得ます。
どれだけ夢中になれる?
では、家庭ではどのようにごっこ遊びをさせていけばよいでしょうか。
先ほど紹介したティボドーさんらの研究では、「遊びへの没入度が高い子ども」ほど、より実行機能の伸びが大きかったことが分かっています。つまり、ごっこ遊びにどれだけ夢中になれるかがポイントと言えます。
子どもを夢中にさせる方法は様々なものが考えられますが、基本的には子どもの自由にさせることに尽きるかと思います。どんなキャラクターを演じるか、何の道具を使うかなど、子どもの思いのままにさせることが子どもの夢中につながります。
ただ、3〜4歳頃までは、まだごっこ遊びが自分たちだけではうまくできない子どもも少なくありません。そんな子どもには、「今日は何の役になりたい?」「どんなお話にする?」といった声をかけて促してあげてもよいでしょう。
また、布や食品ラップの芯などマントや剣などに見立てやすい物を用意して「これはヒーローのマントみたいだね」などとヒントを与えるのも、子どもがごっこ遊びを積極的にする後押しになる可能性があります。
そして、大事なのは「自由にごっこ遊びをしていい」という安心感を親が与えることです。子どもが萎縮しないように、設定と子どもの言動が異なってきても、あまりあれこれ指摘しないことも注意するといいかもしれません。時には、親御さんも一緒になって全力で演じてみるのも効果的だと考えられます。
無理のない範囲で親御さんもぜひ、ごっこ遊びを楽しんでみてください。
中道圭人
千葉大学大学院教育学研究院 教授
主な共著書に『幼児の演繹推論とその発達的変化』(風間書房)、『教育職・心理職のための発達心理学』(ナカニシヤ出版)、『よくわかる教育心理学』(ミネルヴァ書房)など多数。
※1)Thibodeau, R. B., Gilpin, A. T., Brown, M. M., & Meyer, B. A. (2016). The effects of
fantastical pretend-play on the development of executive functions: An intervention study. Journal of Experimental Child Psychology, 145, 120-138.
※2)中道圭人・砂上史子・松嵜洋子・河原智樹・山岡祐衣・藤原武男 (2025). 幼児の「ふり遊び」と「向社会的行動」に関する短期縦断研究. 日本心理学会第89回大会論文集

