高齢者を狙う犯罪がたびたびニュースでも報じられ、「うちの親は大丈夫だろうか」と不安になることもあるだろう。
しかし、親が犯罪に巻き込まれないか気にしていたとしても、完全に防ぐことは難しいという。
NPO法人となりのかいご代表の川内潤さんの著書『介護前夜の教科書 親と自分の人生を壊さないための備え』(講談社)から、一部抜粋・再編集して紹介する。
同居をしても不安の解消はしない
Q)高齢者を狙った詐欺や犯罪に、親が巻き込まれるのではないかと心配
A)過剰な心配は控えて、防犯の工夫を考える
最近は、特殊詐欺や強盗、認知症の人をATM まで連れていき、預金を引き出させる手口など、高齢者を狙った犯罪が大きく報じられるようになり、ニュースを見るたびに「うちの親は大丈夫だろうか」と心配になる人も多いでしょう。
心配の種がどんどん大きくなり、「それなら一緒に住まなければ」と同居を決断する人がいます。しかし、こうした「不安からの同居」は、良い結果にはつながりません。
なぜなら、同居という「見守り」では、犯罪を完全には防ぐことはできないからです。親を注視するばかりに、お互いにストレスが溜まり、関係が悪化してしまうこともあります。私が聞いた最近のケースをお話ししましょう。
父親にかかる詐欺電話に悩む長女のケース
近い距離ではありますが、親とは別世帯で生活していた女性(夫・子ども二人)が、一人暮らしの父親を呼び寄せて同居を始めました。
理由は「とにかく詐欺の電話に引っかかってしまうから」。父親の身体は元気なのに、固定電話に警察や税務署を名乗る巧妙な詐欺電話がかかってきており、標的になっているというのです。すでに数十万円の被害に遭ってしまったとのこと。

