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LDLコレステロール管理の大切さ 日本循環器協会代表理事 小室一成氏 × 日本動脈硬化学会理事長 吉田雅幸氏|FNNプライムオンライン

LDLコレステロール管理の大切さ 日本循環器協会代表理事 小室一成氏 × 日本動脈硬化学会理事長 吉田雅幸氏

LDLコレステロール管理の大切さ 日本循環器協会代表理事 小室一成氏 × 日本動脈硬化学会理事長 吉田雅幸氏|FNNプライムオンライン
日本循環器協会・日本動脈硬化学会・MSD株式会社
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悪玉コレステロールとも呼ばれる「LDLコレステロール」。数値や体質によっては、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞につながりかねず“命のリスク”に関わるが、そのメカニズムは一般的に広く知られているとはいいがたい。近年の研究では、認知症との関係性も指摘されているという。10月11日の「LDLコレステロールの日」にあわせ、日本循環器協会の小室一成代表理事と、日本動脈硬化学会の吉田雅幸理事長が予防の重要性を語り合った。

(聞き手は、看護師資格を持つフジテレビアナウンサーの高崎春氏)

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――そもそも、コレステロールとはどのようなものなのか、また、コレステロールは2種類あるそうですが、それぞれ教えてください

吉田:コレステロールは私たちの体にとって不可欠な役割を果たしています。LDLコレステロールとHDLコレステロールがありますが、肝臓で作られたコレステロールを全身の組織に運ぶ役割を持つのがLDLで、余分なコレステロールを回収するのがHDLです。LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」などともいわれていますが、細胞の膜を作る成分にもなっており、必要なものです。

そのような「運び屋」の役割を持つLDL・HDLコレステロールですが、食べ過ぎなどでコレステロールの供給が過剰になるとHDLによる回収が追いつかず、余ったものが血液の方に来て数値が上がる。それが問題なのです。

――不可欠なものでもあるんですね。ただ、私の親が最近、「LDLコレステロールが高い」といった話をしているのを聞くこともあり、数値が高いと何が問題なのでしょうか

小室:LDLコレステロールの値が高くなると血管にコレステロールがたまり、血管壁が厚くなって内側にコブのようなものができるのです。それがどんどん大きくなり、血液の流れにコブが常にさらされることで傷つき、ささくれ立って、時に破裂する。そうなるとそこに血液の塊が一気にできて、血管が塞がります。

よく知られているのが、心臓の血管が詰まる心筋梗塞と脳の血管が詰まる脳梗塞で、この2つの病気は命に関わります。現在は、すぐに治療すれば命を取り留める割合も上がっていますが、心筋梗塞の後には危険な不整脈が出やすくなったり、心臓の動きが悪くなり、心不全という病気になります。そのような意味で、LDLコレステロールがたまることは命のリスクになるのです。

日本循環器協会 小室一成代表理事
日本循環器協会 小室一成代表理事

自覚症状のない危険

――コブが血流にさらされ、破裂することが問題なのですね

小室:もう一つ知ってもらいたいのは、LDLコレステロールの値が高くても、自覚症状がないことです。さらに、心筋梗塞も脳梗塞も多くの人が前兆の症状がない。皆さんはよく「何も症状がないから大丈夫」っていうのですが、発症して初めて気づくケースも多く、恐ろしいことです。だから、LDLコレステロールの数値が高いことには注意してください。

――血液検査によってLDLコレステロールの数値は分かりますが、基準値はどのくらいでしょうか

吉田:日本動脈硬化学会で基準を定めていますが、140mg/dL以上が高LDLコレステロール血症で、120~139mg/dLを境界域としています。高くても症状がないので放置すると、やがて「胸が痛い」とか、最悪のケースではいきなり命を落とすこともあるので、気をつけてほしいです。

コレステロールの値については、1回ごとの測定値が高かったり低かったりということで一喜一憂するのではなく、「累積」という考え方が重要です。私たちは、生まれてから寿命を終えるまでの間、LDLコレステロールが体内にずっとあるわけですが、それを年ごとに足していって、一定の数値を超えると心筋梗塞などになりやすくなると考えます。ですから、1回の結果で「今回は低かったからいい」というのではなく、もともと高い人は速いペースで累積していくので、毎年の積み重ねが大事だと思ってください。

日本動脈硬化学会 吉田雅幸理事長
日本動脈硬化学会 吉田雅幸理事長

――10月11日を「LDLコレステロールの日」に定めた理由を教えてください

小室:LDLコレステロールが、心筋梗塞や脳梗塞など循環器病の大きなリスクだとあまり知られていないからです。LDLコレステロールと聞いて、「悪玉コレステロール」という言葉で知っている人は一部いますが、多くの人は知らない。日本人の死因1位はがんで、イメージしやすいですが、循環器病も心疾患が2位、脳血管疾患が4位(令和7年人口動態統計)で、命に直結するのに怖さをあまり感じていない。そこで、LDLコレステロールを知ってもらうとともに、健診で測定もしているはずなので、「自分の数値はこのくらい」といえるくらいになってほしいと思い、制定しました。

新たなリスク因子に

――LDLコレステロールが循環器病以外の病気と関連するといったことはありますか

吉田:認知症との関連も報告されています。英医学誌ランセットの2020年の委員会報告では、認知症のリスクに関する修正可能な因子として、運動不足、喫煙、過度の飲酒、高血圧、肥満、糖尿病などが挙げられていましたが、24年の報告(※1)では、未治療の視力障害と高LDLコレステロールが新たにリスク因子として追加されました。血管の内壁に脂肪の沈着物が蓄積された隆起物ができるアテローム性の動脈硬化が脳で起これば、神経細胞に血液が行きにくくなり、認知症のリスクが高まることになります。

――LDLコレステロールの値は下げ過ぎても問題はないということですか

吉田:LDLコレステロールを適切に管理するうえで、「低ければ低いほどよい」という考え方があります。LDL受容体の発見でノーベル賞を受賞したブラウン、ゴールドシュタイン両博士は「血液中のLDLコレステロール値が25mg/dL程度あれば、体内の細胞が必要とするコレステロール需要を満たすのに十分である」と述べています(※2)。

最近の報告では、LDLコレステロール値が低いほど心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性が下がることが示された一方で、数値が低いことに伴う脳出血や認知機能への影響などは認められませんでした(※3)。

――LDLコレステロールの値が高くなる原因と、きょうからできる予防・改善法について教えてください

小室:脂をたくさん摂取すると高くなります。中でも飽和脂肪酸といわれるものがよくなくて、それをいっぱい食べる人、運動などでそれを消費しない人、肥満の人、糖尿病の人などのLDLコレステロールの値は高くなります。また、一般的に加齢とともに上がりますし、特に女性は、閉経後などに数値が高くなる人が結構います。

残念なことに、厚くなった血管壁を薄く戻すことは非常に難しい。そこで、気づいたらそれ以上厚くならないよう、LDLコレステロールの値を下げる必要があるのです。方法としては、まず生活習慣の改善で、脂っこいものを食べ過ぎない。運動する。肥満を改善する。糖尿病にならないようにする。食べ物は魚や野菜、キノコ類、大豆などがいいと思います。それでも十分に下がらないという場合はお薬による治療の選択肢もあります。

フジテレビアナウンサー 高崎春
フジテレビアナウンサー 高崎春

健康寿命を延ばす

――最後に読者へのメッセージをお願いします

小室:日本人の平均寿命は世界でもトップクラスですが、自立して生活できる「健康寿命」との間に10年前後の乖離(かいり)があり、その大きな要因は心筋梗塞や脳梗塞といった循環器病なのです。だから、それを予防するためにも、LDLコレステロールについてや、その数値が高い場合に改善する方法を知ってもらい、健康で寿命を全うしてほしいと思います。

吉田:私たちが「LDLコレステロールの日」を制定したのは、LDLコレステロールの認知度が残念ながら高くないことや、皆さん、健診で測定しているけれども、数値が高かった場合、その次の一歩である医療機関の受診をせずに過ごしてしまう現状を変えたいからです。自覚症状もなく、日々忙しいのは分かりますが、将来の心筋梗塞や脳梗塞の予防につながることをぜひ理解してもらいたいです。健診の測定結果の紙がもし見つからないようでしたら、測定ができるようなイベントも考えていますので、LDLコレステロールについて、ぜひ意識していただければと思います。

※1 Livingston G et al. Lancet. 2024;404:572-628
※2 Brown MS, Goldstein JL. Science. 1986;232:34-47
※3 Gaba P et al. Circulation. 2023; 147: 1192-1203

■LDLコレステロールの日
日本循環器協会と日本動脈硬化学会は一昨年、LDLコレステロールの新たな啓発デーとして、10月11日を「LDLコレステロールの日」として制定し、日本記念日協会から登録証が授与された。由来は、「LDL→ldl→loll→1011→10月11日」と、10月11日が、LDLを小文字で表記した際の「ldl」に見立てられることに基づく。

■循環器病についての詳しい情報はこちら
https://j-circ-assoc.or.jp/learn/

こむろ・いっせい 日本循環器協会代表理事。東大医学部卒業後、米国ハーバード大医学部へ留学。千葉大、大阪大、東大循環器内科教授などを経て、2023年から国際医療福祉大学副学長。日本循環器学会、アジア太平洋心臓学会など多くの学会の代表理事を歴任。

よしだ・まさゆき 日本動脈硬化学会理事長。東京医科歯科大(現・東京科学大)医学部卒業後、米ハーバード大医学部へ留学。東京医科歯科大難治疾患研究所助教授などを経て、2010年から同大生命倫理研究センター長。同大病院遺伝子診療科長。

一般社団法人 日本循環器協会:https://j-circ-assoc.or.jp/

一般社団法人 日本動脈硬化学会:https://www.j-athero.org/jp/

MSD株式会社:https://www.msd.co.jp/

※本記事は「産経ウェルビーイングプロジェクト」との連動企画です。
※掲載写真はすべて産経新聞社提供。

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