トラック運転手から寄せられる“コロナ絡みの偏見・中傷”の相談

新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、全国各地の運送会社で働くトラック運転手から「偏見や中傷などで悩んでいる」といった相談が寄せられている…。

こんな実態が「運輸労連(=全日本運輸産業労働組合連合会)」の調査で分かった。

「運輸労連」が今年9月下旬から10月上旬にかけて行った、運送会社などで働く組合員を対象とした調査によると、44ある地方組織のうち11の組織で、トラック運転手から偏見や中傷などで悩んでいるという相談が寄せられたというのだ。

具体的には以下のような相談が寄せられている。

「業務上、誹謗中傷や偏見の目で見られる時があり、強いストレスを感じる」

「娘が出産の為、帰省したとき、(トラック運転手の父親が)産婦人科医から長距離運行に難色を示され、その結果、2カ月間、長距離の運送をやめた」

「会社から、周囲の状況によってはマスクを外してもよいという指示も出ているが、たまたまマスクを外しているのを見た人がクレームを入れてくることが多々ある」

「特に地方では陽性になってはいけないという気持ちになり、ストレスを感じている」

物資の輸送に欠かせないトラック運転手は、県をまたいだ移動をすることが多い。

そんなトラック運転手に対する偏見や中傷があるのは、やはりこの移動が多いことが要因なのだろうか? そして偏見や中傷をなくすためにはどのような対策が必要なのか?「運輸労連」の担当者に話を聞いた。

ウイルスも運んでいるイメージで偏見・中傷に

――トラック運転手に対する偏見や中傷があるのはなぜ?

4月に緊急事態宣言が発令されたとき、多くの人の移動が制限される中、トラック運転手は移動をしていました。

この頃、とくに東京で感染が拡大していたため、「東京から東北」「東北から東京」を行き来するトラック運転手に対して、ウイルスを運んでいるイメージが広がりました。

この頃には、宅配ドライバーから「お客さんからスプレーで消毒液をかけられた」という相談も寄せられています。

このときのイメージが今も根強く残っていると考えられます。


――とくに偏見や中傷を受けているのは?

長距離ドライバーと宅配ドライバーです。長距離ドライバーは都道府県をまたいで移動するため、宅配ドライバーは不特定多数の方と接触するためです。


――4月と比べて、今も状況は変わらない?

4月、5月に比べると、多少、落ち着いてきています。多くの方が新型コロナウイルスに慣れてきたのかもしれません。

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各職場で必要な感染対策を実施

――トラック運転手の感染対策。統一ルールはある?

全日本トラック協会がガイドラインを出していますが、こちらはあくまでもガイドライン。各職場で、マスク着用、手指消毒など、必要な感染対策を行っています。


――例えばどのような対策をしている?

荷物の運び先の判断や現場の状況によって、“必ずマスク”、距離を保てていれば“マスクを外してもよい”など、です。
 

“物流を維持する”という使命感で働いていることを知ってほしい

――トラック運転手が偏見を抱かれ、中傷を受けている現状から感じていることは?

トラック運転手も感染に不安を抱きながら、仕事をしています。宅配ドライバーの場合、宅配先が新型コロナウイルスで自宅療養している方かどうかは分からず、もし、自宅療養している方だったら、接触するのは怖い、という声も寄せられています。

とはいえ、トラック運転手がモノを運ばないと、生活に必要なモノが行き届きません。

トラック運転手が“物流を維持する”という使命感で働き続けているということを、もっと知ってほしいと考えています。

また、国には偏見や中傷をなくすために、メッセージを発信してほしいと思っています。

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トラック運転手を悩ませている、コロナ絡みの偏見・中傷。

運輸労連でも発信しているというが、これらをなくすためにはウイルスを運んでいるという誤ったイメージの払拭、そして“物流を維持する”という使命感で働くトラック運転手が、我々の生活を支えているということを今以上に理解する必要があるのだろう。
 

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