富山市公設地方卸売市場の敷地内に誕生した複合商業施設「アクロスプラザ富山掛尾」が、9月18日に営業を開始した。食品スーパー、スポーツ用品店、ドラッグストアの3店舗が一斉にオープンし、開店前から多くの買い物客が列を作った。「まちに開かれた生活市場」をコンセプトに掲げるこの施設、目玉はなんといっても市場から直接仕入れる圧倒的な鮮度だ。来年2月には昭和レトロをコンセプトにした飲食の「にぎわい施設」棟も控えており、富山の新たな買い物拠点として注目が集まる。


開店15分前倒し、100人が列 「朝どれ」野菜と魚が勢ぞろい

この日、とりわけ注目を集めたのが、滋賀県に本拠を置く平和堂が手掛ける食品スーパー「アルプラフーズマーケット富山掛尾店」だ。開店を前に約100人が列を作り、予定より15分早い午前8時45分にオープンした。


店内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが「富山市場直送」と大きく書かれたコーナーだ。県産の新鮮な野菜や果物がところ狭しと並び、中でも葉物野菜はその朝収穫されたばかりのものが並んでいた。
「直送のものがすごく安くて、袋に入っていないから"きときと"のままだし、自分の目で見て選べるのが良い。最初はカット野菜でも買おうかと思っていたけれど、久しぶりにまるごとのを買った」と話す客も。
さらに特設コーナーとして設けられているのが、県内の35歳以下の若手農家グループ「F35」が手掛ける地場産野菜の売り場だ。農家グループの大石和代表は「新鮮なものをすぐに届けられて農家側もうれしい。客に『富山にもっと美味しいものがある』と知ってもらえたらうれしい」と語った。
鮮魚コーナーは"魚市場"さながら 富山湾朝どれの魚が並ぶ

約600坪の広い売り場の奥に進むと、鮮魚コーナーが広がる。富山湾で朝水揚げされた旬の魚を筆頭に、北海道産のベニズワイガニなど全国各地の海の幸が並ぶ。活気ある掛け声が飛び交い、食品スーパーというよりも魚市場に来たような感覚を覚えるほどだ。切り身や総菜も充実しており、忙しい日常の食卓を支える品ぞろえとなっている。
「地元だからお魚が多い方が良いですね。品揃えが豊富やねここは。これだけ広いからね」と客は話す。
沢辺勇治店長は「市場隣接がやはり最大の特徴であり武器。他社を圧倒する鮮度感と、生鮮を中心とした独自化、ライブ感を提供する店舗を目指す」と力を込める。

平和堂にとって、この出店はファボーレにある「アル・プラザ富山」以来、実に26年ぶりとなる富山県内への新規出店だ。店が位置するのは、交通量の多い国道359号と41号が交わる掛尾町交差点のそば。商圏となる3キロ圏内には富山市の人口の約2割にあたる8万5000人が住んでおり、競合店が多い激戦区でもある。そうした中、市場直送の鮮度と子育て世代・単身世帯向けの総菜の充実で差別化を図る戦略だ。
足を3D計測してAI診断 スポーツ用品「ゼビオ」もオープン


同じく18日にオープンしたのが「スーパースポーツゼビオ アクロスプラザ富山掛尾店」だ。初心者からアスリートまで対応したウェアや用具が豊富に揃い、大型実店舗ならではの強みを打ち出している。
力を入れているのがシューズの品ぞろえだ。日常使いのスニーカーから競技用の本格的なモデルまで幅広く取り揃えており、3D計測器で足の形を計測してAI診断を活用し、自分の足に合ったシューズを選ぶことができる。

さらにトレッキングシューズの売り場では、砂利道や木材チップ、岩場など様々な路面状態を再現したコーナーが設けられており、購入前に実際の感触を試せる仕組みになっている。登山やキャンプ用品など、富山ならではの需要を見込んだアウトドア用品も充実している。
坂内拓実店長は「生活の中心となる国道沿いに位置している。仕事帰りなど客の生活インフラを支えるメリットのある店だと思う。足元から提案してサポートしていけたら」と話す。
来週はヤマダデンキ、来年2月は「昭和レトロ」の飲食棟

この日の開業は施設全体のスタートに過ぎない。「商業棟」には計4店舗が入る予定で、9月25日にはヤマダデンキの大型店舗がオープンする。家電を中心に家具や日用品など幅広い品ぞろえが揃う見込みだ。
さらに注目は来年2月に開業予定の「にぎわい施設」棟だ。昭和レトロをコンセプトに、海鮮丼・定食・ラーメンなどを提供する飲食店が入居し、市場と連携したイベントも計画されている。単なる商業施設にとどまらず、地域のにぎわいの拠点として育てていく姿勢が見える。
アクロスプラザ富山掛尾は、富山市公設地方卸売市場の再整備事業の一環として、富山市と大和ハウス工業などの企業グループが整備した。市場の機能を活かしながら地域住民の日常生活を支える「まちに開かれた生活市場」として、富山市の新たな買い物文化をどう形作っていくか、今後の展開も気になるところだ。
(富山テレビ放送)

