富山県の地価が、平成4年以来34年ぶりに上昇に転じた。富山市や射水市など5市町村で地価が上がる一方、高岡市伏木地区など一部エリアでは下落が続き、「二極化」が鮮明となっている。注目されるのは、これまで下落が続いていた入善町の商業地が上昇率全県3位に浮上したことだ。国道8号の4車線化という交通インフラの整備が、地域の価値を大きく塗り替えた形となった。
全体変動率はプラス0.1%、34年ぶりの上昇
県が毎年7月1日時点で公表している「地価調査」は、土地取引の価格目安となる重要な指標だ。今年は県内全域の226地点を対象に調査が行われた。
その結果、県全体の全用途の平均変動率はプラス0.1%となり、平成4年以来34年ぶりの上昇を記録した。富山市や砺波市に加え、射水市が平成17年の合併以降初めてプラスに転じるなど、5市町村で地価の上昇が確認された。


用途別に見ると、住宅地はマイナス0.2%と29年連続の下落が続いているものの、下落率は縮小傾向にある。商業地はプラス0.6%と5年連続で上昇しており、上昇率も拡大している。
上昇率トップは富山市牛島町、9.9%の高い伸び


今回最も上昇率が高かったのは、去年に続き富山市牛島町の商業地で、1平方メートルあたり50万円、上昇率は9.9%に達した。

たけだ不動産鑑定事務所の竹田達也鑑定士は、「今後大きなオフィスビルが建つことが計画されていて、そういう影響を受けて地価が上がっている」と分析する。富山市神通本町が上昇率2位となり、富山駅周辺エリアの商業地が引き続き高い評価を受けている状況だ。
入善町が3位に浮上、国道8号の4車線化が追い風

そして注目を集めているのが、上昇率3位に入った入善町の商業地だ。変動率はプラス6.0%と大幅な上昇で、これまで下落が続いていた同地区にとっては大きな転換点となった。
背景にあるのは、国道8号の4車線化による利便性の向上だ。竹田鑑定士は「入善から朝日の方向に向かう拡幅整備工事が終わり、一気に幹線道路としての環境が良くなったことで地域環境が大きく変わった」と語る。交通インフラの整備が地価に直結した好例といえる。
射水市も上昇、「割安感」と利便性が評価される

射水市でも、新湊地区の市民病院近くなど交通アクセスが良く割安感のあるエリアで地価が上昇している。
竹田鑑定士は射水市の上昇をこう説明する。「射水市は富山市と高岡市の中間にあり、需要が非常に多いエリア。射水市民病院の周辺は国道8号等でどこにでも行ける。一方で平米単価も安いので、割安感が強まっている」。利便性と価格のバランスが、購入者に選ばれる要因となっているようだ。
高岡市伏木地区は最大の下落、災害リスクへの懸念も

一方で、下落率が最も大きかったのは去年に引き続き高岡市伏木古国府の商業地でマイナス4.1%、伏木古府の住宅地でマイナス3.2%となった。

竹田鑑定士は下落の背景に、災害リスクへの心理的な影響があると指摘する。「今の水害や地震も含めて、海のそばや低地に住みたくないなという心理が選択の中で出てくる。家を建てようという時に海のそばを選ぶのかという話」。人口減少が進む中で、こうした地域では地価の下落に歯止めがかからない状況が続いている。
「二極化」が映し出す地域の今

今年の地価調査が示したのは、交通利便性の高さや割安感を持つエリアでは上昇が進む一方、災害リスクや利便性の低さを抱えるエリアでは下落が続くという「二極化」の構図だ。
入善町のように、インフラ整備が地域の価値を大きく変える可能性も示された今回の結果は、行政や住民にとっても地域づくりの方向性を考える上で重要な示唆を含んでいる。
(富山テレビ放送)

