授業開始まで1時間以上あるにもかかわらず、食券売り場には長蛇の列が―
福井県内の高校生が「ドはまりしている」グルメを、福井の身近な疑問を解き明かし驚きを見出すローカル情報バラエティ番組「なんだー?ワンダー!」で徹底調査した。キムチとたくあんの混ぜご飯、幻のチョコサンド、麺3玉を使ったジャンボ焼きそば——いずれも、“青春の記憶”に深く刻まれる味だ。
購入制限がかかる人気…高志高校の「キムタクご飯」
県内屈指の進学校、高志高校の学食で大人気なのが「キムタクご飯」だ。
あの有名人とは全く無関係で「キム」チと「たく」あんを豚肉・ネギとともに炒め、醤油ベースのタレで甘辛く味付けして「ご飯」と混ぜた逸品。
1杯400gで350円というリーズナブルさも魅力だ。
元々は月1回のメニューだったが、あまりの人気ぶりから6月以降は週1回に“格上げ”された。それでも「1カ月1キムタク」と購入回数が制限されるほどの人気だ。
午前7時20分、授業開始の1時間以上も前から食券売り場には長蛇の列ができた。7時30分の販売開始からわずか20分で売り切れることもあるという、まさに朝の争奪戦だ。
生徒たちは「塩分が濃いので汗をかいた後に食べると最高」「豚肉の旨味と、たくあんのシャキシャキした歯ごたえがたまらない」と絶賛する。
このメニューのルーツは、漬け物で名高い長野県にある。子供たちの漬け物離れを防ごうと学校給食として考案された。高志は中高一貫校で、中学校給食で人気があったことから、高校の学食に“進級”した。中高一貫校ならではの青春グルメだ。
学食は、生徒たちの交流の場にもなっている。ある3年生は「クラスがバラバラになった友達とも、食堂でならまた集まれる。憩いの場です」と語る。友人と一緒に食べるキムタクご飯が、生徒たちの青春の1ページになっているのだ。
「走らないと間に合わない」仁愛女子高校の“幻のパン”
続いて…北陸唯一の女子校、仁愛女子高校で生徒たちを虜にしているのが「鎌田パン」の「サクッとチョコフレークサンド」だ。
実店舗を持たず、学校などへの納品を中心とする鎌田パンは、街ではほとんど見かけないため“幻のパン”なのだ。
仁愛女子高校には70年近く届けていて、中でもチョコベースの生地にホワイトクリームとサクサクのチョコフレークをはさんだこのパンは、仁愛高校と高志高校の2校でしか並ばない限定品だ。
OGも「授業が終わったらダッシュで行かないと間に合わない」と振り返るほどの人気。
数を増やさない理由は「チョコパンをたくさん持ってくると、それしか売れなくなる。他のパンも食べてほしいから」だという。
高校生たちは「孫みたい」店主の思い
最後に調査したのは、藤島高校。学校の目の前にある「蛸八」は、来年で創業40年を迎える老舗。
水上眞知子さんが一人で切り盛りしている。元々はたこ焼きも販売していたが、ご主人が他界してからは焼きそばとお好み焼きを主力に営業を続けている。
看板メニューは麺が3玉入った「学生ジャンボ焼きそば」950円。生徒らによると、完食した生徒は「ジャンボ先輩」と呼ばれ尊敬を集めるという。
メニューには「食べ残したら罰金1万円」とあるが、これはあくまで店主の遊び心だ。
この看板メニューを始めたきっかけは「高校生や大学生はお小遣いが少ないだろうから、お腹をいっぱいにしてあげたい」という水上さんの思いからだった。
「自分の孫みたいな気持ちで付き合っているからね」と温かい眼差しを向ける。
シンプルながらほんのりスパイシーで飽きのこない秘伝のタレが決め手で、取材した調査員も15分で完食。常連客は「おばちゃんとしゃべりに来る感覚」で来店しているといい、味だけでなく店主との交流そのものが青春の一部となっているようだ。
3校それぞれの青春グルメ。友人と並んで食券を買い、売り切れに悔しがり、完食を誇る…そんな何気ない場面が、かけがえのない記憶を作っていくのかもしれない。

