9月議会が9日に開会した福岡県議会。問題山積のなか、開会後、すぐに行われた蔵内勇夫議長の後任を決める選挙で歴史的な事態となった。立候補した2人の得票が同数となり“くじ引き”となったのだ。
福岡県議会議員85人 過半数は43人
9日午前9時半から開かれた議長候補者による所信表明会。自民党の大島道人・県議(74)と公明党の新開昌彦・県議(69)が決意を表明した。

自民党 大島道人・県議) 皆さんとともに県民の皆さまから信頼される福岡県議会を作っていきたい。

公明党 新開昌彦・県議) 私は一切の私心を捨て、中立公正な立場で全議員の皆さまの意識を結集し、福岡県議会の改革を行ってまいる覚悟です。

同じ頃、慌ただしく動いていたのが、分裂した民主系の3会派だ。民主系の会派の代表を議長候補に立てるのか、自民党以外の議長を誕生させるために公明党の新開さんに投票するのか、調整を進めていた。

福岡県議会議員は現在85人。過半数は43人だ。
▼自民党県議団 38人 ▼公明党 10人 ▼県政PLUS県議団(旧民主系) 10人
▼県民の声ふくおか(旧民主系) 8人 ▼新政会 6人 ▼その他(国民・維新など) 13人

最大会派の自民党は、これまで議長ポストを長年独占してきた。これに対し、新開氏の公明党は10人、先に新開さんへの投票を表明していた新政会が6人。分裂した民主系の3つの会派20人も新開さんでまとめることができると、無所属の議員の票を含めて逆転の可能性が高まる。

2人が同数 歴史的な開票結果に…
それぞれの控室を慌ただしく議員が回り、取材陣もそれを逃すまいと追いかける。
『新政会』の椛島徳博・会長(69)は「生まれ変わる第一歩を議会の幕開け、ここから始まるんじゃないかなと大いに期待しています」と話す。

また『県政PLUS県議団』の坪田晋・会長(42)は「新開氏に入れると会派はまとまったか」という質問に「私たちは、もうそのかたちで進めていきます」と応えた。

公明党をはじめ、新政会、民主系3会派などが、新開氏に投票することでまとまったのだ。
そして県議会の9月議会が始まった。議員たちが続々と議場へと入る。
「これより投票に移ります」(板橋聡・副議長)
1人ずつ投票を行い、集計に入る。そして板橋副議長から発表された開票結果は、思いもかけない結果だった。

「投票、並びに開票の結果を報告致します。出席者数85人、投票総数85票、有効投票79票、無効投票6票。大島道人議員39票、新開昌彦議員39票、福地幸子議員1票」(板橋聡・副議長)

なんと、大島道人氏と新開昌彦氏が同じ票数になったのだ。

2人以外に投票した議員に、その理由を尋ねた。
新開嵩将・県議(28・無所属の会)』は「我々は、自民党の名前は書けないが、白票を投じている」と応えた。

また地震の名前を記した福地幸子・県議(65・桜和会)は「白票にして、理由を皆さんに説明することも考えていたが、それだと私の意思表示が伝わらないので自分の名前を書いた。ものすごく悩んでいる」と応えた。

議会運営委員会の中牟田伸二・委員長によると、票数が同じになった場合は、くじによって当選人を決定することになるという。

『県民の声ふくおか』の原田博史・会長(60)は「くじはダメでしょう。くじになった?バカじゃないの。世の中の人、県民は納得しないと思いませんか?“黒歴史”として残ってしまいますよ」と驚いた様子だった。

不穏な雰囲気が漂うなか午後2時、再び県議が集まった議場。大島氏と新開氏が、運命のくじ引きを行った。

その結果、くじを引き当てたのは大島道人氏。新しい議長に選出された。

新議長に選出された大島道人・県議は「議長として第一に取り組むのは、県民の皆さまの信頼を取り戻す県議会改革であります」と述べた上で「『ワンヘルス』の理念は、これからの時代になくてはならないものだと思います。現在、行われている検証も踏まえ『ワンヘルス』の理念は大切にしながら、今後は議会本来の役割に立ち返り、個々の事業について聖域を設けることなく、その必要性や費用・成果を十分に議論してまいります」という発言もあった。

知事「新しい県政をつくっていく」
くじで議長を逃した新開氏は「これはもう選挙ですから、受け止めています。(39票は)『ありがたい』と思っています。そういった方々の声も9月議会でまとめ、まとめるというのは変ですけど、みんなでやっていけるような、そういう9月議会にならなきゃいかんなと思います」とすでに前を向いていた。

福岡県の服部誠太郎・知事(71)は「県議会と執行部、それぞれに抱える問題に違いもあります。しかし我々がなさねばならないことは1点、県民の皆さまのための新しい県政をつくっていく、このことであります」と述べた。

議会を傍聴した県民は「残念だった。野党の人が議長になると思っていた」と複雑な表情を浮かべる人や-

「くじ引きってのが…。自民の議長でまた変わらない。選挙になっても変わらないのかな。今まで数十年間こんな酷い状態って思わなかったから。変わって欲しい。ちょっとここまで酷いのはないのでは」と落胆の表情を見せる人もいた。

重要ポイント『無効票』の存在
投票の結果、無効票が6票あった。関係者によると少なくとも、そのうちの2票が『しんかい』と平仮名で、名字だけ書かれていたという。そして、残りの4票に大島氏を窺わせる記載はなかったそうだ。

平仮名の『しんかい』という票が、公明党の新開氏を指していてフルネームで書かれていたとすれば、新開氏が勝利していたことになるので、福岡県政の歴史に残る無効票だったともいえる。福岡県議会には『新開』という名字の議員が3人いるため、名字だけでは「意思の特定が不可能」として、無効票と判断された。

今、かつてないほど福岡県議会の透明性と公平性が問われるなかで、今後に“しこり”を残す結果となった。
(テレビ西日本)

