来週行われる内閣改造と自民党人事は、鈴木俊一自民党幹事長、木原稔官房長官、片山さつき財務、茂木敏充外務、小泉進次郎防衛の各大臣ら主要ポストが軒並み留任の見通しとなり、「小幅改造」になると見られる。なぜなのか。
片山財務大臣は極めて優秀
まず鈴木氏から萩生田光一代行にスイッチする可能性が取り沙汰された幹事長人事だが、鈴木氏を「おろす」代わりに麻生太郎副総裁に「差し出す」ポストが見つからなかったということだろう。
例えば財務大臣を差し出すとしても麻生派に適任の人はいなかったし、麻生氏の評価が高い小林鷹之政調会長を抜擢するという手もあったが、高市早苗総理としては気が進まなかったのではないか(理由は後述)。
それに臨時国会の最大の焦点は「食料品の消費税の2年間ほぼゼロ」であり、答弁が非常に安定している片山氏を代えたくなかったのだろう。
片山氏は就任時こそ「派手な言動」を気にする人もいたが、なってみると意外と言っては失礼だが国会答弁、ベッセント米財務長官とのやりとり、会見での記者との質疑など極めて優秀である。
最も信頼する木原氏の続投も当然で、そうなると国会答弁も外交もソツがない茂木氏、防衛相で「覚醒」した小泉氏も続投となった。
注目はコバホーク
筆者が注目していたのがコバホークこと小林鷹之政調会長だ。高市政権で成長著しいのがこの人だ。
「皇室典範改正」で、当初高市総理も慎重だった「女性皇族の婚姻後の皇族身分保持」について、野党の合意を得るためにこれを認めながら、女系天皇を防ぐため「配偶者と子に皇籍を与えない」ことについては最初から最後まで譲らなかった。
森英介衆院議長は麻生派なのだが、先月17日付の産経新聞によると「議長としての公平性を意識し、ややもすると野党寄り」だったそうだ。だが小林氏は譲らず、最終的に森氏を説得したという。
また再審制度見直しで参政党に賛成に回ってもらうなど、各党との調整に汗をかいた。この人はかなりの「シゴデキ」である。高市総理にとっては頼りになる「シゴデキ」だが、総裁選になればライバルであり「脅威」にもなる。
コバホークマフィア
小林氏の周りには「ニュー安保族」の大野敬太郎氏、親子2代で政策通の塩崎彰久氏、「事務局長キング」の異名を持つ鈴木英敬氏のほか、勝目康氏、長谷川淳二氏といった政策に強い若手のホープが集まって、「コバホークマフィア」を形成している。
小林氏を財務大臣にするのは「重すぎる」としても、、城内実経済財政大臣とスイッチして党から離し、コバホークマフィアを分断するのではないかという話も出ていたが、どうやら政調会長を留任するようだ。
その場合これまで利上げに慎重と指摘されてきた城内氏を留任させるのかも気になるところだ。
消費税減税法案は大晦日成立も
人事が終わったら高市総理はニューヨークを訪れて国連演説を行った後、10月初旬に臨時国会が招集されるが、自民党の国対関係者によると召集日は今のところ2日か5日で、12月中旬まで約70日間の招集となる見通しだ。
このスケジュールだと消費税減税の法案が10月末までには衆院を通過するので、もし与党が過半数を持たない参院で採決されない場合でも、12月末まで会期を延長して60日ルールでみなし否決とし、衆院で再議決できるのだという。
つまり消費税減税法案は大晦日に成立ということもありうるという。これはなかなかドラマチックな結末である。
JNN(TBS系列)が先週末に行った世論調査によると内閣支持率は3.3ポイント上昇して62.5%だった。特別国会での皇室典範改正で下がった支持率が少し戻っているようだ。
消費税の引き下げについては「賛成」の51%が「反対」の42%を上回っており、これが支持率回復の一つの原因だろう。
「所得連動型の現金給付」は財源を
一方ベッセント米財務長官が「日本はリフレ政策をやめるべきだ」と発言したことが話題になり、長期金利の上昇を受けて財政悪化を懸念する声が出ている。
だが日本の消費税減税は食料品に限って2年間というものであり、その分の財源については、筆者は税収の上振れなどで十分まかなえると考える。あまり「財源!財源!」とうるさく言う必要はないと思う。
ただ食料品の消費税減税が終わる2029年からの導入が検討されている「所得連動型の現金給付」については「時限」でなく「恒久」なのだから財源を見つけなければダメだ。
維新は規制改革担当大臣か
与党の日本維新の会は租税特別措置の廃止や医療費の削減などを具体的に求めているものの自民党側が及び腰である。
先週のコラムで内閣改造では馬場伸幸前代表をぜひ規制改革担当大臣にして自民党のケツを叩かせて財源確保をしてはどうかと書いたのだが、フジテレビ政治部にもそのような情報が入っているらしい。
実は昨年10月に維新が連立入りした時に高市総理は規制改革担当大臣のポストを提示したと自民党幹部から聞いた。ぜひ実現するべきだと思う。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

