先月27日未明、富山県氷見市を中心に記録的な豪雨が襲った。3日間の降水量は観測史上最大となる479ミリ。住宅の床上・床下浸水は500件を超え、土砂崩れによって住宅が倒壊するなど、街の景色は一変した。引き金となったのは「線状降水帯」だ。気象庁は事前予測を発表しているが、半日前予測の的中率は約15%、直前予測でも約30%にとどまる。なぜ、これほど予測が難しいのか。そして、なぜ夜中に発生しやすいのか。
未明に2度、氷見を襲った線状降水帯


先月26日の夜、富山県内は広い範囲で雷が鳴りやまず、激しい雨が降り始めた。そして翌27日の午前3時前、気象庁は富山県西部と石川県に線状降水帯の発生を発表。さらにその3時間後、午前6時には2度目の線状降水帯が発生した。

気象庁は、県内で初めてとなるレベル5の大雨特別警報を氷見市に発表。3日間で降った雨の量は479ミリと観測史上最大を記録し、雨が落ち着いたのは昼すぎのことだった。


氷見市の住民は「自分的にはもうどうしていいか分からない。このままここに住めるのか分からない、あの建物をどうしていいか分からない」と途方に暮れた様子で語った。コンビニエンスストアがすっぽりと水に浸かり、ボートを押しながら進む救助隊の姿も見られた。

富山地方気象台の棚木正利統括予報官は、今回の豪雨の原因をこう説明する。「南西の風のぶつかり合いがあった、それで線状降水帯が発生した状況」。
「あまりよろしくない」予測精度の現実

線状降水帯とは、激しい雨を降らせる積乱雲が連続して発生し、同じ場所で数時間にわたり激しい雨が降り続く現象だ。気象庁は今年から、線状降水帯の発生を2〜3時間前に知らせる「直前予測」を開始した。しかし、今回の1回目の線状降水帯を事前に捉えることはできなかった。

棚木統括予報官は「あの時点では(線状降水帯が)発生することを予想できなかった」と明かし、予測精度については「あまりよろしくない」と率直に語った。今年から直前予測を開始し、当初的中率は50%を想定していたが、30%にとどまった。
2024年から発表している「半日前予測」に至っては的中率は約15%にとどまる。線状降水帯の発生メカニズムには未解明な部分が多く、現時点では予測が極めて難しい実態がある。
なぜ「未明から朝」に集中するのか

予測が難しい線状降水帯だが、発生しやすい時間帯には傾向がある。2023年から今年7日までに発生した線状降水帯を時間帯別に見ると、最も多いのは「未明から朝にかけて」で、午前3時から9時までが全体の半数以上を占めている。今回、氷見市を直撃した2つの線状降水帯も、まさに午前3時と午前6時に発生していた。

なぜ夜中に多いのか。理由は明確にわかっていないが、夜に雨雲が発達・停滞しやすい気象条件が重なることが考えられる。
夏の午後には「夕立」として積乱雲が発達し強い雨が降ることがある。ただ、この積乱雲は長くても1時間程度で消えてしまう。一方、夜になっても地上の気温が高い場合、上空の冷えた空気との温度差で大気の状態が不安定になり、雨雲が予想以上に発達することがある。
さらに、雨雲の材料となる海から陸への風、つまり水蒸気をたっぷり含んだ風が夜間に強まる場合がある。日中は日差しの影響で風の流れが変わりやすいが、日差しのない夜の風は安定しやすいのが特徴だ。その結果、雨雲の材料となる水蒸気が同じ場所に次々と運ばれ、雨雲の発生が続きやすくなる。
眠っている間の大雨に、どう備えるか

的中率15〜30%という予測精度の現状では、「予報が出なかったから安心」とはいえない。特に夜中から朝にかけての大雨は、眠っている間に状況が急変するリスクをはらんでいる。気象情報を就寝前にも確認し、警戒レベルの変化に備えておくことが重要だ。
線状降水帯はいつ、どこで発生するか分からない。だからこそ、発生しやすい時間帯の特性を知り、日頃から避難の準備を整えておくことが命を守る第一歩となる。
(富山テレビ放送)

