終わりの見えない物価高騰が、私たちの家計を直撃している。帝国データバンクによると、9月に値上げされる飲食料品は4923品目に上り、2026年最多の規模となった。街のスーパーや飲食店、そして日々の買い物に工夫を凝らす消費者たちのリアルな苦闘を追った。
9月の値上げは2026年最多
帝国データバンクの調査によると、9月に値上げされた飲食料品は4923品目に上り、2026年最多の規模となった。2025年の9月の値上げでは1467品目だったため、比べると約3倍だ。

分野別で最も多かったのは醤油やマヨネーズなどの調味料で1959品目、次いで冷凍食品やすり身製品などの加工食品が1848品目だった。企業別では、キッコーマンが醤油やつゆ類など291品目を最大22%値上げし、ニッスイも家庭用冷凍食品などを最大約17%引き上げた。
相次ぐ値上げラッシュに、街の消費者からは悲鳴が上がっている。
「食料品を買った時に使う金額が前と全然違ってきた」「給料は上がらないけど、値上げばっかりで、やっぱり厳しい」「カツカツでほぼギリギリみたいな感じ。ちょっとやめて欲しい」「以前は例えば定食1つでも980円ぐらいで食べられた。今は1500円ぐらいしないと、それなりの定食を食べられない」
こうした中、「色々なお店やサイトを見比べて比較するようにしている」など、買い方に工夫を凝らしている人も。
背景に原油高と円安、タイムラグも
値上げが9月に集中した背景について、帝国データバンク宮崎支店の笠井勇治支店長は、食品メーカーが価格改定を決めてから反映されるまでに約3か月の期間を要する点を指摘する。

帝国データバンク宮崎支店 笠井支店長:
中東情勢で石油製品の値上げが懸念されたのが今年の5月ぐらい。その頃フィルムですとかパッケージですとか、食品梱包材が値上がりしていたということで、食品メーカーが値上げを決めたのがその5月とか6月。最終的に価格に反映されたのが9月とか10月で、9月に集中しているというのが現状ですね。
笠井支店長はあわせて、人件費や物流費の上昇、円安の進行も価格を押し上げる大きな要因として挙げている。
スーパーも価格維持に限界
約2万点の商品を扱う宮崎市のショッピングのだ出来島店では、9月1日から約300品目を値上げした。

主に調味料が値上がりしており、キッコーマンの醤油は約60円、ミツカン酢は約30円上がった。平均すると10%を超える値上げとなっており、アイスは144円から152円に、冷凍ちゃんぽんは399円から439円へと上昇。中には200円以上値上げした商品もある。

ショッピングのだの野田勝社長は「商売を続けなきゃいけないので、仕方なく値上げさせてもらっている」と苦しい胸の内を明かす。

消費者側からも生活苦の声が聞かれる。
「私1人なので、1週間分買って帰る。昔だったら2000円ぐらいで抑えられて買えたものが、今3000円ぐらい出さないと買えない。そのぐらい全体的に上がってますよね。(70代女性)」「高いものはとにかく買わない。値引き品とかを夕方になって買う。年金暮らしだから、余計ね。食料費を切り詰めてる(70代男性)」
スーパーも商品をできるだけ安く販売したいと努力を続けているが、店側だけで価格を抑えるのにも限界がきている。
ショッピングのだ 野田勝社長:
業者さんの間で1円2円ちょっとお値段が違ったりするものもある。そういうのは安い方から取ったりとか、そういう感じでしかできない。賞味期限がついているから、買いだめができないんですよね。厳しいです。
弁当店は値上げも客が支援
厳しい状況に直面しているのはスーパーだけではない。

しょうが焼き弁当やアジフライ弁当などバラエティ豊かな弁当が並ぶ宮崎市の中原商店では、2026年6月、これまで400円で販売してきた弁当を100円値上げし、500円に引き上げる決断をした。

中原商店店主 中原まり子さん:
「もう本当にボランティアかな。自分の小遣いが出ない状態になってきて、これはちょっとなと思って。お客さんの方が心配してくれて、『値上げしたらどう』って。でも自分が買いに行った時高いと嫌じゃないですか。だからもう、ギリギリ」店主の苦渋の決断に対し、常連客からは温かい声が寄せられている。
「100円ぐらい上がっても満足のいく商品。手作りなので、すごく温かみのあるような味、やっぱり他にはないような味で、ほぼ毎日利用させてもらってます(常連客の女性)」「『値段を上げたら?』と言ったら少し上がったみたいですけど、それでも安いと思いますよ。もっと上げてもいいかなと思う(常連客の男性)」
中原商店では、現在も惣菜を100円からと手頃な価格に抑えており、「お客さんに喜んでもらった方がいい」と、客に通い続けてほしいという思いを守り続けている。
今後も続く値上げの波
帝国データバンクによると、2026年の1年間で値上がりする飲食料品は2万品目を超える見通しで、2025年を上回るペースとなっている。
さらに、10月も酒類や飲料を中心に約3033品目の値上げがすでに決まっており、9月に次いで今年2番目の多さとなる見込みだ。
帝国データバンク宮崎支店 笠井勇治支店長:
11月12月の冬は値上げの品目数としては落ち着くけど、人件費が上がって、お給料が上がって、物価が上がってという、インフレの傾向になっていて、さらに金利が上がってという流れが多分今止められなくて、値上げは続いていくと思う。
企業が3月や9月に決算を迎える影響もあり、春や秋に値上げが集中しやすい傾向はあるものの、インフレと金利上昇の流れの中で、値上げの連鎖は今後も続いていく見通しだ。
この終わりの見えない物価高に、社会や家計がどう向き合っていくのか、今後も現場の声を伝えていく。
(テレビ宮崎)
