北信越フットボールリーグ一部に所属する福井ユナイテッドFCは、熱中症対策として練習前にシャーベット状の飲み物「アイススラリー」を摂取する試みを始めた。10年以上チームの栄養サポートを担う大学教授の発案で、東京2020でも採用された手法だ。選手からは「体温が下がっている」という実感の声が上がり、将来的には睡眠の質への影響まで検証が進められることになっている。
「生命の危機」クラブチームに求められる熱中症対策
福井市内で福井ユナイテッドFCの練習が行われた、気温は午前中から30度を超えていた。選手たちは芝生のピッチを懸命に走りながら、大粒の汗を浮かべていた。
チームを率いる柴田峡監督は、暑い時期の熱中症対策を最優先課題として位置付けている。「暑熱環境下で運動させようと思うと、本当に生命の危機ですから。クラブの責任として、万全の体制を整えることは常に意識しています」
選手の命とパフォーマンスを守る要としてチームが導入しているのが「アイススラリー」だ。シャーベット状になった細かい氷を練習前に摂取することで、体を内側から事前に冷やす熱中症対策「プレクーリング」だ。

この取り組みを提案したのは、10年以上にわたりチームの栄養サポートを担ってきた仁愛大学の鳴瀬碧教授。「スポーツドリンクで水分補給をするよりも体の状態が悪化しないということで、アイススラリーを推奨した」
導入の根拠となったのは、東京オリンピック2020大会でのデータだ。サッカー日本代表の選手が練習や試合前に体重1kgあたり3gのアイススラリーを摂取していた実績がある。今年は1人あたり2パックを提供し、実際の練習中の体力消耗がどう変化するかを研究している段階だ。
「体温が下がっている」選手が実感する変化
実際にアイススラリーを実践している選手からは、効果を実感する声が上がっている。「冷たいものを練習前に入れることで体温が下がるのを感じるし、体が楽な感覚はあります」
選手は「プレーの向上につながればと思うので、継続していきたい」と話す。
猛暑の中でパフォーマンスを維持するためには、練習の質だけでなく、体のコンディション管理が不可欠だ。プレクーリングはその一手として、確かな手応えをもたらしている。
疲労軽減から睡眠の質へ、研究は次の段階へ
鳴瀬教授が率いるゼミでは、今後さらに、選手の疲労の軽減が睡眠の質にどう影響を与えるかを調べることにしている。
ゼミに参加する学生は「将来は管理栄養士になり、スポーツ栄養士の資格も取りたいと思っているので、この経験を生かしてスポーツ選手に栄養面でサポートできる栄養士になりたい」と語る。
チームトレーナーも、この取り組みが持つ意義をスポーツ界全体に広げることを望んでいる。「プレクーリングを行うことがスポーツ現場で基準となり、小学生とか中学生の年代でも意識付けが広がってくれるとありがたい」
柴田監督も「県内のサッカーのトップチームである彼らの活躍を通して、こういった取り組みを通し、地域の子供たちや屋外でスポーツをする方々の参考になってほしい」と語る。

福井ユナイテッドFCの取り組みは、スポーツの枠を超え、地域全体の熱中症対策として広がりが期待されている。

