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「生きて帰って」口に出せぬ思いを込めた千人針 宮崎県遺族会が伝え続ける戦争の記憶と課題

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戦後81年を迎え、戦争の記憶の風化が懸念される中、宮崎市にある平和祈念資料展示室が大きな転換点を迎えている。遺族から託された約2300点の遺品には、戦地に赴く家族への切実な願いが込められていた。しかし、会員の高齢化や施設の老朽化といった深刻な課題も直面している。記憶を次世代へどうつなぐのか、現場の取り組みと移設に向けた動きを追った。

遺品約2300点が語る戦争の悲惨さと遺族の思い

宮崎市にある「宮崎県遺族会館」。ここには県が2001年に設置した「平和祈念資料展示室」がある。

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県遺族連合会が運営を担い、保管されている約2300点の遺品や写真、遺書のうち、約300点が常設展示されている。

一つ一つの資料には、戦争で大切な人を失った遺族の思い、そして二度と戦争を繰り返してほしくないという願いが込められている。

宮崎県遺族連合会 鎌田伸次事務局長:
実際県内の遺族から提供されたものですが、全国的に実物が残っているのは、非常に少ないということで、非常に貴重な遺品かなと思っております。

宮崎県遺族連合会 鎌田伸次事務局長:
遺族の方の思いを伝える「千人針」は、どんなに遠くに行っても必ず生きて帰るんだという思いが込めてあります。

当時は決して口で「生きて帰ってきてね」と言えなかった。ひと針ひと針にその思いを込めて縫い、戦地に向かう夫や子どもに渡していた。

このほか展示室には、旧陸軍の従軍カメラマン・小柳次一さんが撮影した写真や、宮崎県出身兵士の遺品などが並ぶ。悲惨な歴史を物語る実物資料を通じ、かつてこの地でも多くの尊い命が犠牲になった事実を今に問いかけている。

鎌田伸次さんは「かつて日本でもこの宮崎でも悲惨な戦争があって多くの方々が犠牲になったということを、ぜひ今だからこそ知っていただきたい」と話す。

県遺族連合会では資料展示にとどまらず、学校などでの平和語り部活動や実話に基づく朗読劇を続けている。

長年朗読劇の指導をしている時任眞由美さん。戦時中、父親が少年飛行兵だった時任さんが大切にしているのは、「事実」を伝えることです。

県遺族連合会 時任眞由美さん:
使命感と言ったらおかしいのかもしれませんけど、朗読劇を20年近くやっていて、毎回やるたびに涙が出る。平和であることを一番願ってるんですけど、事実のみを伝える。作りごともしない・何がいけない・何が良かったということを決して言わずに『こんなことがあった』ということだけを伝えてるかな。

戦争の記憶をどう繋ぐか 平和祈念資料展示室の未来

一方で、戦争の記憶を伝える側にも大きな変化が起きている。会員の高齢化に伴い、ピーク時に約2万人いた県遺族会の会員数は、現在約3300人にまで減少した。戦争体験者が少なくなる中、記憶の風化を防ぐ手立てが急務となっている。

また、遺族会館自体の老朽化も深刻な課題だ。これに伴い、平和祈念資料展示室の移設作業が進められている。県は7月、遺族連合会などと移設先についての検討会を開いた。

県福祉保健部・指導監査・援護課 長谷恵美子主幹:
(県も)大事なものをお預かりして平和の尊さを伝えていきたいという思いはありますので、県民の方々に平和の尊さがしっかりと伝わるような施設にしていきたいと思っております。

移設先の候補には県庁5号館などが挙がっており、県は年内に移設先を正式決定し、来年度の移設を目指す方針だ。

宮崎県遺族連合会 鎌田伸次事務局長:
戦争犠牲者に対して思いをはせて、平和を祈念するそういう場として、移設して理念を継承していただけるといいなと思います。

戦争の記憶を持つ人たちが少なくなる中、残された「事実」と「人々の思い」を風化させず、どう受け継いでいくのか。資料の移設という節目を迎えるいま、私たち一人ひとりが平和の尊さと向き合い、次の世代へ語り継いでいく姿勢が問われている。

(テレビ宮崎) 

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