終戦から81年、旧海軍軍楽隊に所属した男性のクラリネットが、広島県呉市の大和ミュージアムへ寄贈されることになった。楽器は、戦艦大和の乗組員としてミッドウェー海戦を経験した宮崎県西都市出身の故・矢野務さんが愛用したものだ。寄贈を前に宮崎市で最後の演奏会が行われ、戦時中の歴史を刻んだ深みのある音色が披露された。
歴史を伝える楽器
「きっと、強い気持ちで演奏されていたのだろう」そう奏者に思わせる1本のクラリネットがある。

クラリネットの持ち主であり、奏者だった矢野務さん(享年96歳)は、戦時中に旧海軍軍楽隊に所属していた。戦艦大和の乗組員としてミッドウェー海戦を経験しており、当時、艦上でもこの楽器を用いて演奏していたとみられる。

戦後、矢野さんは宮崎県警の警察官となり、警察音楽隊で副楽長を務めた。

矢野さんは8年前に他界。その後、親交のあった元警察音楽隊楽長の井手茂貴さんが楽器を譲り受けることになった。
井手さんは、歴史を伝える貴重な楽器を後世に残そうと、寄贈先を探した。そして、広島県呉市の「大和ミュージアム」へ寄贈することが決まった。
最後の演奏会
寄贈を目前に控えた6月19日、宮崎市内で最後の演奏会が開かれた。

演奏会では、当時、艦上でも奏でられたとされる「軍艦行進曲」など3曲が披露された。

クラリネット奏者 日高由美子さん:
きっと強い気持ちで演奏されていたのだろうなと感じた時には、胸がとても熱くなりました。

元県警察音楽隊楽長 井手茂貴さん:
当時の楽器がまだ現存している。80年前の話だからほとんどもうない。それだけ貴重で歴史を知っている楽器なので、大和ミュージアムでは多くの人に見ていただきたい。
会場に集まった観客は、クラリネットが奏でる深みのある音色に静かに耳を傾けていた。
戦時中の歴史を物語る1本のクラリネット。これからは広島の地で多くの人々の目に触れ、平和の尊さや、かつて戦艦大和で懸命に生きた人々の記憶を未来へと繋ぐ大切な道標となることだろう。
(テレビ宮崎)
