人口減少が進む中、秋田県が県管理道路約180キロと橋10カ所の維持管理の見直しを検討している。維持管理レベルの引き下げや廃止、橋の撤去も選択肢に含まれる方針で、対象地域では生活やまちづくりへの影響を不安視する声が広がっている。
人口減少を見据えた県の新たな検討
秋田県は6月県議会で、「県管理道路の今後のあり方」を公表した。
対象となるのは、県道308号・河辺阿仁線や県道294号・仙ノ台桧山線など計180.7キロの区間だ。
維持管理レベルの引き下げや路線の廃止を検討するほか、10カ所の橋については撤去や迂回(うかい)路を設定した上での撤去を検討対象としている。
維持管理レベルが引き下げられた場合、県による管理は継続されるものの、草刈りの回数削減や補修工事の縮小など、維持管理の内容が見直される。廃止となれば通行ができなくなる。
背景にある深刻な人口減少
県が見直しに着手した背景には、人口減少による将来的な維持管理負担の増大がある。
県道路課の柿﨑誠治課長は、「道路整備や維持管理に必要な予算の確保が厳しい状況にあり、現在と同じ水準で全ての道路を維持することは将来的に困難になる」と説明する。
今回の対象路線は、「沿道人口がゼロの区間」や「将来的に人口が9割以上減少する区間」などの条件を基に機械的に抽出した。
橋についても、「周辺に迂回路が存在するかどうか」などを基準としている。
大館橋が浮上 地域に広がる戸惑い
今回の公表で大きな反響を呼んだのが、大館市中心部に架かる大館橋だ。
大館橋は市街地を結ぶ重要な交通インフラであるだけでなく、毎年9月に行われる大館神明社例祭の山車の運行ルートとしても欠かせない存在だ。
大館神明社例祭余興奉納実行委員会の小畑宣昌会長は、「祭り最大の見せ場である合同運行への影響が心配だ」と懸念を示す。
橋の撤去は交通面だけでなく、地域文化や伝統行事にも影響を及ぼしかねない課題となっている。
まちづくりへの影響を懸念
地域からは観光やまちづくりへの影響を心配する声も上がる。
大館市観光協会の山城久和会長は、「橋がなくなることは全く想定していなかった。市民にとっても考えられないことだ」と話す。
大館市は、中心市街地で景観保全や歴史的建造物の活用を進めるまちづくり事業を展開してきた。その一環として、大館橋につながる県道では歩道整備などを実施した。
市によると、関連事業の総事業費は約63億円に上る。国や県の補助を活用したものの、半分近くは市が負担したという。
市都市計画課の荒谷雅人課長は、「幹線道路に架かる橋が対象となったことに驚いた」と率直な受け止めを語る。
県「結論ありきではない」
一方で県は、大館橋が建設から90年以上経過していることを挙げ、将来的には大規模な補修や架け替えが必要になるとの認識を示している。
仮に撤去する場合は、大館橋の東西にある橋を迂回路として活用し、川沿いの道路の拡幅なども検討している。
県は今回の公表について「廃止や撤去を前提としたものではない」と強調する。
柿﨑課長は、「路線や区間を公表した上で維持管理レベルを検討するのは、県として初めての取り組み。これから議論をスタートする段階だ」と説明する。
問われる地域との対話
県が管理する道路や橋は、単なる交通インフラではなく、地域住民の生活や文化、観光、まちづくりを支える重要な基盤でもある。
人口減少が進む中で、限られた財源をどう配分し、インフラを維持していくのか。その一方で、地域の実情や将来像をどう反映させるのかが大きな課題となる。
県は今後、市町村と連携して利用状況の調査や協議を進める方針だ。人口減少時代のインフラのあり方を巡る議論が、本格的に始まろうとしている。
(秋田テレビ)

