翌日、Yさんは2匹を連れて病院へと急いだ。
すると林檎の血液検査の結果がまだ出ていないのに、桃の血液検査だけでなく、2日続けてまた林檎の検査をするという。
「先生、林檎もですか」
「ちょっとやっておきましょう」
よくわからない説明しかしてくれない。
林檎はしゃべらないし、何もわからないから、先生に従うしかない。
2日目も林檎と桃の症状は一向に改善しなかった。
吐き気止めを飲んでもダメ。
それは見ているとかわいそうなくらいだった。
Yさんはぐったりしている2匹の猫を、ただ見守るしかなかった。
なぜ毎日血液検査?飼い主が抱いた大きな疑問
3日目も2匹を病院に連れて行くと、信じられないことに、また血液検査をするという。
さすがに林檎は嫌がった。
ウチの例でいえば、ガトーは今では体重が10キロ前後もあり、猫に多い腎臓病、糖尿病などにかかっていないか気になるので血液検査をやってもらっている。
最初のうちは病院に行くのを気にしなかったが、ある時から背中に針を入れられるのが痛いのか、嫌がるようになった。
ガトーの血液を採取して、診察室から出てきた先生が、
「ガトーちゃん、今日は怒ってるのよ。嫌なのね」
とキャリーバッグを渡してくれた。
人なつこいガトーにしてそうなのだから、林檎だって毎日のように血を抜かれたら、嫌に決まっている。
桃も背中から針を入れられるのが苦痛だったようだ。
なぜ毎日、血液検査をやるのか。
それが最大の疑問だが、飼い主にしてみれば治療代も気になる。
そして最終的にはとんでもない金額になったそうだ。
治療費は20万円超…改善しないまま続く通院
我が家の猫は、なつかず抱っこできないクールボーイは別として、ガトーは定期的に動物病院に連れていく。
メインは体重のチェックと爪切りで、血液検査は半年に一度。
その費用は病院内で簡単にやってもらう採血料が1000~2000円程度、詳しく調べてもらうために検査を外に出すと、院外血液検査として数千円がかかる。
だが、お金がかかってもガトーにとって血液検査は欠かせない。
Yさんの2匹の猫、林檎と桃はなんらかのウイルスにでもやられたのか、食べては吐くのが止まらないまま。
何度もやった血液検査で原因がわかったなら、検査料を払った甲斐があるというものだが、原因不明で症状は変わらず、そして猫たちは日に日に衰弱していった。
病院通いの心配な日々が続き、無我夢中で、この間のYさんには1カ月近くの記憶があまりないという。
そして気が付けば、検査料込みの治療費は高額になっていった。
困り果てたYさんが連絡してきたのはそんなタイミングだった。
「ウチの2匹が食べられなくなってもう2、3週間になるの。
毎日のように診てもらっているのに、2匹とも吐き気が止まらない。
この間、何度も血液検査をやって、猫たちも痛がってかわいそうになるわ。
毎日、検査代を払っているから、その金額が20万円……いや、それ以上。
お金があっという間になくなっちゃった。
ノロウイルスみたいなのが流行っているからそれかなと思って調べてみたけど、症状が違うから、それではないみたい」
「先生にもっと突っ込んで聞いた方がいいんじゃないですか」
「聞いたわよ。原因は何ですかとか、血液検査は何度もしないといけないんですかとか、吐き気止めの薬が効かないので他の薬を出してもらえませんか、とも。
でも先生は『私たちがちゃんとやるから』と取り合ってくれないの。もう困っちゃって」
その病院の先生は聞く耳を持たないのだ。
我が家のかかりつけ病院では、検査漬けになるなんて考えられないのだが。
しゃべらない猫の病気を診断するのは、人間よりも難しい。
治らない場合は先生とやりとりしながら、処方を変えてもらうしかないのだと思う。
なぜYさんのかかりつけ病院の先生は、頑なな態度をとり続けたのか。
林檎と桃の症状は、1カ月近く続いていた。

