お盆最終日の16日に本番を迎えた、箱根の夏を彩る風物詩「大文字焼き」。
神奈川・箱根町で大正時代から100年以上続くこの伝統行事が、今、存続の危機に陥っています。

箱根強羅観光協会・田村洋一会長:
もう全ての物が(値段が)上がってまして、花火を半分にしないといけないとか、工夫しながら予算を削減してきたのが今まで。

資材や人件費などの高騰が続く中、運営側は地元の箱根だけでなく隣の小田原市でも協賛金集めにあたっていました。

箱根強羅観光協会・田村洋一会長:
みんなで駆けずり回って、少しずつ皆さんに協力していただいて。

物価高に加え、催しの担い手不足も深刻だといいます。

箱根強羅観光協会・田村洋一会長:
若い人、担い手が壊滅的な状況になってきた。

標高924メートルの山頂付近に赤く浮かび上がる100メートルを超える「大」の文字。
先祖の霊を慰める、うら盆の送り火として行われ、毎年、多くの観光客が見に訪れます。

その準備が始まるのは本番の2カ月前。
炎天下の山で整地を行い、長さ3メートル、直径30cmの竹の束を「大」の文字の輪郭に沿って配置していきます。

箱根強羅観光協会・田村洋一会長:
担い手が少なくなってしまったので、地元で働いている若い人たちに声をかけて、ほぼ毎週水曜日、6月から登って作業している。

地域の伝統を絶やさないため、協賛金を提供している地元のホテルも準備作業への協力を惜しみません。

箱根・強羅 佳ら久 総支配人・若山智さん:
我々の若い新入社員含めスタッフが地元地域の方と一緒に山を登って、そういったご協力はさせていただいている。

担い手不足や物価高による経費の高騰に直面する中で、地元の人々が協力し合って何とか伝統をつないでいるのが現状です。

地元住民からは「続いてほしいですね、やはり」「箱根の名物だと思うので、途切れさせてはいけないなと」などの声が聞かれました。

そして迎えた本番当日。

16日は雨が降ったりやんだりとあいにくの空模様でしたが、大文字焼きは決行されました。

箱根強羅観光協会・田村洋一会長:
やっとここまできたので、なんとか最後までやり遂げたい。

お好み焼きやイカ焼きなどの屋台が出店した強羅駅周辺の広場では、多くの観光客が集まる中、地元の中学生が大文字焼き存続のための募金活動を行っていました。

午後7時半、さまざまな人たちの思いを乗せて点火された大文字焼き。
漆黒の山肌に「大」の文字が浮かび上がると、霧がほとんど晴れ、観光客は大文字焼きと花火の共演を無事、楽しむことができました。

主催した観光協会の会長は、その様子を感慨深げに見守っていました。

箱根強羅観光協会・田村洋一会長:
もう何十年とこれを見てるんだけど、久しぶりに胸が熱くなった。このいろんな激動の時代の中、試行錯誤して必ずたすきをつないでいく、そんな思いです。