福岡県議会の蔵内勇夫議長(72)が旗振り役となり、服部誠太郎・福岡県知事(71)も同調してきたワンヘルス政策。関連予算は、この5年間で約58億円に上る。批判も強まるなか、知事がインタビューで「ワンヘルス政策を根底から見直す」と述べ、これからの事業を当面、凍結する考えを明言した。ワンヘルスの“お膝元”の現場では、困惑した様相が広がっている。

ワンヘルスセンターの名称変更も

「行革審が、いつ提言を頂けるかということになりますが、やはりここは慎重に考えるべきかと…」。8月12日、ワンヘルスの大規模なイベントについて2026年は開催しない考えを明らかにした服部知事。

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「『ワンヘルスセンター』という名前自体が、まずは仮称であります。県民の皆さまからワンヘルスということについて違和感があるとか疑念があるということになりますと、また地元にも迷惑をかけることがあってはならない」とさらに知事は、福岡・みやま市で建設が進むワンヘルスセンターの名称についても言及した。

みやま市で建設が進められているワンヘルスセンターは、老朽化した県の保健環境研究所の移転に加え、動物の保健衛生を担う拠点を新たに整備するなど、総事業費は200億円以上に上る。

ワンヘルスセンターの工事が進む現場の壁面には、仮称だが『福岡県ワンヘルス棟』という記載もみられるが、知事がワンヘルスセンターの名称変更も示唆したことで、地元では動揺が広がっている。

「どう申し上げてよいのか…」困惑する現場

みやま市では、全国に先駆けてワンヘルス教育の取り組みを進めるなど、その理念に賛同し、センターの整備は地域の発展に繋がるとして土地を県に無償譲渡するなど、全面的に後押ししてきた。

ただ、一連の状況を受け市議会では「批判や疑惑の目が向けられ困惑している」として、ワンヘルス政策の妥当性を検証するよう知事に求める意見書が全会一致で可決されている。

みやま市民にワンヘルスについて聞いてみると―。

「いいことだとは思うんですけど、それぐらいかな。みやま市が発展するならそれでいいと思います」(50代・男性)。

「ワンヘルスセンターの名前はもう変えてもらった方がいいと自分は思います。ワンヘルスだけではイメージがどういうのを大事にしてあるかがちょっと分からない」(60代・男性)。

みやま市の松嶋盛人・市長(72)は「ちょっとまだ今の段階でどう申し上げていいか…。まだ私自身も混乱しているような状況ですしね。第三者委員会とかいろんな調査等が早く結論を出して頂きたいという思いでいっぱい」と困惑の表情だ。

ワンヘルスセンターの名称変更については「県の決定に従う」とする松嶋市長。自身も教育現場の出身で、ワンヘルスの理念そのものは重要だと考えている。だからこそ、政策全体に疑念が向けられている今、教育現場で不安が広がっていることを重く受け止めている。

松嶋市長は「ワンヘルスの考え方は、私たちの命を守る健康を守る。地球を守る。人類を守る。大切な考え方ですので、いろんな疑惑の部分についてはきちんと解明して進めて頂きたい。子どもたちが、一生懸命勉強してきたことが無駄になるんじゃないか。それだけは絶対にさせたくない」と話した。

服部知事は今後、ワンヘルス政策について行政改革審議会に事業の検証を委ね、見直しを進める方針だ。

自らの取り組みへの自信と強気な姿勢

ただこれに対し、ワンヘルスを主導してきた蔵内議長は「ワンヘルスに関する予算、或いは成果等を審議されて、それでもワンヘルスが認められないという答えであれば仕方ないと思います。ただ我々福岡県から発信したこのワンヘルスは、すでにもう国策となっております」と自らの取り組みへの自信と強気な姿勢を崩していない。

市民からも疑念が寄せられている筑後広域公園の3億円のモニュメントについても蔵内議長は「あれはね、私は評価されると思います。将来。(どういったところで?)それは、そのワンヘルスというのが国際的に大きな流れになってきていますので、福岡はワンヘルス発祥の地となるでしょう。そういったところにはやはりシンボルが必要なんです」と反論した。

蔵内議長への『過度な配慮』を断ち切り、方針転換を決めた服部知事。これまでの構図が変わり始めたことで、県政は新たな局面を迎えようとしている。

(テレビ西日本)

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