都会の喧騒を離れ開放感を味わえる「古民家ホテル」。
そこにやってきたのは、難病で瞳と足の指先以外、ほとんど身体を動かせない女性や、重い心臓病の幼児と親族。
目指すのは“誰もが旅行を諦めない社会”を作ること。
病気や障害があっても「行きたい所を旅すること」で人生をより豊かにし、観光業界における、“心のバリアフリーを促進させること”にも繋げる新たなプロジェクトとは。
“普段は旅行に行くことが難しい”病気や障害を抱える人と親族を対象に、サポート体制を整え、宿泊の機会を無料で提供するプロジェクト「HAJIMARI」。
プロジェクトに賛同する企業や、クラウドファンディングなどを通して、資金を調達。
奈良県や山梨県、千葉県など、全国各地の宿泊施設と連携し、これまで150人以上を招待してきました。
利用者からは「気兼ねなく過ごせる。障害を理由に声が大きく出ちゃう人とか」「娘が重度の障害があって、家族が100%同じ体験ができない。宿泊施設の条件に合わさなといけない。エレベーターの大きさ、レストランでゆっくり食事できないのでコンビニで済ませようとか」といった声が聞かれます。
旅行をためらう背景には、移動する時の段差や、流動食に対応していないなどの環境面のハードルと「周りの目が気になる」「迷惑をかけたくない」という心理的なハードルが大きくあると言います。
そんな不安を取り除くため「HAJIMARI」では、看護師やヘルパーなど専門スタッフが同行。
HAJIMARI 専門スタッフ・看護師:
なじみのない人は会ったときに驚いたり、どう関わっていいのか分からないことが多い。そこの溝を埋めたい。
ホテルのスタッフと協力し、移動や食事、体調管理までサポートすることで、利用者だけでなく、家族も安心して旅行を楽しめる環境を整えています。
食事は家族と同じメニューを用意したうえで流動食に加工。
噛む力に合わせて、やわらかさも調整しています。
HAJIMARI・料理長:
味付けも健常者と同じ。固形か流動食だけかの違い。見た目も青や赤など華やかに。
施設内の動線も、念入りに確認。
段差にはスロープを設置し、車椅子や医療機器が必要な利用者も安全に移動できるように。
宿の経営者でもあり、プロジェクトの代表を務める梅守志歩さんには、重度の精神疾患を患った姉の存在がありました。
HAJIMARI 代表・梅守志歩さん:
外に出ることをやめてしまう。迷惑をかけてしまうとか、自分が変な目で見られるのが嫌だとか。家族みんなで楽しい時間を共にするだったり、シーンとして全くなくて。宿に行くことは夢のまた夢みたいな。そういう人たちが見えてないだけでたくさんいる。
山梨・北杜市にある「古民家宿るうふ」では、人目を気にしない開放感ある設計に加え、貸切の露天風呂や、焚き火などの体験を通して“我慢しない旅行”の実現を目指していきます。
HAJIMARIが提携する宿 古民家宿るうふ・保要佳江さん:
旅行する時間があると今後の生活も頑張れる。余暇の時間を充実させたい。
また、提携する宿泊施設と定期的に研修も実施。
現場で必要な配慮や、環境整備のノウハウを共有することで、観光業界のバリアフリーを促進させたい考えがあります。
「障害や病気があっても当たり前に旅行を楽しめる世界を作りたい」、そんな思いから提携する宿泊施設を更に増やしていく予定です。
最後に、難病を抱えた利用者が「最高です!」と旅の感想を視線や瞬きを通して言葉にしてくれました。
HAJIMARI 代表・梅守志歩さん:
外に出たら、いつもと違う日常が見える。この日のために頑張って生きようとか、楽しいと思える時間を選択できる未来をつくりたい。
