ゆっくり丁寧に…店名に込められた「編み物」の温かいイメージ

愛知県東郷町に「子育て中の現役のママさん」が店主の大人気のパン屋さんがある。育児に奮闘しながら店を切り盛りする。そこには、彼女の強い思いと、家族の温かいサポートがあった。

この記事の画像(27枚)

愛知県東郷町にある、街で評判のパン屋「パントリコ」。絵本の中に入ったような外観に可愛い店内。扉を開けた瞬間に、小麦のいい香りが広がる。

店主は50歳のご主人と7歳の息子さんを持つ服部絢子さん(43)。

店名の由来は「パンの虜」かと思いきや…。

パントリコの店主 服部絢子さん:
よく言われますが、それは後付けで。トリコ(tricot【フランス語】)が編み物という意味で、編み物の温かいイメージとゆっくり丁寧に作っていくっていう意味で考えました

客のオススメは白イチジクとクランベリーたっぷりの「コンプレ」 毎日予約分で完売の食パンも

店には、ベーシックなものから「どんな味なのか」気になるものまで、毎日50種類ほどのパンが並ぶ。

ミルクパン、ブリオッシュ、クロワッサンなど、どれも服部さんのこだわりが詰まっている。値段も、1個80円からとお手頃。

国産の小麦粉100%の「チャバタ」(150円)。

秋限定の「さつまいもとアマニ」(230円)。

低温熟成で、カリッと焼き上げた「バゲット」(280円)。

そして、毎日ほぼ予約分だけで売り切れる「食パン」(2斤560円)。
焼きたてが次から次へと売れていく。

女性客A:
焼いて、トースターから出すだけでバターの香りがすごくて、耳がカリっとしておいしい。今日だけでなく、明日も明後日もおいしい

女性客B:
週に2~3回くらい。素材にこだわっているのがよくわかるし、やっぱりおいしい、違う

常連客の一押しは、自家製天然酵母で作った「コンプレ」(520円)。

白イチジクとクランベリーがたっぷり入っている。パン生地が、しっとりモチっとしていて、絶品。服部さんはこの食感を「むぎゅっとした感じ」と表現するが、食べるとそれがよくわかる。

やれる人がやる…店の営業日は夫が家事をサポート

服部さんは、10時までに商品を店頭に揃えるため、いつも午前4時半から仕込みに入る。

「パントリコ」のパンはイーストを極力使わず、長時間かけて発酵させるので、通常のパンより手間がかかる。

店の2階が自宅になっていて、「パントリコ」の営業日は、夫の孝幸さん(50)が家事を担当する。名古屋市内でお蕎麦屋さんを営む孝幸さんも5時半に起きて、朝食の準備から息子の送り迎えなどを手伝う。

朝食はもちろん、服部さんが作ったパン。毎日ごちそうだ。

孝幸さん:
やれる人がやる。何でもやりますね

服部さん:
それがないとできないので、助かっています

店を始めたきっかけは母の死…思い立ったら人生幸せに

服部さんがパンに興味をもったのは大学卒業後。愛知県内のカフェやベーカリーで働き、技術を学んだ。自分で店をやりたいと思い始め、30歳を迎えた時。

服部さん:
母が病気で亡くなって、命が儚いなと思って。せっかく生まれてきて、自分のやりたい事をやっていないのは、もったいないなって思ったんですよね。これは、お金を貯めて絶対店をやろうと

それから3年間、必死になって資金を貯め、名古屋市名東区一社に「パントリコ」をオープン。

この開業準備中に、店に置く調理器具の営業マンだったご主人の孝幸さんと出会った。親身になって相談に乗ってくれる孝幸さんに惹かれ、交際するように。

1年半後にゴールインし、結婚するなら自宅で店をやった方が良いと、店舗兼自宅を今の東郷町に建てた。

移転の準備中に妊娠がわかり、開店3か月前に息子が誕生。

開店から半年間はとにかく必死。子供を背負いながら、パンを仕込み、家事もこなす日々が続いた。

そんな時、ほぼ毎日自宅や店に顔を出してくれたのは、近くに住む服部さんの父。

子供の世話から庭木の手入れや掃除まで買って出てくれた。

家族の応援に感謝しながら…全員主婦のスタッフと「また違ったおいしいパンを届けたい」

家族の応援に感謝しながら、その期待に応えようと自分の目指すパン作りを追求し続けた服部さん。すると「東郷町の住宅街においしいパン屋さんがある」と評判が広がり、お客さんが次々と訪れる人気店に。

3人いる店のスタッフは全員主婦で、仕事の合間は子育て談義。家族、スタッフ、お客さん。温かい気持ちがこの店にはあふれている。

服部さん:
おいしかったよと言ってもらえるお客さんに、また違ったおいしいパンを召し上がってもらいたいなという気持ちです

愛知県東郷町の「パントリコ」。
定休日は日曜・月曜・木曜。売り切れ次第終了。

(東海テレビ)