鹿児島県曽於市に、いま注目のご当地グルメが誕生している。その名も「焼きなんこつ」。外はサクッと、中はトロトロ——鹿児島の定番・豚軟骨煮をまったく新しいスタイルで仕上げた「ネオ軟骨」だ。2026年3月に開催された曽於市のご当地グルメナンバーワンを決める大会「うまSoo!めしGP」では、見事グランプリと「お得で賞」のダブル受賞を果たし、その人気はさらに加速している。

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鹿児島の定番「軟骨煮」を、焼いたらどうなる?

鹿児島には古くから、豚の軟骨を味噌や醤油で甘めに味付けし、トロトロになるまで煮込む郷土料理がある。家庭でも親しまれてきたこの一品を、「焼く」というひと手間でまったく別の食べ物に変えてしまったのが、曽於市財部町の『ひ~ばぁ屋』だ。

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店を訪れた人たちの反応は素直だ。「食べたことないって思ってたけど、食べたらおいしかった。やわらかいもんね」「どうしてもここのなんこつが食べたいと言ったら主人が寄ってくれた」——そんな声が絶えない。リピーターも多く、常連客の支持は厚い。

タクシー会社の激務が生んだ、偶然のレシピ

『ひ~ばぁ屋』の店主・森園ひとみさんには、本業がある。タクシー会社の経営だ。「焼きなんこつ」の誕生は、その多忙な日々の中から生まれた、まったくの偶然だった。

「当時はタクシーの台数も多かったし、私が嫁に来て2年目(20年ほど前)くらいだったか、朝起きた時から夜寝るまで仕事みたいな感じだった」と森園さんは振り返る。

その日、家族のために豚軟骨と野菜を煮込もうと下ごしらえを進めていたが、仕事の合間を縫うような状況ではなかなか時間が取れなかった。「なかなか時間がなくて下ごしらえした軟骨があったので、それを焼いて出したら、それがおいしかった!」——下ゆでした軟骨を、そのまま塩こしょうで焼いてみたのが、すべての始まりだった。

圧力鍋で1時間以上、下ごしらえにかける手間

偶然の産物とはいえ、現在の「焼きなんこつ」には、おいしさを引き出すための確かな工夫がある。使用するのは県産の豚の軟骨。「焼き」が売りでありながら、軟骨部分はトロトロに仕上げたいため、まずニンニクやショウガと一緒に圧力鍋で1時間以上かけて火を入れる。

「ニンニクの量はやっぱり(秘密です)」と森園さんは笑う。ニンニクの量は門外不出だが、その効きが食欲をそそる決め手になっているのは間違いない。取材した記者も「軟骨の部分はトロトロで、外はサクッとして、塩こしょうが効いて食欲そそります」と絶賛している。

この丁寧な下処理があってはじめて、外側のサクッとした食感と内側のトロトロが共存する独特の口当たりが生まれる。

孫の誕生が店名の由来に

店名「ひ~ばぁ屋」には、ほっこりとしたエピソードがある。焼き軟骨の販売を開始するタイミングでちょうど孫が生まれ、「ひとみおばあちゃんの店」という意味を込めて命名したというのだ。

もともとは知り合いの店で販売するなど、小規模にこの味を広めていた森園さんだったが、「このおいしさをより広めたい」という思いが募り、2025年2月についに財部小学校のすぐ近くに自らの店をオープンするに至った。

1パック500円、地域の特産品へ

「焼きなんこつ」は1パック500円。手頃な価格もあって、地元での口コミが広がり続けている。「うまSoo!めしGP」でのグランプリ受賞は、その人気を一気に押し上げた。

森園さんは今後の展開についてこう語る。「曽於市の特産品の仲間入りをさせていただければありがたい。ゆくゆくは真空パックにして全国展開を理想にしている。焼きなんこつで元気をつけて、夏を乗り切っていただきたいです」。

地域のグルメとして根を張りながら、やがては全国へ——その夢は、タクシー会社を切り盛りしながら厨房に立ち続けてきた森園さんの、現実的な次のステップだ。

「焼きせせり」「焼きかしら」も販売中

『ひ~ばぁ屋』では「焼きなんこつ」のほかに、ショウガとニンニクが効いた「焼きせせり」と「焼きかしら」も販売している。いずれも同じ手法で下処理された、店自慢の焼き系メニューだ。

偶然の産物から生まれた「焼きなんこつ」が、曽於市の新たな特産品として全国へ羽ばたく日も、そう遠くないかもしれない。『ひ~ばぁ屋』は財部小学校のすぐ近くに店を構えている。

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鹿児島テレビ
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