子供たちには存分に夏休みを満喫してほしいですが…。一方で小学校では共働き世帯が増える中で、子供たちの朝の居場所をどう確保するかが課題となっています。教職員に負担を求めない仙台市のモデル事業や地域の取り組みの現場を取材しました。
泉区の北中山小学校です。
午前7時すぎ。早朝から、子供たちが登校してきます。
まだ先生たちはいない時間…。
子供たちを出迎えるのは、仙台市のシルバー人材センターのスタッフです。
およそ30人の子供たちが集まりました。
仙台市は子供たちの朝の居場所をつくろうと、去年から市内の小学校3校で始業前に学校を開放し、その時間の子供の見守りをシルバー人材センターに委託するモデル事業を始めています。
事業の今年度の予算は1600万円あまりで、モデル校はさらに増やす方針です。
こうした朝の居場所づくりは近年、全国の自治体でも行なわれていて、その背景には、共働き世帯の増加など働き方の多様化があります。
仙台市こども若者政策課 長谷部綾子課長
「早い時間に子供を家から送り出さなくてはいけない家庭も増えてきているのかなと思っていて、そういう家庭が安心して子供を学校に送り出せる環境づくりを進めていくというところで、こういう事業が求められている部分があるんだろうなと」
記者リポート
「午前7時40分を過ぎました。登校してくる児童たちがいます。この小学校ではこのように校門は開いているため門の中には入れますが、昇降口がまだ開いていないため、外で待たなければいけません」
去年4月に取材した仙台市青葉区の上杉山通小学校の朝の様子です。
職員たちの勤務時間は午前8時半からで、子供たちの安全管理上、昇降口を開けるのは午前8時としています。
しかし、子供たちの中には、それよりも前に登校する子も。
待ち時間は校庭で遊ぶことができず、限られた場所で待つしかありません。
小学校では幼稚園や保育園などと比べ、子供を預けられる時間が短くなります。
具体的には、保育園などでは一般的に午前7時から子供を受け入れるのに対し、小学校では登校時間が遅くなります。
放課後の「学童利用」も同様です。
小学校への入学をきっかけに一時的ではありますが、朝の子供の居場所がなくなり、“空白の時間”が発生…。これがいわゆる“小1の壁”と言われています。
モデル事業が始まる前の北中山小学校でも、同じような状況が起きていたそうです。
児童
「暑かったり寒かったり。外は一列に並ばないといけない。ここは自由に遊べて楽しい」
「待っているのが楽しくなかったから、こうやって遊べるようになってうれしい」
シルバー人材センタースタッフ
「先生の仕事を負担しているという気持ちはこれっぽっちもない。要ははっきり行って自分が空いている時間でお手伝いできればいいかなと」
一方で課題も…。
朝の居場所づくりをめぐって、国では「教職員以外が活動を管理できる体制を確保する必要がある」との考えを示しています。
仙台市こども若者政策課 長谷部綾子課長
「担い手というのが非常に重要になっていて、それを一定の数確保していけるのかも、もし事業を広げていくことになれば大きな課題になると思う」
行政に頼らない「地域の力」を活用する取り組みもあります。
太白区の鹿野小学校で6月から週2回行われている「朝の鹿野っ子広場」。
地域の人たちが主体となり、学校の昇降口が開くまでの間、体育館を利用して子供たちの朝の居場所づくりを行っています。
鹿野っ子見守り隊 佐藤欣一郎会長
「まだ始まったばかりですから、どのような形がベストか分かりませんが、鹿野小学校なりの良さを出していければ良いと思っています」
携わる人は全員、ボランティア。子供たちにふるまう麦茶などの経費は、地元のライオンズクラブが負担しています。
保護者にとっては大人の目の届く範囲で子供を預かってくれる貴重な場所になっていました。
保護者
「学校に待機できない、入られない時間帯だと、送っていって仕事に遅れることが続いていました。この活動は大変ありがたいです」
「保育園とは違って、学校は空く時間が決まっていて会社の始業時間も決まっているので、そこは困っている家庭は多いと思います。子供もこの取り組みをやっている曜日ははりきって早く登校しているので、楽しんでいると思います」
鹿野小学校 佐藤昌好校長
「学校は学校で勉強を教えてもらうとか、いろんな教育をするのが学校。地域の人に助けてもらう、見守ってもらう、家庭はそれを一緒にありがたく受けるという関係が良いのかなと思います」
子供たちの安心を守るために。子育て支援を行政や学校だけに任せきりにするのではなく、社会全体で考える必要があるといえそうです。
