サッカーJ2ブラウブリッツ秋田の本拠地となる新スタジアムの整備を巡っては、近く県と秋田市、クラブの3者が基本方針案に合意する見通しです。
改めて方針案の内容をいくつかのポイントに絞ってみていきます。新スタジアムはクラブを中心とした民間資金の調達を前提に、県と市が共同で八橋運動公園に整備し、保有します。
設計費などを含む整備費は142億円を上限に設定し、負担割合は国の交付金などを除いた額をクラブをはじめとする民間が半分、残り半分を県と市が折半する2対1対1としています。必要な民間資金は40億から50億円と見込まれています。
2031年8月の供用開始を目指し事業を進める考えですが、民間資金調達の「関門」が設けられています。クラブは設計の着手までに約5億円、建設工事開始までに民間負担の全額を集める必要があり、県と市は条件達成を確認してから事務手続きなどに取り掛かります。
基本方針案の策定に向けた県・市・クラブによる3者協議は、2026年度3回開かれました。いずれも非公開で行われましたが、どのような議論がなされたのか一部が明らかになりました。
秋田市の情報公開制度を活用して明らかになった新スタジアム整備に向けた実務者協議の議事録では、クラブ側の発言を中心に文書の一部は黒塗りに。
さらに、5月に公表された基本方針案のたたき台となった秋田市の案はすべてが黒塗りとなっています。
市は公開しないことについて「法人などに関する情報で競争上の地位や正当な利益を害する恐れがある」とした上で、「率直な意見の交換、意思決定の中立性が損なわれるほか、住民の誤解・憶測を招き混乱を生じさせる恐れがあるため」としています。
こうした中でも協議の一端が垣間見えます。
4月23日に行われた協議では、3者それぞれの整備に向けた考え方が改めて共有されました。
県は費用の負担割合について民間・県・市で2対1対1とすべきと強調します。
その理由について県の担当者は「ブラウブリッツが主たる使用者となる。県民理解を得るために必要である」と述べました。
県の考えに市も同意しました。
一方でクラブは5月14日の協議で「現時点で社内での合意ができていない」と県が示した負担割合に難色を示します。
その後、5月26日の協議でクラブ側も承諾しますが、県と市に繰り返し求めたのが企業版ふるさと納税への協力です。
「民間資金の調達には企業版ふるさと納税の活用は必須。募集期間は長ければ長いほどありがたく、他の事例でも施設の完成まで集めているケースが多く、鹿児島はクラブハウス完成後も集めている」としています。
企業版ふるさと納税の活用を巡っては、沼谷市長が市が取り組まないわけではないと強調した上で「県が中心となって県外から集めてもらうのが望ましい」と発言。
これに対し鈴木知事が「方針案を作った時点と話が変わっている」と反発し、県と市の足並みにずれが見えていました。
また鈴木知事は、個人版ふるさと納税活用の可能性についても言及しています。
そして、鈴木知事は7月14日の会見で「県と市が足並みをそろえて企業版ふるさと納税を実施する」と明言しました。両者がどうふるさと納税の仕組みづくりをしていくのかが今後の焦点となりそうです。
