自民党と立憲民主党の参院国対委員長は6日、高市早苗総理大臣が出席する参院予算委員会の集中審議と党首討論を行うことで合意し、審議がストップしていた国会はとりあえず参院で正常化に向かった。
17日に会期末が迫る中、皇室典範改正案を含む政府提出法案17本が成立していないが、参院では会期内で収まるよう審議することで合意した。
会期延長に与野党から不満が
ただ衆院では与党が審議入りを強行した議員定数削減法案と副首都法案について、野党側は皇室典範改正案の審議入りの条件としてこの2法案の撤回を求めており、先行きは依然不透明だ。
会期末まであと10日。自民党内では皇室典範や定数削減で今後もモメそうなので、とりあえず7月31日まで、もしくはお盆直前の8月10日までの2〜3週間の会期延長はやむを得ないという声が強くなっている。
当初、高市氏周辺では、参院で審議拒否が続いても60日たてば「みなし否決」されるルールを使って衆院の3分の2で再可決をするために2度に分けて計60日以上の「大幅延長」も検討された。
ただこれには自民党内だけでなく野党からも強い不満の声が上がった。地元活動や海外視察などの予定がすでに決まっており、2ヶ月もの延長は「想定外」だったのだ。
議員定数削減法案否決で“夏休み”確保?
私が取材で聞いた話では、参院の与野党の一部で、議員定数削減法案と副首都法案も、もし参院に送られてきたら「吊るし」にはせずに審議をして否決する、ということが密かに話し合われているという。
その場合60日待たなくても衆院に戻されて3分の2で再可決され成立する。
議員定数削減法案は衆院だけの話なので野党でも参院では危機感が少ないのだという。ひどい話ではあるが。
これだと延長は小幅で終わるので「夏休み」は取れるわけだ。
皇室典範改正案に立憲「だましうち」
皇室典範改正案には皇族の養子となる旧宮家の男系男子に男の子が生まれた場合、皇位継承資格があることが盛り込まれているが、立憲民主党の水岡俊一代表は6日の会見で「これまで議論してこなかったことが盛り込まれている」として「だましうちとも言える姑息な小細工をすることは皇室をおとしめるものだ」と批判した。
「だましうち」とか「皇室をおとしめる」とかずいぶん「静ひつ」ではない表現だが、そもそも皇室典範第1条に「皇位は、皇統に属する男系の男子がこれを継承する」と書いてある。
立憲はこのことをわかっていたのに養子案に反対しなかった(賛成もしなかったが)。皇位継承の安定を立憲が「邪魔している」と思われるのが嫌で養子案を「黙認」したのだろうと思う。
だったら反対しておけばよかったわけで、今になって「だましうち」と言っても遅いのではないか。
与党内では立憲や中道改革連合が反対に回っても構わないという声が強くなっているが、最後は国民民主党や、参政党などは賛成に回るだろう。
だが「皇位継承の話を決めるのに野党第1党が反対した」というのはあまり体裁のいい話ではない。また前述の定数削減法案の件も、議員の身分を衆院だけで決めていいのかという批判も出る。
どちらも「与党による数の力の横暴」だと野党や一部メディアは主張するだろう。
この場合国民は政権を「批判」するのか。それとも「賞賛」するのだろうか。
野党の審議拒否「理解出来ない」7割超
JNNが先週末に行った世論調査では内閣支持率は4.1ポイント下がり65.9%だった。例の文春報道に対する高市氏の対応については「納得できない」が51%で「納得できる」の43%を上回った。
だが野党の審議拒否については「理解できる」が「十分」または「ある程度」を合わせて27%にとどまり、「理解できない」は「あまり」と「全く」を合わせて71%で大きく上回った。
また野党が反発している議員定数削減法案については「賛成」58%が「反対」22%をこちらも大きく上回った。
これらの結果を見ると高市氏への批判も多いが、野党への批判の方がより多いようだ。
高市氏は6割弱が賛成の議員定数削減を強行?
6日には参院の決算委員会に高市総理が出席し審議が行われたが、その直前に前述の「国会の一部正常化」がまとまった。
審議では野党の議員がしきりに「与党が数の力で強引に国会運営をしてきた」「高市総理は審議に応じてこなかった」と批判したのだが、この人たちは国民の7割が野党の審議拒否を批判しているという事実をわかっているのだろうか。
今回の「正常化」で、自民党内では「皇室典範は通るのだから議員定数削減は先送り」という声も出ている。そうしないと国民民主党が完全に離れてしまい、参院での過半数確保も、さらには憲法改正も不可能になるからだ。
だがそれでも高市氏は「強硬策」で定数削減まで強引に実現させるのではないか。
「永田町の常識」を破ると政治家(与野党問わず)やメディアは怒るが、「普通の国民」は怒らないので、高市氏はやりたいようにやった方がいいと思う。
【執筆:フジテレビ客員解説委員 平井文夫】

