2025年8月の大雨で線路の土台が崩壊し、不通となっていたJR肥薩線の隼人―吉松間が、7月12日に約11カ月ぶりの運行を再開した。翌13日からは高校生たちの列車通学も本格的に始まり、「バスだと1時間かかるが、電車は30分で着く」と喜ぶ声が相次いだ。一方、吉松駅では2020年7月から不通が続く吉松―八代間の復旧を求める横断幕が掲げられており、地域の思いはまだ道半ばだ。

「遅くなって快適」 霧島温泉駅に高校生が戻ってきた

7月13日の朝、鹿児島県霧島市にある霧島温泉駅に、制服姿の高校生たちが次々と集まってきた。約11カ月にわたって代替バスや自家用車での通学を余儀なくされてきた生徒たちにとって、この朝は待ちに待った「列車通学初日」だった。

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「バスは1時間かかるけれど、電車は30分で着くので本当にうれしい」と話したのは、隼人方面へ向かう霧島高校の生徒だ。午前7時半すぎの通学ラッシュ時には、霧島高校の生徒たちで駅前がにぎわいを見せた。生徒たちからは「朝起きる時間が遅くなって快適」「バスだとみんな窮屈で座っていたが、きょうはのびのび座れていて良かった」といった声が上がった。

霧島高校の横山謙二校長も13日の再開を駅で見守り、「どんな表情で電車を降りてくるのか楽しみにしている」と語った。不通の期間中も生徒たちは駅の花壇の手入れや掃除を続けてきたという。校長は「1年間の苦労を糧に頑張ってほしい」と期待を込めた。

吉松駅でも「ようやくスタート」 鉄道ファンと地元が再開を祝う

鹿児島県湧水町の吉松駅でも、運行再開を喜ぶ声が広がった。旧国鉄時代には「機関区」と呼ばれる拠点施設が置かれていたこの駅は、肥薩線にとっても歴史的に重要な場所だ。12日には列車で訪れた鉄道ファンとともに再開を祝う姿が見られた。

運行再開を祝う人々
運行再開を祝う人々

「景色も良かったし、列車の振動が良かった」「本当にこの日を待ち望んでいたので最高でした」と鉄道ファンも興奮気味に語った。地元住民からも「うれしいです。鹿児島中央に行く時に使います」「これからようやくスタートです。まだまだこれからすることがたくさんある」と前向きな言葉が聞かれた。

吉松駅から鹿児島県姶良市や霧島市へ通学する高校生たちも、11カ月間は代替バスで不便を強いられてきた。再開後は便数が増え、昼の時間帯にも列車が運行されることから、「代行バスの時は行きと帰りしかなかったけれど、再開すると昼の時間もあるから結構便利になる」という声も上がった。

崩壊した線路の土台、新たな水路も整備 復旧工事の全容

2025年8月の大雨は、日当山―表木山間の線路の土台を崩壊させた。線路が宙に浮いた状態となり、「本当に復旧できるのか」と不安を感じさせるほどの被害だった。

土台が崩壊し、宙に浮いた線路
土台が崩壊し、宙に浮いた線路

12日、視聴者が車内から撮影した復旧現場付近の映像には、画面左側に水を流すために新たに設けられた水路が確認できる。列車は新たに築かれた土台の上をスムーズに通過しており、復旧工事が無事に完了したことが映像からも裏付けられた。

地域住民も再開の実感を口にする。「やっぱりうれしいですよね。やっと日常が戻ってきたという感じ」と話す住民は、不通の間も駅を守り続けた高校生たちに思いを寄せた。「生徒さんたちが植えた花だから、この暑さに負けないよう、花みたいに頑張って花を咲かせてほしい」。そして肥薩線の再開が「存在の価値をもう一回見直すいい機会になって、お客さまが乗りに霧島まで来るいい機会になれば」とも語った。

生徒たちが植えた花に水をあげる地域住民
生徒たちが植えた花に水をあげる地域住民

吉松―八代間の復旧はいつ 駅に掲げられた横断幕の訴え

隼人―吉松間の復旧が祝われる一方で、吉松駅にはもう一つの現実が存在する。2020年7月から不通が続く吉松―八代間だ。人吉方面の踏み切り付近では、線路が見えないほど草木が茂り荒れ果てた状態となっている。

吉松駅に掲げられた横断幕には、こう書かれている。「肥薩線(山線)の早期着工復旧は私たちの切なる願い」。地元住民の一人が「まだまだこれからすることがたくさんある」と語った言葉は、こうした背景を踏まえてのものだった。

隼人―吉松間の約11カ月ぶりの運行再開は、地域にとって大きな一歩だ。しかし、肥薩線全体の本当の意味での復興に向けては、地域を挙げた取り組みがまだ続く。高校生たちが丁寧に手入れしてきた霧島温泉駅の花壇の花々とともに、その歩みはようやく再び動き始めた。

【動画で見る▶JR肥薩線が再開 利用者から喜びの声 約11ヶ月ぶりの運行再開】

鹿児島テレビ
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