富山県の新田知事と岐阜県の江崎知事による懇談会が開かれ、富山空港の新愛称「富山高山すし空港」を契機に、国内外からの誘客に向けた連携強化を確認した。

この記事の画像(9枚)

岩瀬を視察、寿司とLRTを体験

10日、江崎知事は富山市の岩瀬地区を訪れ、新田知事とともに視察に臨んだ。今年3月に開校した県内初のすし職人養成校「北陸すしアカデミー」では、2人そろって富山の寿司を味わった。江崎知事は「新鮮なのは岐阜にはない」と率直な感想を口にした。

続いて2人は次世代型路面電車「LRT」に乗車。江崎知事は岐阜県でのLRT導入を検討しており、公共交通を生かしたまちづくりについて意見を交わした。

愛称に「高山」を込めた狙い

その後の懇談で中心となったのが、富山空港の新愛称だ。県は8日、空港の愛称を「富山高山すし空港」に変更したと発表した。

「岐阜県には、ないものが2つある。海と空港だ」と語った江崎知事に対し、新田知事は愛称の狙いをこう説明した。「富山空港が飛騨高山地域にとっても玄関口になる。もうなっていることを国内はもとより世界に発信したい」。世界的な知名度を持つ「高山」と富山を代表する「すし」を組み合わせることで、国内外の旅行者を呼び込む狙いだ。

江崎知事もこれを歓迎し、「世界の人からアプローチしてもらえる空港を(岐阜にも)開いてもらってありがたい。海外の人は空港が何県にあるかを気にしない。広域観光の意味は非常に大きい」と述べた。さらに「富山の皆さんにもこの愛称でよかったと思ってもらえるようにしたい」と続けた。

懇談では、高山・白川郷と富山県を一つの周遊観光エリアと位置づけ、情報発信や旅行商品の造成を連携して進めることが確認された。

課題は2次交通、空港閉鎖の懸念も

一方、富山空港と高山を直接結ぶ公共交通が整備されていないことが課題として挙がっている。新田知事は「今ないのは事実。愛称変更はあくまできっかけに過ぎない。どう実効性あるものへ昇華させるかが大事で、岐阜県・高山市と共同でより便利なルートにするための取り組みを始めたい」と認めた。

愛称変更の背景には、富山空港の厳しい現状がある。利用者のピークは2004年で年間139万人、東京便は1日8往復を誇ったが、2015年の北陸新幹線開業と2020年のコロナ禍を経て激減。昨年度の利用者数は37万9,000人にとどまり、ピーク時から100万人以上減少した。現在の運航は国内線の東京便3往復と札幌便1往復のみで、来月には台北便が6年半ぶりに再開される見込みだが、ソウル・大連・上海の3路線は再開の見通しが立っていない。

航空政策に詳しい桜美林大学の戸崎肇教授は「富山空港は新幹線との競合で厳しく、利用率が減れば空港閉鎖も考えなければならない。羽田経由の海外からの旅行者にターゲットを絞った需要喚起が不可欠だ」と指摘。愛称変更の宣伝効果を認めながらも、「最初の打ち上げ花火だけにならないように。名前が実態を伴わないと、県民から総反発をくらいかねない」と警告した。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
富山テレビ

富山の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。