福岡有数の観光地『太宰府天満宮』にありそうでなかった土産物店が今、大盛況だ。新たに誕生した魅力溢れる“名所”を取材した。
課題は観光客の滞在時間の短さ
平日にもかかわらず、この日もたくさんの観光客で賑わいを見せる太宰府天満宮の参道。

その太宰府で人気お土産の定番といえば、梅ヶ枝餅だが、そのイメージを覆そうと2025年11月にオープンした土産物店がある。

暖簾に片仮名が記されたこの店。参道から少し入ったところにある『ビームスジャパン太宰府』だ。古民家を改装した建物で店内はセレクトショップのビームスらしくモダンな雰囲気を醸し出している。

奥には、タヌキの陶器でお馴染みの信楽焼き。そして、縁起のいい招き猫。そのほかにも富士山の形をした丼やTシャツなど、さまざまなお土産が、所狭しと並んでいる。

衣料品や雑貨を取り扱っているイメージが強いビームスだが、なぜ“畑違い”とも思われる土産物店をオープンしたのか?
『ビームスジャパン太宰府』の赤峰未来店長は「観光客は多いけど、滞在時間が短くて、ここにビームスジャパン太宰府をつくることで、太宰府の滞在時間を長くして、消費額を上げていこうという思いで作りました」と語る。

年間1千万人が訪れる太宰府だが、長年の課題だったのが観光客の滞在時間の短さ。

大勢やってくる観光客の購買力を街の発展に繋げたいと白羽の矢が立ったのが、セレクトショップのビームスだったのだ。
海外の観光客からも大好評
赤峰店長によると、ビームスが、新プロジェクトとして2016年にビームスジャパンを立ち上げて、全国の日本の銘品、事業者たちとコラボした商品を開発するためのプロジェクトなのだという。全国に11店舗展開しているビームスジャパン。この事業に福岡の会社が目をつけ開業した。

商品棚には、小倉織や小石原焼など福岡の伝統工芸品も並ぶ。い草を使った『花ござ』は、ビームスとのコラボ商品として展開。デザイン性を追求した商品にすることで、魅力を引き出している。

「福岡県の伝統工芸品と言われてもピンとくることがなかったんですけど、お客様もここに来て知るという人も多く感じられる」と話す赤峰店長。店舗は、伝統工芸品のアンテナショップのような役割も果たしている。

神奈川から訪れた観光客は「新しいモノと古いモノが一緒になって、いいと思います」と商品を手に取る。

また台湾から訪れた観光客は、購入したカップを手に「カップはとても便利そう。店は“クール”ね」と満足気だった。
一番人気の商品は工芸品『八女提灯』
そのなかでも抜群の人気を誇る工芸品がある。
「太宰府店で一番人気は八女提灯。お手頃でお土産品としても手に取ってもらえるようにミニ提灯を開発しました」と赤峰店長が紹介したのは、八女市の工芸品、八女提灯だ。オープンから半年余りで1千個以上売れたという一番人気の商品なのだ。

その人気の理由を探るべく、製造している工房『シラキ工芸』を訪れた。

「この工房でビームスジャパンのモダン提灯を張っています。小さい提灯なんですけど、手間は大きい提灯も小さい提灯も変わらない」と話す大塚健二部長。

ひとつひとつ手作業で作られる八女提灯は、ひとつ完成させるのに1時間ほどかかる。
年間200個が今では1500個
シラキ工芸では盆提灯だけでなく1年中使えるモダンな提灯を8年前から販売。タッチセンサーで明るさを調整できるものなど、伝統を残しつつ新しい挑戦に余念がない。

製作にあたるのは若手の職人たちだ。大塚部長は「昔からある技術を受け継ぎつつ、若い子たちのアイデアを取り入れながら、時代に合った提灯作りをしています」と話す。

「今年から入りました。セレクトショップに置いてあるのを見て、インスタグラムとかも見て応募しました」(入社1年目・23歳)。

「モノ作りがしたい気持ちがずっとあって、私もコレがしたい!と直感でビビッときて、ここで働きたいと思った」(入社4年目・26歳)。

実際に触れることで魅力を知り伝統工芸の世界に飛び込んだ若き職人たち。伝統工芸の担い手たちを確保していくためにもビームスジャパンはとても大切な場所だという。

「年間200個くらいだったのが、ビームスジャパンとの縁があって、今では1500個」と大塚部長の表情も緩む。

福岡の提灯の出荷額は1990年をピークに、その後は大きく落ち込んでいたが、その状況を打開しようと挑戦したのがモダンな提灯だ。コロナ禍が明けると国の内外から注目され、インバウンド需要も取り込み回復傾向になっている。

伝統工芸品との接点を作るビームスジャパン。若い人たちが職人を目指すきっかけにもなり、人材確保にもつながっているようだ。
(テレビ西日本)

